革新的な診断技術を用いたこれからの肺がん検診手法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200400452A
報告書区分
総括
研究課題名
革新的な診断技術を用いたこれからの肺がん検診手法の確立に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 隆一郎(大阪府立成人病センター研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 曾根 脩輔(JA厚生連安曇総合病院)
  • 望月 輝一(愛媛大学 医学部)
  • 長尾 啓一(千葉大学)
  • 新妻伸二(新潟労働衛生医学協会)
  • 吉村 明修(日本医科大学第4内科)
  • 中川 徹(日立健康管理センター)
  • 西井 研治(岡山県健康づくり財団 付属病院)
  • 岡本 直幸(神奈川県立がんセンター)
  • 佐藤 雅美(宮城県立がんセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国では、単純X線と高危険群に対する喀痰細胞診を用いた肺がん検診(従来型検診)が、ほぼ全国的に広く行われてきた。しかし従来型肺がん検診は、他の臓器のがん検診に比べて精度が低く、精度の高い新たな検診手法の開発が必要とされている。本研究では末梢型肺がんを対象とした低線量CTと、肺門型肺がんを対象とした喀痰細胞診の有効性を、肺がん死亡率減少効果という尺度で、検討することを研究目的とした。
研究方法
低線量CTの死亡率減少効果を評価する研究を研究A、喀痰細胞診の死亡率減少効果を評価する研究を研究Bとした。
(研究A)すでに実施されたCT検診の受診者を研究群(CT検診群)、ほぼ同時期に行われた従来型検診の受診者を対照群(通常検診群)として登録し、両群の累積肺がん死亡率を比較した。
(研究B)宮城県の平成元年肺がん検診受診者をコホートとし、その後の喀痰細胞診受診歴と肺がん死亡の関係を比較するコホート内症例対照研究を計画した。
結果と考察
(研究A)CT検診群46,733人と通常検診群91,970人を登録し、平成14年末まで追跡した。平均追跡期間はCT検診群3.6年、通常検診群は5.0年であった。
CT検診群の肺がん粗死亡率は男性70.0、女性16.9(対10万人年)、通常検診群の肺がん粗死亡率は男性88.2、女性26.4であった。男性の肺がん死亡に関するO/E比(実測期待比)は、CT検診群で0.71と通常検診群の0.60とほぼ同じであった。一方女性の肺がん死亡に関するO/E比は、CT検診群で0.36、通常検診群で0.70と、CT検診群の肺がん死亡率が低い傾向が認められた。
(研究B)平成元年の宮城県肺がん検診受診者中、40?79歳の喫煙指数600以上の男性喀痰細胞診受診者10,219名をコホートとし、宮城県がん登録資料と照合した。死亡時年齢が40-79歳で、死亡年月日が平成4?12年末までのもの251例を症例と確定した。
結論
(研究A)3年半という短い追跡期間では、男性ではCT検診による肺がん死亡率減少効果は確認されず、女性では弱い死亡率減少効果が示唆された。結果が安定していないため、追跡調査の延長が必要である。(研究B)喀痰細胞診の有効性評価の症例対照研究を実施し251例の症例を確定した。来年度対照を確定する予定である。 

公開日・更新日

公開日
2005-04-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-03
更新日
-