HIV感染症の動向と予防モデルの開発・普及に関する社会疫学的研究

文献情報

文献番号
200400657A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV感染症の動向と予防モデルの開発・普及に関する社会疫学的研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
木原 正博(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系国際保健学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 和田  清(国立精神・神経センター精神保健研究所薬物依存研究部)
  • 小野寺昭一(東京慈恵会医科大学医学部泌尿器科)
  • 木原 雅子(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系国際保健学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
86,702,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国で有効かつ実施可能な予防介入モデルを社会疫学的手法に基づき開発・普及し、かつハイリスク集団のHIV感染率や行動のモニタリングを行う。
研究方法
予防介入に関する研究
研究対象は若者、滞日外国人、ハイリスク層。若者では、高校生の大規模性行動調査を全国(全国PTA連合会と共同、9567人参加)及び某県(75%の公立高校23600人が参加)で実施した。また、昨年度までに開発した学校単位の予防モデル(WYSHモデル)の改善と普及を図るため、厚労省事業と連動して、全国から募集した中学45校、高校29校(合計約19000人)を対象に予防介入(独自開発のパワポ、ビデオを用いた授業とポスター、パンフによる啓発)を実施し評価した。滞日外国人では、ブラジル人とスペイン語系住民を対象に質問票調査(4地区580名)や面接調査を行い、予防介入のあり方を質的・量的に検討した。ハイリスク層では、HIV感染者の性行動変容を医療現場で支援するための間接介入プログラム(独自の医療従事者用パンフと患者用パンフを使用)を企画し、ランダム試験を開始した。米国CDCが開発し昨年度までに咀嚼導入を終えた個別介入法(PCM法)を用いて、HIV感染者等に予防介入を行い評価した。
モニタリングに関する研究
ハイリスク層(薬物使用者419名、STD診療施設受診者1889名)のHIV/STD陽性率・リスク行動を調査し、経年変化を検討した。
結果と考察
性行動研究では、全国と某県レベルの結果は酷似し、現代高校生の活発で無防備な実態と、その関連要因を示した。また、予防介入研究では、WYSHモデルによる介入で、中・高校生で知識が大幅に増え、セックス容認度が低下し、コンドーム常用率が増加するが、性経験率は増加しないことを示した。滞日外国人では、定住化傾向の強まりとその地域差、知識の動向、性行動リスクの状況を示し、質的分析からは若者の予防介入上有用な情報を得た。PCM法がHIV感染者の行動変容に有効である可能性を示した。
モニタリング研究では、薬物使用者について、1997年以来、回し打ち行動は減少傾向だが依然高率で、性行動リスクも高いことを示した。STD診療施設受診者については、男性で5名(1.2%)のHIV感染者を認めた。
結論
若者の性行動・予防介入及びHIV感染者の予防介入について重要な進歩があり、またハイリスク層のモニタリング体制を確立した。

公開日・更新日

公開日
2005-06-27
更新日
-