医療データベースを活用した診療ガイドラインの推奨度決定手法に関する研究

文献情報

文献番号
201922054A
報告書区分
総括
研究課題名
医療データベースを活用した診療ガイドラインの推奨度決定手法に関する研究
課題番号
19IA2024
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
吉田 雅博(国際医療福祉大学 医学部 消化器外科学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 今中 雄一(京都大学大学院 医学研究科医療経済学教室)
  • 嶋田 元(聖路加国際大学 情報システムセンター)
  • 畠山 洋輔(東邦大学医学部 社会医学講座 公衆衛生学分野)
  • 三浦 文彦(帝京大学医学部 外科学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
4,650,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在本邦においてはレセプト、DPC、National clinical database(NCD)をはじめとする症例レジストリー等のデータベースが多くの分野で発展してきている。その結果、プロペンシティ分析や操作変数法などの普及と共に、介入の有効性を観察研究(コホート研究)で示そうとする臨床研究論文が増加している。しかし、本邦においてこの観察研究で得られる成果をガイドラインへ導入する手法はいまだ明確では無く、共通の手法とするための研究が必要である。
本研究では、各種医療データベースから得られる、大規模な臨床データを診療ガイドラインの推奨作成のエビデンスとしてどのように抽出し、どのように利用するかについての方法を明確化することを目的とする。
研究方法
1)医療データベースから得られる大規模な臨床データをエビデンスとして利用する方法
(1)電子カルテを利用する場合(聖路加国際大学情報システムセンター 嶋田)
(2)DPC・レセプト等を利用する場合(京都大学医療経済学 今中、佐々木)
(3)NCD等を利用する場合(帝京大学外科学 三浦)
2)診療ガイドライン作成方法論からみた、大規模臨床データからのエビデンス抽出と推奨決定方法:文献レビューも含めて(東邦大学社会医学 畠山)
3)各種医療データベースからデータを収集するための経費や作業、得られる臨床データの性質や位置付けについて調査し、比較解析する(岡山大学疫学・衛生学 藤永)
4)各医療データベースから得られる臨床データをエビデンスとして利用し推奨決定に関してどのように役に立つかについて情報を統括する。その結果を基に、医療データベース利用法(提案)をまとめる(国際医療福祉大学 吉田)
結果と考察
令和元年8月20日と、12月7日に班会議を開催した。また、国際ガイドラインネットワーク会議(GIN)での研究発表、普及と実装の科学国際会議(主催:米国国立衛生研究所:NIH)での情報収集は、予定通り実施された。
医療データベースは約20種に及ぶことが明らかになった。厚生労働省NDBなどの保険者ベース、医療機関ベース、調剤薬局ベース、その他National Clinical Database(NCD) などである。それ以外にも、施設によっては、電子カルテから患者関連データを匿名化してデータベースとして活用することも可能であることが判明した。それぞれ、長所短所があること、特にガイドラインに使えるためのデータに整える「データクリーニング作業」に、費用と時間がかかることも判明した。
 世界的には、国際学会のテーマとして、Real World Data、Real World Evidence、Big Dataに関する研究発表が増加している。調査により、「Big Data」は、2019年から医学論文データベースであるPubMedの検索用語(MeSH term)として登録され、「人間や人間以外の実態の様々な側面に関連したパターン、傾向、関連性を明らかにするために、迅速かつしばしば複雑なコンピューターによる分析を必要とする用な非常に大量のデータ」と定義された。
 日本において、すでにDPCデータや、NCDデータを用いた診療ガイドライン作成事例は少なくないことが明らかになった。具体的には、NCDや臓器癌登録データを用いた臨床研究論文を引用する方法と、直接DPCデータベースから得られた疫学データを診療ガイドラインに用いる方法が認められた。
結論
各医療データベースの長所、短所を理解したうえで、大規模な臨床データを利用することはガイドライン作成に有効である。
令和2年度は、各データベースをエビデンスとし利用した推奨診療作成の方法論をまとめ、臨床活用する場合の方法論と注意点、具体例の提案、課題・限界を明らかにする。

公開日・更新日

公開日
2021-11-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2021-11-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201922054Z