人口減少に対応した国際人口移動政策と社会保障政策の連携に関する国際比較研究

文献情報

文献番号
200400153A
報告書区分
総括
研究課題名
人口減少に対応した国際人口移動政策と社会保障政策の連携に関する国際比較研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
千年 よしみ(国立社会保障・人口問題研究所国際関係部)
研究分担者(所属機関)
  • 小島 宏(国立社会保障・人口問題研究所国際関係部)
  • 勝又幸子(国立社会保障人口問題研究所企画部)
  • 井口 泰(関西学院大学経済学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
先進諸国等における国際人口移動と移動者の社会的統合の実態・政策、それに伴って必要となる社会保障政策との連携に関する分析を行い、各国の実態・政策の比較検討を行うことにより、人口減少に直面するわが国における国際人口移動政策と社会保障政策の連携の可能性を検討することを目的とする。
研究方法
研究方法としては①各種文献・ヒアリングに基づく理論分析、②マクロデータの実証分析、③既存のミクロデータの実証分析、④ミクロデータの収集と分析、⑤研究会を用いる。本年度は在日外国人調査の報告書を収集し、在日外国人調査と外国人の社会保障に関する専門家からのヒアリングを実施し、「外国人IT技術者調査」を委託実施した。また、文献研究とマクロデータの予備的分析を開始し、海外で現地調査や研究成果報告を実施し、「外国人労働者の社会保障制度加入に関する研究会」を立ち上げ、日系ブラジル人調査データの予備的分析を行った。
結果と考察
わが国では日系ブラジル人の健康保険加入率が低いが、日本語能力や子どもの同居によりが高まる一方、保険の有無や種類のほか、日本語能力、保健医療サービスの必要性が傷害・疾病対処行動や市役所の保健医療サービス知識・利用・需要に影響する。IT技術者でもインド人は日本語読解力がある中国人より社会保険加入者が少なく、年金未加入者が多い。また、ドイツでは2004年7月に修正新移民法が成立し、外国人へのドイツ語教育の強化など社会的統合政策などに様々な前進がみられ、外国人の社会保障適用などに関する指令の整備を進めてきた欧州委員会が2005年1月に「グリーンペーパー」で共通の積極的移民政策の実施に向けて新たなイニシアチブを発揮し始めた。わが国でも外国人に対する言語教育強化を含む社会的統合政策によりドイツやEUにおけるように国際移動政策と社会保障政策の連携を進めることが必要となろう。
結論
先進諸国の一部では国際人口移動による純社会増加でかろうじて人口減少をくい止めているため、より直接的な少子高齢化対策としての国際人口移動政策とその社会保障政策との連携が注目を集めている。わが国でも、少子高齢化対策の一つの選択肢としてある外国人労働力の円滑な導入を達成するためには、国際移動者の社会的統合が不可欠であり、そのために、医療保険、労働保険、年金等に関する社会保障政策の現状と果たしうる役割も見直す必要があろう。

公開日・更新日

公開日
2005-04-08
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-20
更新日
-