プライマリーヒト肝・腎細胞を用いた薬剤曝露、遺伝子発現に関する研究

文献情報

文献番号
200400222A
報告書区分
総括
研究課題名
プライマリーヒト肝・腎細胞を用いた薬剤曝露、遺伝子発現に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
宮田 直樹(名古屋市立大学大学院(薬学研究科・薬化学教室))
研究分担者(所属機関)
  • 奥田晴宏(国立医薬品食品衛生研究所(有機化学部))
  • 鈴木孝昌(国立医薬品食品衛生研究所(遺伝子細胞医薬部))
  • 二宮真一(第一化学薬品株式会社(薬物動態研究所))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【トキシコゲノミクス分野】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
長期培養可能で薬物代謝酵素等の活性が維持されているプライマリーヒト細胞を用いた遺伝子発現解析系を構築し、有用性を明らかにする。肝毒性薬剤曝露時の網羅的な遺伝子発現解析を行い、毒性発現に関わる遺伝子群の同定ならびに遺伝子発現のパターン化を行う。毒性が懸念されている薬剤の構造修飾体を合成し、構造修飾が遺伝子発現に及ぼす影響の解析を行う。実験動物から得られた遺伝子発現解析データとヒト細胞で得られたデータとの比較解析を行い、動物実験データをヒトへ外挿するための手法を検討する。
研究方法
プライマリーヒト細胞を用いる遺伝子発現系を用いて、化合物曝露時における網羅的遺伝子発現解析を実施した。薬剤には肝障害薬剤8種類と、PPARγ作用薬、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、抗エストロゲン作用薬、および誘導体15種類を用いた。化合物の曝露時の遺伝子発現変動を解析するとともに、毒性関連遺伝子発現データベースの構築と検証を行った。薬剤の構造修飾が遺伝子発現に及ぼす影響に関する研究では、PPARγ作用薬、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤などについて、新規誘導体の合成を行うとともに生物作用評価を行った。ヒトへの外挿に関する研究では、遺伝子傷害性物質にてヒト培養細胞を処理した場合、および、PPARγ作用薬や抗エストロゲン作用薬にてマウスを処理した際の遺伝子発現変化を網羅的に解析し、ヒト細胞を用いた遺伝子発現解析結果と比較した。
結果と考察
化合物曝露時における網羅的な遺伝子発現解析では、構築したデータベースが薬剤に対する細胞の応答反応の解析に有効であることを明らかにした。薬剤の構造修飾が遺伝子発現に及ぼす影響の解析では、構造修飾に伴い遺伝子発現が変化が観察された。ヒトへの外挿に関する研究では、マウスとヒトのデータを比較したが、両者の相関性はあまり良くなく、共通して変化を示す遺伝子は少なかった。種差に加え、in vitroとin vivoという環境の違いが影響していると考えられる。発現データはデータベース化を行い、任意の実験間の比較が可能な状態として提供可能となった。
結論
プライマリーヒト細胞を用い、薬剤曝露時における網羅的な遺伝子発現解析系を構築した。また、代表的な薬剤を用いて毒性発現に関わる遺伝子群の同定ならびに遺伝子発現パターンのデータベース化を行った。薬剤の構造修飾体の網羅的遺伝子発現解析では、有用性を示す基礎的知見を得ることができた。実験動物から得られた遺伝子発現解析データをヒトへ外挿するための手法の開発を行い、両者を直接比較する手法を確立した。

公開日・更新日

公開日
2005-04-22
更新日
-

文献情報

文献番号
200400222B
報告書区分
総合
研究課題名
プライマリーヒト肝・腎細胞を用いた薬剤曝露、遺伝子発現に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
宮田 直樹(名古屋市立大学大学院(薬学研究科・薬化学教室))
研究分担者(所属機関)
  • 奥田晴宏(国立医薬品食品衛生研究所(有機化学部))
  • 鈴木孝昌(国立医薬品食品衛生研究所(遺伝子細胞医薬部))
  • 二宮真一(第一化学薬品株式会社(薬物動態研究所))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【トキシコゲノミクス分野】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
プライマリーヒト細胞を用いた遺伝子発現解析系を構築し、毒性評価手法としての有用性を明らかにする。肝毒性薬剤曝露時の網羅的な遺伝子発現解析を行い、毒性発現に関わる遺伝子群を同定しデータベース化する。毒性が懸念されている薬剤の構造修飾体を合成し、構造修飾が遺伝子発現に及ぼす影響の解析を行う。実験動物から得られた遺伝子発現データとヒト細胞で得られたデータとの比較解析を行い、動物実験データをヒトへ外挿するための知見を得る。
研究方法
プライマリーヒト細胞と株化ヒト細胞について遺伝子発現数を比較した。プライマリーヒト細胞を用いて網羅的遺伝子発現解析を行うためのプロトコールを構築した。構築した系を用いて肝毒性薬剤による遺伝子発現変動解析を行った。毒性が懸念される薬剤として、PPARγ作用薬、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、抗エストロゲン作用薬などを取り上げ、網羅的遺伝子発現解析を行った。薬剤の構造修飾が遺伝子発現に及ぼす影響を明らかにするため、上記の薬剤について新規誘導体の合成を行い、網羅的遺伝子発現解析を行った。ヒトへの外挿に関しては、ヒト培養細胞(in vitro)を処理した場合とマウス(in vivo)を処理した場合の遺伝子発現変化を比較した。
結果と考察
プライマリーヒト細胞が、網羅的遺伝子発現解析に有用であることを明らかにした。肝毒性薬剤曝露時における網羅的な遺伝子発現解析を行い、肝毒性関連遺伝子発現データベースを構築した。構築したデータベースが薬剤に対する細胞の応答反応の解析に有効であることを明らかにした。薬剤の構造修飾と遺伝子発現に関しては、構造修飾に伴い遺伝子発現の変化が観察された。ヒトへの外挿に関しては、マウスとヒトのデータを比較したが、相関性はあまり良くなく共通して変化を示す遺伝子は少なかった。種差に加え、in vitroとin vivoの違いが影響している。発現データのデータベース化を行い提供可能とした。
結論
プライマリーヒト細胞を用い薬剤曝露時における網羅的な遺伝子発現解析を行うための最適なプロトコールを構築した。代表的な薬剤を用いて毒性発現に関わる遺伝子群の同定ならびに遺伝子発現パターンのデータベース化を行った。薬剤の構造修飾が遺伝子発現に及ぼす影響を明らかにした。実験動物から得られた遺伝子発現解析データをヒトへ外挿するための手法の開発を行い両者を直接比較する手法を確立した。以上より、プライマリーヒト細胞を用いる網羅的遺伝子発現解析が、薬剤のヒトでの毒性予測に適が明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2005-04-22
更新日
-