文献情報
文献番号
200400561A
報告書区分
総括
研究課題名
言語的意思伝達に制限のある重度障害者に対してIT技術等を活用した意思伝達手段の確保を支援するための技術開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
中邑 賢龍(香川大学教育学部)
研究分担者(所属機関)
- 中野泰志(東京大学先端科学技術研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
障害のある人に対する質の高い福祉サービスの実現において,コミュニケーションを確保し,最大限に当事者の意思を尊重することは重要である。重度障害のある人のコミュニケーション確保は,即効的なものでなく,福祉施設職員や親など支援者のコミュニケーション知識と技量に依存する面が大きい。重度障害のある人とのコミュニケーションに関する知識を多くの人が共有し,維持することは,当事者の生活の質を保証する上で重要であるが,重度障害のある人は,自らの情報(コミュニケーション手段,趣味や嗜好などのプロフィール等)を相手に伝えることは難しいという課題が残る。そこで,本研究では,携帯電話のインターネット機能を活用し,コミュニケーションに関する情報を多くの人が効果的に共有するシステム(e-PPシステム)の開発を行うことを目的とした。
研究方法
e-PPシステムの改良を行い,介護現場での実証実験を行なった。同時に,介護情報の選択と情報提示方法のベテランと新人の差異を実験的に検討した。
結果と考察
e-PPシステムは,携帯電話上で情報を閲覧・編集しやすいようにインタフェースが改善された。介護場面におけるe-PPシステムの実証実験の結果,携帯電話の利用に慣れていない中高年の介護者は本システムの利用そのものに抵抗を示した。一方,携帯電話の利用に慣れた若い介護者は比較的抵抗無く利用し,効果的であると評価した。介護情報の選択と情報提示方法の検討では,ベテランは新人に比べて約3倍の要素を抽出し,新人とは違った視点を持っていることが明らかになった。また,抽出した情報を提示する場合,一括で提示するよりも,話題ごとに提示するほうが活用されやすい結果が示された。
結論
e-PPシステムの情報伝達における有効性が実証された。しかし,その活用は利用者となる介護スタッフのITリテラシーに大きく依存する結果も示されており,現状での福祉現場への導入は容易でないと考えられる。しかし,携帯電話操作に慣れた人のe-PPシステムに対する抵抗は低く,今後,介護におけるコミュニケーションツールとして大きな役割を果たすことが出来ると思われる。
公開日・更新日
公開日
2005-04-28
更新日
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