集中治療部門(ICU,NICU)等、易感染性患者の治療を担う部門における院内感染防止対策に関する研究

文献情報

文献番号
200401018A
報告書区分
総括
研究課題名
集中治療部門(ICU,NICU)等、易感染性患者の治療を担う部門における院内感染防止対策に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
武澤 純(国立大学法人名古屋大学大学院医学系研究科機能構築医学専攻 救急・集中治療医学)
研究分担者(所属機関)
  • 吉田勝美(聖マリアンナ医科大学)
  • 荒川宜親(国立感染症研究所細菌第二部)
  • 星 邦彦(東北大学医学部附属病院)
  • 岡田邦彦(長野県厚生農業協同組合連合会佐久総合病院)
  • 榊原陽子(名古屋大学医学部附属病院)
  • 瀬川 一(京都大学医学部附属病院)
  • 佐藤和夫(独立行政法人国立病院機構九州医療センター)
  • 茨 聡(鹿児島市立病院)
  • 北島博之(大阪府立母子保健総合医療センター)
  • 土手健太郎(愛媛大学医学部附属病院)
  • 境田康二(船橋市立医療センター)
  • 早川昌弘(名古屋大学医学部附属病院)
  • 志賀清悟(順天堂大学静岡病院)
  • 中山英樹(福岡市立こども病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
5,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業のICU部門とNICU部門で収集した患者重症度や感染リスクで標準化されたデータ(ICU部門は平成12年7月より、NICU部門は平成14年7月より)の検討に加えて、診療機能に関する施設属性データや衛生管理など院内感染対策データを収集し、リスク因子の抽出とその対策、および院内感染関連臨床指標を用いた施設間比較を実施する。
研究方法
ICU部門では、厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業ICU部門の参加施設から提供されたデータに基づいて院内感染関連臨床指標を検討し、サーベイランス参加施設の中で参加施設の施設間比較を行った。また、分担研究者は各施設のサーベイランスデータに基づいて、自施設の院内感染のリスク因子対策とその評価を行った。
NICU部門では、サーベイランス入力支援システムへのデータ移行の改良を行った。加えて、2004年のサーベイランスデータの集計を行った。また、各施設での院内感染に関与するリスク因子の洗い出しと、その対策について検討を加えた。
結果と考察
ICU部門では多剤耐性菌による院内感染が2001年から増加傾向にあり、中でも人工呼吸器関連肺炎が増加していた。標準化死亡比やリスク調整された院内感染発生率には施設間でバラツキが見られるため、さらなる院内感染対策の標準化が望まれる。院内感染のリスク因子では救命救急センターがある施設、夜間研修医が勤務する施設においてリスクが大きく、定時回診やカンファレンスの開催、血液浄化管理指針や抗生物質予防投与の取り決め、使用機材の個別化、ガーゼ交換時手袋着用によりリスクが低下していた。NICU部門では全体の感染率は111/1651 (6.7%)であり、1000g未満の低体重出生児の院内感染獲得率は約25%と高く、その死亡率は約10%であるため、低体重出生児の感染対策の重要性が再確認された。また、NICUでは基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)の産生株が同定されており、これらの菌による院内感染に注意が必要である。
結論
ICUにおいては人工呼吸器関連肺炎が増加しているため、その監視と対策が必要である。NICUでは低体重出生児において院内感染獲得の機会が多いため、その対策の強化が必要である。起炎菌としてはMRSAが多いが、グラム陰性菌の耐性度も高まっている。

公開日・更新日

公開日
2005-04-07
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-20
更新日
-