健康づくりを支援する環境とその整備状況の評価手法に関する研究

文献情報

文献番号
200722004A
報告書区分
総括
研究課題名
健康づくりを支援する環境とその整備状況の評価手法に関する研究
課題番号
H17-循環器等(生習)-一般-008
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
下光 輝一(東京医科大学公衆衛生学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 川久保 清(共立女子大学家政学部)
  • 武見 ゆかり(女子栄養大学栄養学部食生態学研究室)
  • 角田 透(杏林大学医学部衛生学公衆衛生学)
  • 中村 正和(大阪府立健康科学センター)
  • 村山 祐司(筑波大学大学院生命環境科学研究科)
  • 吉池 信男(国立健康・栄養研究所国際産学連携センター)
  • 井上 茂(東京医科大学公衆衛生学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
9,953,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は健康づくりを支援するための環境要因とその整備状況を評価する手法を開発することである。最終年度にあたる本年は、3年間の研究成果をもとに、「地域における健康づくり支援環境評価質問紙」を作成し、地域住民を対象とした調査で信頼性の検討、参考点の設定を行った。また、この評価質問紙を活用した「地域における健康づくり支援環境評価・対策マニュアル」を作成した。
研究方法
これまで各分担研究員が実施してきた研究成果をもとに環境評価手法を検討した。検討にあたり、4分野(身体活動、栄養、飲酒、喫煙)を包括的に取り扱える簡便な方法で、全国のどの自治体でも実施可能な方法であることを基本的な方針とした。最終的には質問紙による環境評価を提案した。この質問紙を用いて地域住民の調査を行い、評価指標の信頼性の検討、参考点の設定を行った。対象はつくば市、小金井市、静岡市、鹿児島市に居住する20‐69歳の男女で、住民基本台帳より性、年齢、都市、地区で層化して無作為に抽出した2,000人とした。調査は郵送による横断調査で行なった。
結果と考察
評価質問紙は43の質問(主要項目22項目、オプション項目21項目)で構成され、身体活動環境が10項目、食環境が10項目、飲酒環境が10項目、喫煙環境が10項目、その他の健康づくり環境が3項目とした。この質問紙を用いて地域住民を対象にした調査を行った。752人(男性:44.5%、年齢48.8±13.9歳、回収率37.6%)より協力が得られた。このうち50人のサンプルを用いて実施した再テスト法による質問紙の信頼性の検討ではおおむね良好な結果が得られた。本調査の結果をもとに、都市別、性別の平均点、標準偏差を求めて本質問紙の参考点とした。この参考点を用いて地域の環境偏差値の算出が可能になった。さらに、この質問紙を用いた環境評価、対策のためのマニュアルを作成した。対策例は43の質問項目全てについて、それぞれに対応して例示した。
結論
本研究で提示した質問紙およびマニュアルは主要な健康行動に関連した環境を簡便かつ包括的に評価できるものであり、マニュアルと共に地域の環境整備に活用可能と考えられる。

公開日・更新日

公開日
2008-04-15
更新日
-

文献情報

文献番号
200722004B
報告書区分
総合
研究課題名
健康づくりを支援する環境とその整備状況の評価手法に関する研究
課題番号
H17-循環器等(生習)-一般-008
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
下光 輝一(東京医科大学公衆衛生学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 川久保 清(共立女子大学家政学部)
  • 武見 ゆかり(女子栄養大学栄養学部食生態学研究室)
  • 角田 透(杏林大学医学部衛生学公衆衛生学)
  • 中村 正和(大阪府立健康科学センター)
  • 村山 祐司(筑波大学大学院生命環境科学研究科)
  • 吉池 信男(国立健康・栄養研究所国際産学連携センター)
  • 井上 茂(東京医科大学公衆衛生学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は健康づくりを支援するための環境要因とその整備状況を評価する手法を開発することである。健康づくりを支援する環境とは、身体活動・運動、栄養、飲酒、喫煙などの健康行動に影響する環境要因で、人々の行動変容を支援する環境を意味する。
研究方法
初年度は先行研究や地域の事例等を検討して環境評価指標案を作成した。第2年度から第3年度にかけては、この指標案を用いて各分担研究者が地域住民、健診受診者等を対象に調査を行った。さらに、第3年度にはこれらの研究成果をもとに「地域における健康づくり支援環境評価質問紙」を作成し、地域住民を対象に調査を行った。対象は、つくば市、小金井市、静岡市、鹿児島市に居住する20‐69歳の男女から無作為に抽出した住民2,000人とした。調査は郵送による横断調査で行い、質問紙の信頼性の検討、参考点の設定を行った。
結果と考察
作成した質問紙は43項目(主要項目22項目、オプション項目21項目)で構成され、身体活動環境が10項目、食環境が10項目、飲酒環境が10項目、喫煙環境が10項目、その他の健康づくり環境が3項目含まれている。この質問紙を用いて行なった地域住民の調査では752人(男性:44.5%、年齢48.8±13.9歳、回収率37.6%)より回答が得られた。再テスト法による信頼性はおおむね良好な結果であった。本調査の結果をもとに、都市別、性別の平均点、標準偏差を求めて参考点を設定した。地域の評価ではこの参考点を用いて環境偏差値を求める方法を推奨した。さらにこの質問紙を用いた環境評価、対策のためのマニュアルを作成した。具体的な対策例を43の質問項目全てについてそれぞれに例示した。
結論
「地域における健康づくり支援環境評価質問紙」および「地域における健康づくり支援環境評価・対策マニュアル」を作成した。主要な健康行動に関連した環境を簡便かつ包括的に評価できる手法であり、地域の環境整備に活用可能と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2008-04-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200722004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
健康づくりのための環境整備の重要性は以前より指摘されているが、環境に関する研究は、特に日本ではほとんど行なわれてこなかった。さらに、海外も含めて4つの健康行動分野(身体活動、栄養、飲酒、喫煙)を包括的に取り扱った環境に関する研究はほとんど行なわれておらず、新規性がある。また、本研究は行政が活用できるツールとしての評価手法を開発したもので、研究と行政とをつなぐ実践的な研究であった点でも意義があると考える。
臨床的観点からの成果
本研究は生活習慣病予防に関するもので、病院等で行なわれている生活習慣病の臨床とは直接関連しない。しかし、行動変容は生活習慣病の予防、臨床のいずれにおいても重要なテーマであり、健康づくり支援環境が人々の健康行動の重要な決定要因となっていることを明らかにした本研究の知見は、今後、行動変容が必要な様々な予防医学の場面、臨床場面において活用されることが期待できる。
ガイドライン等の開発
本研究は新規性の高いもので、現在のところ、本研究の知見を盛り込んだガイドライン等は作成されていない。しかし、行動変容は生活習慣病予防における重要なテーマであり、今後は各種ガイドラインで参考にされることが期待できる。
その他行政的観点からの成果
平成18年度国民健康・栄養調査の生活習慣調査で採用された「運動場所」に関する調査項目は、本研究班のメンバーが提案したものである。
健康日本21ではポピュレーション戦略の方策として環境整備の重要性が強調されているが、これまで具体的なエビデンスや対策が極めて少なかった。本研究の成果は今後、健康日本21の推進、次期健康づくり計画の策定に役立つものであり、積極的に提言を行なっていく。
その他のインパクト
分担研究者の井上が第9回運動疫学研究会で行った「身体活動と環境要因」の講演は、医療専門職向け情報紙「メディカルトリビューン(2006年9月14日)」に掲載された。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
10件
その他論文(英文等)
4件
学会発表(国内学会)
18件
学会発表(国際学会等)
13件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-10-06
更新日
-