保育環境の質尺度の開発と保育研修利用に関する調査研究

文献情報

文献番号
200701040A
報告書区分
総括
研究課題名
保育環境の質尺度の開発と保育研修利用に関する調査研究
課題番号
H19-政策-一般-016
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
秋田 喜代美(東京大学 大学院教育学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 小田豊(国立特別支援教育総合研究所)
  • 芦田宏(兵庫県立大学 環境人間学部)
  • 鈴木正敏(兵庫教育大学 学校教育研究センター)
  • 門田理世(西南学院大学 人間科学部)
  • 野口隆子(十文字学園大学 人間生活学部)
  • 箕輪潤子(川村学園女子大学教育学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
4,172,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
保育環境の質の向上と保育者の資質向上のために、園での自己評価等に使用できる保育環境の質尺度(幼児版、乳児版)を作成する。これは従来の保育の質環境尺度が園全体の構造的な側面や教育内容をもとにチェックを使用とする尺度であったのに対して、一人ひとりの子どもの活動をとらえることから保育過程の質をとらえようとして考案するものである。またその保育の質の環境尺度が基礎とする理念を理解し実際の保育において観察をもとに捉えようとする視点を提供するために、幼児版、乳児版に即したDVDを作成する。
研究方法
19年度にはまず国際的な保育の質に関する議論や尺度項目の検討をとらえ、そこから日本として保育過程の質を捉える尺度としてどのような概念が適切であるかを検討する。そして実際に幼児版の尺度を作成しその項目の妥当性を保育所に調査をすることで検討するとともに、この内容に即した保育場面に関して園に訪問してDVDのための記録撮影を行なう。
結果と考察
OECD諸国全体の動向、イギリス、アメリカ、韓国、中国、台湾、シンガポール、日本に関して使用されている尺度の内容や評価のあり方についてその動向を政府資料や学会誌資料から分析した。その結果、各国において使用されている尺度には第三者による評価を想定し物理的環境の客観的な判断が可能な設置基準のようなもの、ECERS/ITERSなどの自己評価が可能なもの、そして第三者評価と自己評価をくみあわせ、保育内容に重点を置いたNAEYCの認証評価、さらに子どものありようを起点として環境・内容にわたる評価を行なうSICSやEELなどがあることであり、自己評価と客観性のバランスが重要視されていることが明らかになった。
結論
上記の課題から最も適切と判断した、国際的に20カ国で使用されているSICSについてアジア版を日本や台湾等東アジアの実態に即した形で作成するのが最も新たな現在の保育の質評価尺度の動向として妥当と考えた。これは子ども一人ひとりの活動を、居場所感、安心感と対象への没頭、夢中という点からとらえて、保育環境の省察を行なうものである。このSICSを日本語訳し、その項目の妥当性を保育所30園に依頼して確定した。また実施に当たって日本の保育所の実態にあうよう、改訂したマニュアルを作成した。これを20年度に実際の園内研修で使用し、有効性や妥当性を検討する。

公開日・更新日

公開日
2008-05-21
更新日
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