保育環境の質尺度の開発と保育研修利用に関する調査研究

文献情報

文献番号
200801016A
報告書区分
総括
研究課題名
保育環境の質尺度の開発と保育研修利用に関する調査研究
課題番号
H19-政策・一般-016
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
秋田 喜代美(東京大学大学院 教育学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 小田豊(独立行政法人国立特殊教育研究所)
  • 芦田宏(兵庫県立大学 人間環境学部)
  • 鈴木正敏(兵庫教育大学 学校教育研究科)
  • 門田理世(西南学院大学 人間発達学部)
  • 野口隆子(十文字学園大学 人間生活科学部)
  • 箕輪潤子(川村学園女子大学 文学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
3,191,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究プロジェクトは、第1に保育の質に関する国際的政策や学術研究動向を調査すること、そして第2にその動向をふまえて、日本の園文化に応じた形で今後長期的に使用できる保育環境の質尺度(幼児版、乳児版)を開発すること、第3にそれを保育研修に利用することでその方法の有効性や活用法を開発検討することである。
研究方法
第1の点に関しては、本研究プロジェクトで開発している日本版SICSとの関連性から国際動向を捉えて位置づけ、SICSがどのような有効性や利用法があるのかを検討する。第2、第3に関しては、幼児版SICSの英語からの直訳からさらに日本語、日本の保育文化にあうよう精選改訂を行い実際に1保育所で協力実施いただき、さらにその園での実施遂行状況をふまえて改訂を行い、日本幼児版SICSを完成させる。研修用DVDに関してはSICSという自己評価方法の手順と視点を理解してもらうためのDVDを、別の保育所でSICSを使用した研修を実施してもらい、その研修場面を記録し作成するという方法をとる。
結果と考察
国際動向からは保育者側の保育スタイルへの視座もASOS(Adult Style Observation Schedule)において出され、ベルギーだけではなく他でも保育の質の向上に実証的な効果をもたらしていることが明らかとなった。また小学校、中学校、特別支援教育等にも使用可能な尺度PALE(Process-Oriented Analysis of Learning Environment)も開発され、保幼小連携の推進の視点からも可能性を明らかにした。 そして日本版SICSではAエピソードにもとづく方法へ変え、B優れた点を見出す評価に変更し、C省察として家庭との連携という新たな観点を入れることを行った。またDすべての評価を1度ではなく2度1週間間隔をあけての実施することにした。本方法での実施結果として一定手順を踏むことで無意識のうちに行っている保育者の見方の偏りを少なくし、日頃とは異なる視点から捉えることができることが明らかになった。
結論
日本の保育にあうように手順や内容において新たな観点をいれた日本版SICS(幼児版)の開発が、実際に日本の保育者の省察や評価にとって有効である可能性がパイロット園での実施によって示唆された。と同時に今後この尺度の有効性や理論的課題も具体的に明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2009-04-03
更新日
-