文献情報
文献番号
200500377A
報告書区分
総括
研究課題名
痴呆性疾患の介入予防に関する研究(臨床研究実施チームの整備)
課題番号
H16-チム(痴・骨)-004
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
朝田 隆(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究【痴呆・骨折臨床研究(若手医師・協力者活用に要する研究を含む)】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
認知症の前駆期にある個人を中心に栄養、運動、睡眠による予防介入を行い、経年的に認知機能を評価する。アポリポ蛋白など末梢血中の脂質に注目して認知機能との関係を継続的に検討して、2年半の介入の効果を検討する。
研究方法
茨城県利根町で地域レベルの悉皆スクリーニングを行い、痴呆症の前駆期にある個人を診断した。そして前駆期の個人を中心に運動、栄養、睡眠からなる予防介入を行った。栄養は3月に1度の集会を開き、望ましい指導を行った上でサプリメント(エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、銀杏葉エキス、抗酸化物質リコペン含)を配布した。運動と睡眠については1月ごとに集会を催し、運動指導と身体機能評価を行った。
介入群では1年毎に、ファイブコグという集団スクリーニングテストで認知機能を、またGeriatric Depression Scaleにより気分状態を測定した。一方で末梢血中の総コレステロール、中性脂肪、各種のアポリポ蛋白などの測定を行なった。非介入群では初回評価の3年後にファイブコグによる認知機能、身体機能、血液・生化学所見などを評価した。また介入群、非介入群共に無作為抽出対象において初回と3年後に、テンミニという個別の認知機能評価テストによる検査も施行した。そして介入による認知機能への効果をみた。
介入群では1年毎に、ファイブコグという集団スクリーニングテストで認知機能を、またGeriatric Depression Scaleにより気分状態を測定した。一方で末梢血中の総コレステロール、中性脂肪、各種のアポリポ蛋白などの測定を行なった。非介入群では初回評価の3年後にファイブコグによる認知機能、身体機能、血液・生化学所見などを評価した。また介入群、非介入群共に無作為抽出対象において初回と3年後に、テンミニという個別の認知機能評価テストによる検査も施行した。そして介入による認知機能への効果をみた。
結果と考察
介入の前後と、介入か非介入かによる交互作用に注目して、これが有意であれば介入効果がある可能性を想定した。その上で年齢、性、教育年数を調整した最小自乗値をグラフ化した。その結果が合理的と判断された場合に初めて最終的に介入効果ありと判断した。その結果、ファイブコグにおける記憶において、またテンミニの論理記憶課題において有意な介入効果が認められた。
多種類の脂質の値とその推移とに対する介入の影響を検討した結果、以下の結果を得た。
・5Cog記憶の変化とHDLCの変化が有意な正相関を示した。
・5Cog語想起の変化とHDLCの変化が有意な正相関を示した。
・10miniにおけるTrail Making BとApoA1との間に有意な負の相関を認めた。
・10mini推論の変化とApoEの変化との間に有意な負の相関が認められた。
多種類の脂質の値とその推移とに対する介入の影響を検討した結果、以下の結果を得た。
・5Cog記憶の変化とHDLCの変化が有意な正相関を示した。
・5Cog語想起の変化とHDLCの変化が有意な正相関を示した。
・10miniにおけるTrail Making BとApoA1との間に有意な負の相関を認めた。
・10mini推論の変化とApoEの変化との間に有意な負の相関が認められた。
結論
有意な介入効果が認められた。またHDLCが高齢者の認知機能と相関しながら変化するという所見は新たに重要な視点を示したと言える。
公開日・更新日
公開日
2006-04-06
更新日
-