文献情報
文献番号
200500483A
報告書区分
総括
研究課題名
早期膵臓がん検出マーカーの同定
研究課題名(英字)
-
課題番号
H16-3次がん-019
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
山下 義博(自治医科大学医学部 ゲノム機能研究部)
研究分担者(所属機関)
- 間野 博行(自治医科大学医学部 ゲノム機能研究部)
- 菅野 健太郎(自治医科大学医学部 消化器内科学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
13,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
膵臓がんは極めて予後不良な悪性腫瘍であり、特徴的臨床所見に乏しく、診断が確定した時点では既にがんが進行し根治手術が困難な例がほとんどを占める。しかも診断目的で施行する膵液細胞診による膵臓がんの診断率も依然高くなく新たな診断マーカーの同定が世界的な急務といえる。本研究計画において我々は、膵管上皮細胞を用いたDNAチップ解析を大規模に行うことにより、膵がん細胞特異的発現を示す遺伝子の同定を行う。
研究方法
(1)検体の純化。上皮細胞特異的表面蛋白MUC1に対する抗体を用いたマグネティックビーズカラムによるMUC1陽性細胞の簡便な純化装置を開発した。また本邦に広く分布する研究協力施設において、周辺病院より採取した膵液から膵管上皮細胞を効率よく純化保存する事業を開始した。(2)膵臓がん4症例と正常4症例の膵管上皮細胞よりmRNAを抽出したのちそれぞれ混合したmRNAプールを作り、両者の間でcDNAサブトラクション実験を行い、膵臓がん特異的なcDNAの同定を試みた。
結果と考察
(1)膵臓がん4例および健常者4例のサンプルからcDNA調整しそれぞれプールした後、両グループ間で発現が異なるcDNA断片のサブトラクションクローニングを行った。同定された384×2=768クローンのcDNAについてone-pass seqeunceを行い、そのannotationも終了した。これら膵癌特異的遺伝子の候補cDNAについて、検体約20例を用いた一次スクリーニングパネルによる定量的リアルタイムPCR実験を行った。その結果10種類以上の膵臓がんマーカーの候補が同定された。さらに症例数を増加した二次スクリーニングパネルの検体を用いた発現定量を行い、最終的に複数の新規膵臓がんマーカー遺伝子を同定することに成功した。中でも遺伝子Aの発現量は、正常膵臓30例において0.55 U ± 1.79(平均±標準偏差)、良性膵腫瘍19例において32.4 U ± 70.1、膵臓がん39例において54.6 U ± 142.7と明瞭な腫瘍特異性を示した。
結論
膵管上皮細胞のバンク事業はその後も拡充に努めており、さらにこれら試料を用いたcDNAサブトラクション法による膵臓がん特異的遺伝子のスクリーニングと、DNAマイクロアレイによる膵臓がん細胞の遺伝子発現プロファイル解析も継続している。
公開日・更新日
公開日
2006-04-07
更新日
-