上顎・頭蓋底がんの切除と再建手術の標準化に関する研究

文献情報

文献番号
200400490A
報告書区分
総括
研究課題名
上顎・頭蓋底がんの切除と再建手術の標準化に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
波利井 清紀(杏林大学医学部(形成外科))
研究分担者(所属機関)
  • 鎌田 信悦(財団法人癌研究会有明病院(頭頚科))
  • 山本 有平(北海道大学大学院医学研究科(形成外科))
  • 野﨑 幹弘(東京女子医科大学(形成外科))
  • 木股 敬裕(岡山大学大学院医歯学総合研究科(形成再建外科))
  • 光嶋 勲(東京大学大学院医学系研究科(形成外科))
  • 丸山 優(東邦大学医学部(形成外科))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 上顎・頭蓋底のがん切除後には、この部位の特殊な形態のため高度の整容的・機能的障害を生じ、患者の術後QOLの著しい低下をおこしやすい。このため、がん切除後には適切な再建が必須となるが、本研究ではより安全で信頼のおける再建法を開発し標準化を行う。
研究方法
 上顎・頭蓋底がんの治療法は各施設で異なり、その切除法自体も標準化されていない。そのため当班の前年度の研究では、複雑な解剖学的構造を有する上顎と頭蓋底に生じるがん切除後の欠損を分類し、評価の基準として欠損のタイプを6型に分類した。本年度はこれらの分類に従って、行われた再建法を評価し検討を行った。倫理面への配慮として、本研究では個人が特定されることは無いが診療録の保管などは厳重に管理し、再建に新素材を用いる場合は各施設の倫理委員会の承認を得た上で、十分なインフォームドコンセントのもとに行った。
結果と考察
 過去10年間の班員及び研究協力者の9施設で行われた症例をもとに検討した。上顎・頭蓋底がん切除後の再建において、一次再建(切除と同時に行う即時再建)、二次再建(切除後に一定期間をおいた後に行う機能や外貌の再建)合計333例であった。欠損のタイプ別に再建法を検討したが、欠損範囲や眼球温存の有無などにより選択される再建法が大きく異なっていた。特に重篤な欠損となるType IVからType VIは、maxillectomyに伴う再建が必須であることが分かった。一次再建において複雑な術式を行うことは安全性および医療経済的にも無駄が多く、一方、二次再建例では頬部整容、眼球位置改善、義歯装着のための歯槽部再建などが求められるため、術式が複雑になってもより良い再建法が必要であろうことは班員の一致した意見であった。
結論
 上顎・頭蓋底がん切除後の欠損はさまざまな形態を呈するが、もっとも重篤な欠損となるのは、われわれが作成した6タイプ分類のうちType IVからType VIの欠損である。この分類に沿って過去に行われた再建法を検討することにより、安全かつ一般的に施行が可能であり、医療経済的にも受け入れが可能な再建法の標準化を提案できると考える。

公開日・更新日

公開日
2005-04-04
更新日
-