建築物における環境衛生に関する研究

文献情報

文献番号
200501229A
報告書区分
総括
研究課題名
建築物における環境衛生に関する研究
課題番号
H16-健康-051
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
財団法人 ビル管理教育センター(財団法人ビル管理教育センター)
研究分担者(所属機関)
  • 池田 耕一(国立保健医療科学院建築衛生部)
  • 藤井 修二(東京工業大学大学院)
  • 紀谷 文樹(神奈川大学工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
23,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
室内空気質における微小粒子及び化学物質の建築物内の実態把握ならびに規制のあり方等についての検討を目的とした。また循環式浴槽のレジオネラ症防止対策として、ろ過装置の構造上の問題点等に注目し、衛生的な維持管理方法の検討を目的とした。
研究方法
空気環境については汚染物質の測定方法の検討及び特定建築物における各種汚染物質の実測として、粒子状物質測定では空調時における質量濃度と微粒子の個数濃度測定を行うとともに、粒子組成について検討した。化学物質測定では空調時におけるVOCやアルデヒド類等の化学物質濃度を調査した。また、建築物における喫煙の影響について検討した。建築物内の水環境では貯水槽への受水による水質影響について消毒副生成物の挙動を調査した。循環式ろ過器の構造上の問題点として、ろ過処理速度とろ材に及ぼす影響について検討した。各種残留塩素濃度測定法の特性評価としてpHやアンモニウムイオンの影響等を検討した。
結果と考察
室内空気質調査結果では、空調時の粒子状物質濃度は非空調時よりも低濃度であり、空調による換気効果が見られた。化学物質も同様に濃度上昇はみられなかった。喫煙調査結果として、喫煙区域は基準値を脅かないものの、空気環境に影響を及ぼしている可能性があった。また受動喫煙防止対策の効果は、空気清浄機や局所排気等による対策を講じても、喫煙・非喫煙の区切りがない場合は粒子状物質やガス状物質等の漏洩が確認され、既存建築物による受動喫煙防止対策の困難さが窺えた。貯水槽への受水による消毒副生成物の上昇は新規項目では確認できなかった。循環式浴槽のろ過器はろ過層厚600mmで流速40m/hが除去能力の高い結果となった。また、逆洗はろ過層厚600mmでは流速40m/h、400mmでは35m/hが好条件であった。残留塩素測定ではpHやアンモニウムイオンの条件で測定不可な測定器もあり、特に温泉水を使用している場合は泉質により誤差を生じることが確認された。
結論
特定建築物の居室内における粒子状物質及び化学物質については換気が適切に行われていれば問題ないことが確認できた。今後、居室内の室内空気質を評価するにあたっての計測項目及び測定方法を早急に取りまとめたい。循環式浴槽ろ過器の汚濁除去の効率良い運転条件等が明確にした。今後、ろ過器製造業者等へ周知し、感染事故を未然に防止したい。残留塩素測定は特に泉質により測定に不向きな方法もあることから、浴場管理者等に改めて周知する注意がある。

公開日・更新日

公開日
2006-05-08
更新日
-

文献情報

文献番号
200501229B
報告書区分
総合
研究課題名
建築物における環境衛生に関する研究
課題番号
H16-健康-051
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
財団法人 ビル管理教育センター(財団法人ビル管理教育センター)
研究分担者(所属機関)
  • 池田 耕一(国立保健医療科学院)
  • 紀谷 文樹(神奈川大学 工学部)
  • 藤井 修二(東京工業大学院 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
建築物内における環境衛生管理に関する調査として、特定建築物における微小粒子や化学物質等の実態並びに評価方法の検討、給水用防錆剤(以下、防錆剤)の使用や指導実態の把握、循環式浴槽の維持管理手法の検討を目的とした。
研究方法
汚染物質の測定方法を検討し、実際の特定建築物において精密調査及び全国5都市における簡易調査、受動喫煙対策による汚染物質の環境影響を評価した。防錆剤の使用に関する行政への届出状況調査および使用施設への聞き取り調査を実施し、実態を把握した。内視鏡を用いて循環配管内の生物膜の付着状況を観察し、配管内洗浄の効果を確認した。循環ろ過器を適正に評価するために流速とろ過層厚の基準値を算定した。さらに、浴槽水の残留塩素濃度を適正に評価するために種々の測定方法について検証した。
結果と考察
空調時(建築物の通常使用時)の粒子状物質および化学物質は低濃度であった。粒子状物質の最頻粒径や挙動は外気影響も受けるが、季節間による差もあると考える。化学物質はアルデヒド類等で建築物衛生法の基準値を上回る例もあった。また、喫煙による居住環境は基準値を脅かすものではなかった。防錆剤使用の届出内容等には地方自治体間で温度差が見られた。本調査における特定建築物での防錆剤の使用例は非常に少なかったものの、半恒久的使用等誤った使用が見受けられた。内視鏡観察の結果、配管洗浄後1年経過でも生物膜の付着が見られ、化学的洗浄により剥離した。循環の流速(LV)が速いとろ過器内のろ材を撒き上げてしまうことから、適正な条件としてろ過層厚600㎜でLV=40、400㎜でLV=35が判明した。現在、使用されているDPD法等の残留塩素測定法はpHやアンモニウムイオンの影響により適正に評価できない条件もあることが判明した。
結論
特定建築物の空気質は適切な空調の稼働により、管理基準や指針値の超過はほぼ見られなかった。今後、粒径別の個数濃度と質量濃度の関係を見出すにはデータの蓄積が必要である。建築物環境衛生行政で活用してもらうために防錆剤の適切な使用を目的とした管理マニュアルを作成した。循環式浴槽は使用等に伴い、配管内に生物膜が付着するため定期的な洗浄が必要である。ろ過機能を発揮するためにも今回得られた条件による運転が望ましい。残留塩素の誤発色等の問題もあり、管理する浴槽の水質の把握が重要である。

公開日・更新日

公開日
2006-09-26
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501229C