医療事故における人間的・組織的要因の分析・予防システム等の開発研究

文献情報

文献番号
200501243A
報告書区分
総括
研究課題名
医療事故における人間的・組織的要因の分析・予防システム等の開発研究
課題番号
H15-医療-006
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
今中 雄一(京都大学大学院医学研究科医療経済学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 石崎達郎(京都大学大学院医学研究科医療経済学分野 )
  • 関本美穂(京都大学大学院医学研究科医療経済学分野 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
当該年度は、過去2年度の研究を礎として、医療事故の人間的・組織的な根本原因の基
盤となる『組織文化』を評価する手法を開発し、実態調査を行い、その構造や関連要因を分析した。
研究方法
安全のための組織文化調査票は、系統的、網羅的な関連文献レビュー、面接による情報収集、内容分析、関連調査実績などにより開発する。6病院においてこの調査票を用いて調査し、種々のサブグループ間の比較、内部構造、関連要因、患者満足度との関連などを分析する。
結果と考察
医療事故の人的・組織的要因の分析・対策立案手法については、当研究開始時より系統的、網羅的な関連文献レビュー、国内・海外の面接による情報収集などをもって情報を徹底的に収集してきたが、本年度においては、さらに情報を収集し、分析し、統合した。
上記をふまえて、医療事故・エラー防止を推進する上で、必要となる組織文化について、人間的・組織的要因の基盤となる組織文化について実態調査をもって妥当性信頼性の高い評価手法を開発した。それは、チームワーク、情報共有、士気・やる気、プロとしての成長、組織基盤、安全確保の状況、職務満足度、職務負荷等に関する質問項目、ならびに回答者の属性に関する質問項目で構成されている調査票を用いるものである。それを用いて、多施設でその状況を調査し、これらの相互の関連、入院患者の満足度との関連も分析し、組織文化の関連要因を確認した。
さらに、病院の安全に対する組織文化において、調査協力施設間、職種間、職位間、職場間で比較し、各グループ間の相違が確認され、また、安全文化と安全確保の取組み状況との関連も確認された。さらに、患者満足度と安全文化の関連についても実証し、安全文化の醸成は、安全確保の取組みの推進や患者満足の向上において、重要な課題であることを確認した。
結論
本研究の今年度の成果としては、医療機関レベルで医療事故の根本的要因を系統的に改善し、組織を評価し強化するための具体的方策をもって、医療事故を防止し広く社会貢献するために、以下の成果を上げることができた。
○人的要因、組織要因の基盤であるところの組織文化を評価する妥当な信頼性高い手法を開発し構築した。
○医療事故防止・医療安全に関する組織文化の構造、職種・階層・施設の内外でのばらつきや関連要因を明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2007-06-25
更新日
-

文献情報

文献番号
200501243B
報告書区分
総合
研究課題名
医療事故における人間的・組織的要因の分析・予防システム等の開発研究
課題番号
H15-医療-006
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
今中 雄一(京都大学大学院医学研究科医療経済学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 石崎達郎(京都大学大学院医学研究科医療経済学分野 )
  • 関本美穂(京都大学大学院医学研究科医療経済学分野 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
病院における医療事故・エラー防止を推進する上で必要となる、人間要因・組織要因の系統的な分析・対策立案方法の情報収集・整理統合を行い、安全に関する組織文化を評価し、その状況を把握し、相互関連や関連要因を検討する。
研究方法
医療事故の人的・組織的要因の分析・対策立案の系統的手法については、系統的、網羅的な関連文献レビュー、国内・海外の面接による情報収集などをもって情報を徹底的に収集し分析して統合する。
また、安全文化調査票は、系統的、網羅的な関連文献レビュー、面接による情報収集、内容分析、関連調査実績などにより開発する。6病院においてこの調査票を用いて調査し、種々のサブグループ間の比較、内部構造、関連要因、患者満足度との関連などを分析する。
結果と考察
医療事故の人的・組織的要因の分析・対策立案の系統的手法を具体的に呈示できた。そして、医療事故の根本原因として、また医療事故・エラー防止を推進する上で、重要である人間的・組織的要因の基盤となる組織文化について、妥当性・信頼性の高い評価手法を開発することができた。それは、チームワーク、情報共有、士気・やる気、プロとしての成長、組織基盤、安全確保の状況、職務満足度、職務負荷等に関する質問項目、ならびに、勤続年数、勤務時間、職種、役職、所属部門・部署等の回答者の属性に関する質問項目で構成されている調査票を用いるものである。その手法を用いて多施設の実態調査を行い、施設間、職種間、職位間、職場間で結果の比較や関連要因の分析を行った。また、安全文化と安全確保の取組み状況との関連も確認した。さらに、患者満足度と安全文化の関連についても実証し、安全文化の醸成は、安全確保の取組みの推進や患者満足の向上において、重要な課題であることを確認した。

結論
本研究は、医療機関レベルで医療事故の根本的要因を系統的に改善し、組織を評価し強化するための具体的方策をもって、医療事故を防止し広く社会貢献するために、
1)医療事故の人的、組織的な要因を系統的に分析し対策立案する手法を整理し統合して呈示することができた。
2)人的要因、組織要因の基盤であるところの安全文化を評価する妥当な信頼性高い手法を開発し構築することができ、その構造や関連要因も明らかにすることができた。

公開日・更新日

公開日
2007-06-25
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501243C

成果

専門的・学術的観点からの成果
医療提供組織の運営状況や系統的な分析・改善方策に関する知見を、医療界内外の文献とインタビュー等から学際的に情報収集し、組織構造等の客観指標やヒューマンファクター等も含めて、理論的枠組みに照らして整理・統合した。患者安全確保の機能と安全文化の調査結果では、安全文化の得点が高いところは安全活動の取組み状況も高いことを示し、また、安全文化と入院医療、医師、看護師に対する満足度との高い相関を確認できた。幹部、中間管理職、一般職の順の職位間のギャップや各部署間での違いを明確に把握することができた。
臨床的観点からの成果
安全文化を醸成しマネジメント体系を強化することで、医療の安全確保がより推進されるであろうことが示唆された。また、各施設、各職種、各職位、各職場に対して、安全文化を構成する各領域のどの部分を強化すべきかが明示されたため、効率的な医療安全マネジメントの実現に役立つことが確認できた。これらの成果は、系統的なアプローチが従来困難であった人的・組織的要因からの組織基盤の強化と医療安全確保の推進の実現や安定で系統的なシステム作りに寄与できるものである。医療機関の医療安全システムに参考にされた。
ガイドライン等の開発
病院システムの評価基準に、参考にされた。
その他行政的観点からの成果
医療安全の方策・行政施策に間接的に反映された。
その他のインパクト
医療機関が多数参加するシンポジウム等で取り扱われた。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
3件
その他論文(和文)
26件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
その他成果(普及・啓発活動)
1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Ishizaki T, Imanaka Y, Hirose M, et al.
Estimation of the impact of providing outpatients with information about SARS infection control on their intention of outpatient visit.
Health Policy , 69 , 293-303  (2004)
原著論文2
Sekimoto M, Asai A, Ohnishi M, et al.
Patients' preferences for involvement in treatment decision making in Japan.
BMC family practice , 5 (1)  (2004)
原著論文3
Hirose M, Imanaka Y, Ishizaki T, et al.
How can we improve the quality of health care in Japan?: Learning from JCQHC hospital accreditation.
Health Policy , 66 , 29-49  (2003)

公開日・更新日

公開日
2020-05-26
更新日
-