専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)の有効性及び安全性等の評価に関する研究

文献情報

文献番号
200501080A
報告書区分
総括
研究課題名
専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)の有効性及び安全性等の評価に関する研究
課題番号
H16-医薬-060
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
海老塚 豊(東京大学大学院薬学系研究科天然物化学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 合田 幸広(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部)
  • 大塚 英昭(広島大学大学院 医歯薬学総合研究科)
  • 市瀬 浩志(武蔵野大学 薬学研究所)
  • 花尻 瑠理(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部)
  • 代田 修(徳島文理大学 香川薬学部)
  • 水上 元(名古屋市立大学大学院 薬学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
14,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」に例示される各成分本質の安全性等に関し、国際的な現状を踏まえながら科学的に調査・検討し、我が国の食薬区分の見直しに資するデータを収集する。また、保健衛生上危害を生ずる恐れのある植物由来物質等のデータ収集を行うとともに、医薬品監視の立場から漢方処方等の分析指標について検討する。
研究方法
「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」に例示される品目の成分・本質について文献調査を行った後、班会議を開催し、その品目が「専ら医薬品」に分類すべきか再検討を行った。また、より実証的な検討が必要な品目について対象物の入手し、別途、成分検討や分析に関する研究等を遂行した。また、違法ドラッグ市場に流通する植物の基原種の鑑別、いわゆる健康食品中に含まれる勃起不全(ED)治療薬類似物質の活性並びに分析法の検討、健康被害が報告されたハーブのDNA分析、プロファイル分析、定量分析を行った。さらに、漢方処方の抽出方法の差と成分の比較、味認識装置を用いた漢方処方の味の規格化等行った。
結果と考察
本年度は、残った104品について判断を示した他、改めて名称、他名等で規定されている植物等の基原について優先ルールを定めた後、全ての品目について実証的研究の成果も考慮しながら再検討を行い、「専ら医薬品」リストに収載されている全品目について、「専ら医薬品」の有効性、安全性等の評価に関する調査報告を完成させた。また、新規17品目について調査研究を行った。さらに、ヨーロッパの薬局で購入したアルニカで数製品がEPで規定したA. montana由来でないこと、ED治療薬類似化合物は1錠で充分ED治療薬と同程度の活性を有すこと、健康被害の報告されたガウクルア製品に専ら医薬品成分は含有しないことを示した。さらに類似名処方でも、韓薬、中成薬、漢方薬では成分構成に大きな差があること、麻黄湯では、調製法の違いが麻黄アルカロイド含量に大きく影響を与えないこと、味覚認識装置を用いた研究で、処方の味に大きく影響を与える生薬があり、規格化にこの点を考慮する必要性があること示した。
結論
本研究の成果は、今後、厚労省において食薬区分の見直しを検討する基礎資料となる。さらに、専ら医薬品、違法ドラッグ等の監視・指導行政に貢献する。

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2008-01-31
更新日
-

文献情報

文献番号
200501080B
報告書区分
総合
研究課題名
専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)の有効性及び安全性等の評価に関する研究
課題番号
H16-医薬-060
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
海老塚 豊(東京大学大学院薬学系研究科天然物化学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 合田 幸広(国立医薬品食品衛生研究所生薬部)
  • 関田 節子(徳島文理大学香川薬学部)
  • 花尻 瑠理(国立医薬品食品衛生研究所生薬部)
  • 大塚 英昭(広島大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 市瀬 浩志(武蔵野大学薬学研究所)
  • 代田 修(徳島文理大学香川薬学部)
  • 水上 元(名古屋市立大学大学院薬学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」に例示される各成分本質の安全性等に関し、国際的な現状を踏まえながら科学的に調査・検討し、我が国の食薬区分の見直しに資するデータを収集する。また、保健衛生上危害を生ずる恐れのある植物由来物質等のデータ収集を行うとともに、医薬品監視の立場から漢方処方等の分析指標について検討する。
研究方法
「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」に例示される品目の成分・本質について文献調査を行った後、班会議を開催し、その品目が「専ら医薬品」に分類すべきか再検討を行った。また、より実証的な検討が必要な品目について対象物を入手し、別途、成分検討や分析に関する研究等を遂行した。また別に、違法ドラッグ市場に流通する向精神作用を有する成分を含有する植物についての調査と分析法の確立、ED治療薬類似物質に関する活性と分析法の検討、健康被害が報告されたハーブの分析法の検討等を行った。さらに、医薬品の監視指導の観点から、漢方処方の抽出方法の差と成分の比較、味認識装置を用いた漢方処方の味の規格化等行った。
結果と考察
「専ら医薬品」と判断されていた331品目について、「専ら医薬品」の有効性、安全性等の評価に関する調査報告を完成させた。その結果、38品目について、医薬品としての使用実績が乏しく、含有成分等からも食薬区分の見直し対象となり得ると考えられると評価された。また、新規に「専ら医薬品」であるかどうか判断が求められた品目ついても調査を行い、医薬食品局監視指導・麻薬対策課(監麻課)長が招集する「医薬品の成分本質に関するワーキンググループ」の基礎資料を作成した。また、ED治療薬類似物質も含め違法ドラッグ市場に流通する様々な物質に関する調査と分析法の確立は、監麻課が関与する検討会並びに通知等の基礎資料となった。さらに、本研究で、直接諸外国でハーブ類を購入した結果、諸外国でも名称と基原が混乱していることが明らかになった。また、漢方処方では、抽出方法の差で成分に差があること、味認識装置による漢方処方の規格化が可能であることが明らかとなった。
結論
本研究の成果は、今後、厚労省において食薬区分の見直しを検討する基礎資料となる。さらに、専ら医薬品、違法ドラッグ等の監視・指導行政に貢献する。

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501080C

成果

専門的・学術的観点からの成果
「専ら医薬品」331品目について、418ページの「専ら医薬品の有効性、安全性等の評価に関する調査報告」を完成させた。本報告をもとに,「医薬品の成分本質に関するWG」が開催され,平成19年4月中に46通知の改正が行われることになった。また、原著論文4報が既に印刷されており、このうち味認識装置による研究(Natural Medicine, 59, 164-170 (2005))は、日本生薬学会の論文賞を受賞した。さらに、本研究で同定したヒドロキシホモシルデナフィルは、新規な未承認医薬品成分である。
臨床的観点からの成果
本研究は、臨床研究ではなく、専ら医薬品、違法ドラッグ等の監視・指導行政に貢献するために行われている。
ガイドライン等の開発
平成16年3月31日に通知された、医薬品の範囲に関する基準の一部改正は、本研究の成果に基づいたものである.また,平成19年4月中に同通知の再改正が行われることになっている。
その他行政的観点からの成果
本研究班の成果に基づき、都道府県から疑義照会のあった化合物について、専ら医薬品の判断を回答した他、各種ED治療薬及びヒドロキシホモシルデナフィル等の分析法の通知など、監視指導麻薬対策課から平成15-17年度の間で26件の通知、事務連絡が行われている。また、韓国をはじめ、海外にも情報提供が行われている。
その他のインパクト
本研究成果は、健康食品関係の業界新聞で取り上げられている。また、Pueraria mirifica含有を標榜した健康食品には、専ら医薬品成分は含まれていなかったが、DNA分析並びに成分分析の結果から、17製品中9製品は、他の植物(ムラサキウマゴヤシ、ハス、クズイモ等)由来であることが明らかとなり、本内容は、日本薬学会のレギュラトリーサイエンス部会主催のシンポジウムで公表されるとともに、薬学会の機関誌ファルマシアに掲載となった。また、研究成果は、健康食品関係の業界新聞で取り上げられている。

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
2件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
19件
学会発表(国際学会等)
3件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
なし
その他成果(施策への反映)
26件
監視指導麻薬対策課からの通知、事務連絡
その他成果(普及・啓発活動)
9件
大学の特別講演、薬剤師研修センターの講習会、業界団体の研修会、地方薬剤師会、分析化学会、薬学会の市民講座等での講演

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
安食菜穂子,川原信夫,合田幸広
味認識装置による漢方処方の味の評価に関する研究(第1報)
Natural Medicines , 59 , 164-170  (2005)
原著論文2
R. Kikura-Hanajiri, M. Hayashi, K. Saisho and Y. Goda
Simultaneous Determination of 19 Hallucinogenic Tryptamines/β-calbolines and Phenethylamines using GC-MS and LC-ESI-MS
J. Chromatogra. B. , 825 , 29-37  (2005)
原著論文3
Kim, I. H., Kaneko, N., Uchiyama, N., Kawahara, N., Goda, Y.
Two phenylpropanoid glycosides from Neopicrorhiza scrophulariiflora
Chem. Pharm. Bull. , 54 , 275-277  (2006)
原著論文4
安食菜穂子,鈴木あゆみ,川原信夫,合田幸広
味認識装置による漢方処方の味の評価に関する研究(第2報)葛根湯に関する検討
生薬学雑誌 , 60 , 21-27  (2006)
原著論文5
Kim, I. H., Uchiyama, N., Kawahara, N., Goda, Y.
Iridoid glycosides and cucurbitacin glycoside from Neopicrorhiza scrophulariiflora.
Phytochemistry , 67 , 2691-2696  (2006)
原著論文6
Sakai, S., Kawaguchi, K., Kamakura, H., Kawahara, N., Goda, Y.
Characterization of Major Components in Crataegus oxyacantha L. Leaves and Analyses of the Leaves and Commercial Hawthorn Leave Products.
Japanese Journal of Food Chemistry , 14  (2007)

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-