文献情報
文献番号
200731034A
報告書区分
総括
研究課題名
進行性腎障害に関する調査研究
課題番号
H17-難治-一般-034
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
富野 康日己(順天堂大学医学部腎臓内科)
研究分担者(所属機関)
- 川村 哲也(東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科)
- 山縣 邦弘(筑波大学大学院人間総合科学研究科病態制御医学専攻腎臓病態医学分野)
- 斉藤 喬雄(福岡大学医学部腎臓・膠原病内科学講座)
- 東原 英二(杏林大学医学部泌尿器科)
- 遠藤 正之(東海大学医学部腎代謝内分泌内科)
- 林 松彦(慶応義塾大学医学部内科学)
- 西村 裕之(桐蔭横浜大学工学部人間科学工学センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
進行性腎障害のなかで患者数の多い4疾患について、診療指針を再評価する。疫学研究、臨床試験、動物実験を行い新たなエビデンスを確立し、診療指針の改訂を行う。
研究方法
①IgA腎症分科会:(1)ARBの腎保護作用に関する多施設共同研究、(2)腎病理所見と予後の関連に関する後ろ向きおよび前向き多施設共同研究および(3)扁桃摘出術とステロイドパルス療法の有効性に関する多施設共同研究を行う。②急速進行性糸球体腎炎分科会:全国の主要腎疾患診療施設に対するアンケート調査によるRPGNの実態調査と、MPO-ANCA関連血管炎の寛解維持療法におけるミゾリビンの有効性・安全性および血中濃度の関連性に関す多施設共同研究を行う。③難治性ネフローゼ症候群分科会:PSLとCyAおよび、PSLとMZR併用療法の多施設共同研究を行う。④多発性嚢胞腎分科会:ADPKDに対するEPAの腎不全進行抑制効果と、ARBにCCBを追加することの腎・心血管系障害に対する影響の検討。⑤疫学調査班:1995年のIgA腎症の全国疫学調査をもとに、慢性透析導入リスクを推定するスコアリングシステムを作成。また、IgA腎症に対する扁摘パルス療法の全国アンケート調査を行う。⑥遺伝子操作動物による進行性腎障害疾病モデル開発に関する研究班:腎疾患研究のためのモデルマウスを作製する。⑦難病特別研究班:SLEモデルを用いて、責任遺伝子の連鎖解析を行う。
結果と考察
①(1)尿蛋白減少作用については、ARB群がACE阻害薬群に比し、抗蛋白尿効果に差がある可能性が示唆された。(2)新たな診断基準(案)を作成(平成20年5月に発表予定)。(3)症例登録が平成20年3月に終了するため、登録された全症例の観察期間終了を待って、解析を行う予定。②RPGN診療指針の改定版を発刊する予定。③PSLとCyAおよびPSLとMZR併用療法に関して、血中濃度の変化と治療効果の関係が重要と考えられた。④ARBは高血圧を有する患者の腎機能悪化を緩和する腎保護作用が示唆された。⑤慢性透析導入リスクを推定するスコアリングシステムはIgA腎症患者に有用であると思われた。⑥Cre-LoxPシステムを用いて特定の細胞集団に特定の遺伝子を過剰発現するシステムを構築。⑦Lupus腎炎を示すSLEモデルにおいてCD4陽性Th細胞の自発的活性化にはMHC classⅡ領域のStat-1, Stat-2の2つの遺伝子座が重要であることが示された。
結論
各疾患の多施設共同臨床治験について、かなりの効果がみられており、今後診療指針の改訂版を発刊していく予定である。
公開日・更新日
公開日
2008-04-02
更新日
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