健康食品等の安全確保に必要な技術的課題への対応と効果的な情報発信のための研究

文献情報

文献番号
201924016A
報告書区分
総括
研究課題名
健康食品等の安全確保に必要な技術的課題への対応と効果的な情報発信のための研究
課題番号
H30-食品-一般-010
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
藤井 仁(目白大学 看護学部)
研究分担者(所属機関)
  • 新井 一郎(日本薬科大学 薬学部)
  • 三澤 仁平(日本大学 医学部)
  • 木村 尚史(北海道大学 医学部)
  • 児玉 知子(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
7,924,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
昨年度、指定成分等含有食品の消費者に対する調査を実施し、購入に至った契機や情報源、購入手段などを明白にした。また指定成分等含有食品と同時に検索されている単語を明らかにし、検索エンジン最適化のための資料を作成した。これを受けて本年度は、指定成分等含有食品の流通状況を明らかにするとともに、消費者に対するアプローチの手段について具体化することを目的に研究をすすめた。具体的には指定成分等含有食品に記載されている警告文の効果や注意を惹くデザインなどについて調査したほか、昨年度調査した検索語を組み込んだ指定成分等含有食品の解説ページを作成した。
研究方法
本年度は以下の4つの調査、研究を実施した。
①指定成分等含有食品の流通に関する調査
②指定成分等含有食品の警告文、パッケージに関する調査
③雑誌における指定成分等含有食品の警告の状況に関する調査
④自然言語処理の手法を用いた昨年度のデータの再解析
⑤頻出検索語を反映した指定成分等含有食品の一般向け解説ページの作成
結果と考察
①薬局・ドラッグストア等の指定成分等含有食品の認知度は低く、健康被害の報告義務や4つの製品名なども知られていない。ネット販売をしている薬局、501社以上の薬局で統計的に有意に認知度が高かった。
②指定成分等含有食品のパッケージに記されている警告文の量を変えても購買行動に影響はなく、ほとんど認識されていなかった。指定成分等含有食品の利用者に女性ホルモンによって症状が悪化する既往歴を持つものが散見された
③商品名、または商品の説明に、プエラリア・ミリフィカ(プエラリア)という言葉が含まれていたものは、7製品の20の記事/広告のみであり、12製品の33の記事/広告は、プエラリア・ミリフィカ製品であることがわからないものであった。すべての記事/広告において、健康被害情報は書かれていなかった。
④指定成分等含有食品の利用者はネットに親和的で、プエラリアと同文中に表れることが多い単語にネット、検索、購入などが確認できた。
⑤検索エンジン最適化対策については、OGPタグの設定の追加、見出しタグ(h1~h4)の正しい設置、HTML5対応についてはブロックレイアウトの採用、ホームページを閲覧するデバイスの多様化についてはviewportの設定の追加、ユーザビリティ対応についてはサイトのページ遷移の問題点の改善などによって対応することが可能だと考えられる。
結論
①指定成分等含有食品が健康被害を生じさせうる商品であり、健康被害が生じた際には報告の義務が課されることを認識したうえで販売を続けようとする仕入れ担当者はおらず、適切な情報提供によって販売を自制させることができると考えられた。また、ネット販売をしている薬局・ドラッグストアでは指定成分等含有食品の認知度が高く、これらの業者は実店舗では販売しないがネットを介して販売している可能性があり、注意喚起が必要であると考えられる。
②プエラリア・ミリフィカ使用経験者における平均年齢は、他の一般の健康食品使用と比して低い傾向がみられ、現行の警告文における購買意欲への明らかな効果はみられなかった。同使用経験者では、女性ホルモンによって悪化する疾患を持つ者もみられており、今後は指定成分等含有食品に関する法律の施行に合わせて、より効果的な情報提供の方法を検討する必要がある。
③厚生労働省の注意喚起以後も、女性誌では、健康被害情報を示さずにプエラリア・ミリフィカの記事/広告が掲載されていた。
④プエラリア・ミリフィカの利用者はインターネットに親和的であり、情報源としても購入手段としてもインターネットを活用しているため、インターネットを通じた正しい情報提供が重要だと考えられる。また、購入の契機に出産と更年期障害が関係していることが多く、これらに関連した医療機関からの情報提供なども重要であると考えられる。特に更年期障害に関しては、代替となる健康食品や医薬品等が数多く存在するため、スムーズに移行させるための情報提供が必要だと考えられる。
⑤本稿で提案したサイト構成をとることで、検索結果の順位が向上する可能性が高まることが予想できる。それによってユーザの視認性が向上し、HFNETの正確な情報が一般に広まりやすくなると考えられる。また、ユーザビリティの向上とアクセス数の増加が期待できる。

公開日・更新日

公開日
2020-10-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-10-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201924016Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,700,000円
(2)補助金確定額
8,379,000円
差引額 [(1)-(2)]
1,321,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 803,419円
人件費・謝金 2,123,211円
旅費 261,300円
その他 3,415,861円
間接経費 1,776,000円
合計 8,379,791円

備考

備考
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公開日・更新日

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