臓器移植の社会基盤に向けての研究

文献情報

文献番号
200400096A
報告書区分
総括
研究課題名
臓器移植の社会基盤に向けての研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
大島 伸一(国立長寿医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋 公太(新潟大学大学院 医歯学総合研究科)
  • 鈴木 和雄(浜松医科大学)
  • 長谷川 友紀(東邦大学 医学部)
  • 藤田 民夫(名古屋記念病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
12,702,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
臓器移植における最大の問題は、臓器の提供が少ないことにあるが、我が国は諸外国に比べて提供臓器の不足は著しい。本研究の目的は、死後に提供される臓器の提供をいかに増やすかにある。
研究方法
欧米で開発されたドナー・アクション・プログラム(臓器提供に関する3つのプログラムを統合して作られた臓器提供のための教育・実践プログラム)を我が国に導入し、モデル県で実行すると同時に、我が国とヨーロッパ8ヵ国との違いを比較して、我が国に特徴的な問題点を抽出し、改善を加え、実行し、目標を設定して成果を得る。DAPにある病院従事者を対象とした意識調査(HAS)について日本語版を作成し、その有効性、妥当性につき検証を行った。DAPを最初のモデル県(5県)から、更に希望県を募り12県まで拡大して行うことを決め実行に移した。提供現場において強いニーズのあったグリーフワーク(悲嘆家族へのアプローチ)についてカリキュラムを組み込んだプログラムを開発し研修会を実施した。モデル県でのDAP運用による効果につい調査、検証した。カナダにあるドナー・アクション財団にある各国のデータベースをもとに国際的な比較検討を行った。
結果と考察
①モデル県5県、及びプラス7県にDAPが導入された。②進捗状況を10段階に指標化し、進捗度を評価したが、北海道は6病院が9段階、新潟県は6病院中3病院が10段階、静岡県は8病院中8病院が10段階、富山県は3病院中3病院が9病院、愛知県は2病院で、6段階、7段階であった。③情報提供数は5県中3県で増加、オプション提示数も5県中3県で増加、承諾数も5県中3県で増加した。④全国展開が進められつつあり、秋田県、京都府、山口県、福岡県、熊本県、長崎県、沖縄県でDAPが開始された。
結論
我々が開発した標準モデル(病院開発モデル)にグリーフワークの教育プログラムとDAPを導入した結果、献腎情報数およびオプション提示数の増加につながり、結果的に献腎数の増加につながっている。今後も、標準モデルにグリーフワークとDAPを加えることにより、献腎数の増加が期待できる。

公開日・更新日

公開日
2005-06-06
更新日
-

文献情報

文献番号
200400096B
報告書区分
総合
研究課題名
臓器移植の社会基盤に向けての研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
大島 伸一(国立長寿医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋 公太(新潟大学 医歯学総合研究科)
  • 鈴木 和雄(浜松医科大学)
  • 長谷川 友紀(東邦大学 医学部)
  • 藤田 民夫(名古屋記念病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
臓器移植における最大の問題は、臓器の提供が少ないことにあるが、我が国は諸外国に比べて提供臓器の不足は著しい。本研究の目的は、死後に提供される臓器の提供をいかに増やすかにある。
研究方法
欧米で開発されたドナー・アクション・プログラム(臓器提供に関する3つのプログラムを統合して作られた臓器提供のための教育・実践プログラム)を我が国に導入し、モデル県で実行すると同時に、我が国とヨーロッパ8ヵ国との違いを比較して、我が国に特徴的な問題点を抽出し、改善を加え、実行し、目標を設定して成果を得る。
結果と考察
平成15年と平成16年を比較すると、ドナー・アクション・プログラム(DAP)を導入した5県中3県で、平成16年になって情報提供数、オプション提示数、承諾数、提供数、提供腎数ともに増加が見られた。1県では、オプション数が増加したが、献腎数には変化が認められなかった。既に高水準のドナーを有する1県では効果を認めなかった。献腎実態から見ると総じて情報提供数の増加、オプション数の増加が献腎活性化につながることが分った。
病院スタッフの意識調査では、医療関係者の脳死や移植医療に対する理解そのものが、欧米に比べ著しく低いことが判明した。同時に提供現場ではグリーフワーク(悲嘆家族へのアプローチ)のニーズが高いことが判明、これらの問題点の解消のための教育・研修が同時に必要であることが判った。
結論
我々が開発した標準モデル(病院開発モデル)にグリーフワークの教育プログラムとDAPを導入後、我が国の献腎移植数は平成14(2002)年に124腎(提供数64例)であったのが、平成15(2003)年136腎(提供数77例)、平成16(2004)年173腎(提供数94例)となった。

公開日・更新日

公開日
2005-06-06
更新日
-