小児期・移行期を含む包括的対応を要する希少難治性肝胆膵疾患の調査研究

文献情報

文献番号
201911082A
報告書区分
総括
研究課題名
小児期・移行期を含む包括的対応を要する希少難治性肝胆膵疾患の調査研究
課題番号
19FC1008
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
仁尾 正記(東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 田尻 達郎(京都府立医科大学 大学院医学系研究科)
  • 佐々木 英之(東北大学 病院小児外科)
  • 松浦 俊治(九州大学 大学病院小児外科)
  • 今川 和生(筑波大学 附属病院小児内科)
  • 清水 俊明(順天堂大学 大学院医学研究科)
  • 安藤 久實(愛知県医療療育総合センター発達障害研究所 細胞病態研究部)
  • 島田 光生(徳島大学 大学院医歯薬学研究部)
  • 浜田 吉則(関西医科大学 医学部)
  • 神澤 輝実(東京都立駒込病院)
  • 近藤 宏樹(近畿大学 奈良病院)
  • 林 久允(東京大学 大学院薬学系研究科)
  • 別所 一彦(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 田尻 仁(大阪急性期・総合医療センター 臨床研究支援センター)
  • 上本 伸二(京都大学 医学研究科外科学講座)
  • 笠原 群生(国立成育医療研究センター 臓器移植センター)
  • 水田 耕一(埼玉県立小児医療センター 移植センター)
  • 乾 あやの(済生会横浜市東部病院 小児肝臓消化器科)
  • 依藤 亨(大阪市立総合医療センター 小児代謝・内分泌内科)
  • 金森 豊(国立成育医療研究センター 臓器・運動器病態外科部外科)
  • 正宗 淳(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 竹山 宜典(近畿大学 医学部)
  • 成瀬 達(みよし市民病院 内科)
  • 石黒 洋(名古屋大学 総合保健体育科学センター)
  • 田中 篤(帝京大学 医学部)
  • 丸尾 良浩(滋賀医科大学 医学部)
  • 栗山 進一(東北大学 災害国際研究所)
  • 盛一 享徳(国立成育医療研究センター 研究所 小児慢性特定疾病室)
  • 澤口 聡子(東京福祉大学 社会福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は先行班で実施した実態把握と診断基準・重症度分類、診療ガイドライン作成の継続、発展基本とする。小児期ならびに成人領域の関連学会と幅広く連携し、小児期発症の希少難治性肝胆膵14疾患の診療体制構築、疫学研究、普及啓発、診断基準・CPG等の作成改訂、適切な移行期医療の推進、疾患レジストリ・データベース構築を検討し当該疾患の医療水準と患者QOL の向上を目指すものである。
研究方法
対象疾患1)胆道閉鎖症,2)アラジール症候群,3)遺伝性膵炎,4)先天性胆道拡張症,5)進行性家族性肝内胆汁うっ滞症,6)カロリ病,7)先天性肝線維症,8)肝内胆管減少症,9)原因不明肝硬変症,10)先天性門脈欠損症,11)新生児ヘモクロマトーシス,12)先天性高インスリン血症,13)嚢胞性線維症,14)クリグラーナジャール症候群で、①小児慢性特定疾病や指定難病のデータを用いた現状調査,②先行班で実施した成人症例の実態に関する調査結果解析と必要な調査研究の立案,③既存の胆道閉鎖症,先天性胆道拡張症,嚢胞性線維症といった疾患レジストリの継続と難病プラットフォームとの連携の可能性についての検討,④経年的レジストリがない疾患については学会を中心とした疾患レジストリ構築作業の準備,⑤希少難治性疾患における適切トランジョン体制構築のための調査研究立案を進めていく
結果と考察
1)胆道閉鎖症:①患者会との連携による調査研究の解析,②全国登録事業の継続とデータ解析,③レジストリのウェブ登録システム移行作業、2)アラジール症候群:①JAG1遺伝子NOTCH2遺伝子の変異解析,②難病プラットフォームを活用した中央倫理審査とレジストリ構築に着手、3)遺伝性膵炎:QOL調査とレジストリ研究に向け準備作業の実施,4)先天性胆道拡張症:①当疾患と膵・胆管合流異常症のCPG改訂作業,②重症度分類に基づく小児期発症患者の成人期状況調査,③海外との連携模索とCPG普及に向けた作業、5)進行性家族性肝内胆汁うっ滞症:①日本胆道閉鎖症研究会の68施設の未診断例についての遺伝子解析,②患者レジストリの構築準備開始、6)カロリ病,7)先天性肝線維症 左記2疾患は一体的に以下を実施:①先天性肝線維症として新旧小慢データベースの登録症例を解析,②多嚢胞腎ワーキンググループへ共同研究を申入れ、常染色体劣勢多嚢胞腎のレジストリに先天性肝線維症とカロリ病の追加依頼、8)肝内胆管減少症:「重症多形滲出性紅斑に関する調査研究」班(森田班)との共同研究推進、9)原因不明肝硬変症:診断の手引きを作成し乳児黄疸ネットに公開、10)先天性門脈欠損症:先天性肝外門脈大循環短絡症に対して施行された26の肝移植症例の解析、11)新生児ヘモクロマトーシス:当疾患の診断基準の改定案を作成、日本小児栄養消化器肝臓学会ホームページに掲載、12)先天性高インスリン血症:①予備調査を送付した診療科のうち、過去2年間に内因性高インスリン血症により低血糖またその合併症に対する治療経験があると回答した施設に対し2次調査票を送付、最終的に785例を把握,②先天性高インスリン血症、インスリノーマ、非インスリノーマ低血糖症候群、インスリン自己免疫症候群(平田病)についての解析、13)嚢胞性線維症:①登録制度を利用した症例調査とCFTR遺伝子解析の実施,②情報交換会を開催,③ドルナーゼアルファの使用開始年齢調査の実施,④汗試験と便中膵エラスターゼ検査の実施,⑤食生活状況調査研究,14)小児期に発症する希少難治性肝・胆道疾患トランジョンに関する実態調査:①アンケート調査の準備作業,②成人領域研究では成人診療科医師を対象とした診療ガイドブックの作成準備作業、15)データベース研究:①本研究対象疾病が含む疾患群ごとに登録進捗状況を比較し、今後の状況の推定を行った,②疫学解析研究では胆道閉鎖症全国登録データのlogistic回帰解析および因子分析を行った
レジストリが構築されCPGが完成している疾患では、レジストリを活用した検討とCPGの普及と改定作業準備段階にある。ただその前段階の調査研究が行われている疾患もある。疾患の希少性ゆえにエビデンスも少なく、研究実施が困難なこともある。だからこそ各疾患の専門家が集結して、現状のコンセンサスを確認することは意義深いことである。この中から患者にとって有用性の高いCPGやそれに準ずる文書の作成に向けて、各疾患の状況に応じ、関連学会・研究会間の連携を深め作業を継続している。
結論
本研究班で構築された小児期発症の希少難治性肝胆膵疾患を扱う小児および成人の医療者・研究者間の連携の枠組みをさらに効率的に活用することが重要である。

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
2023-10-12

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201911082Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
16,900,000円
(2)補助金確定額
16,900,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 5,454,231円
人件費・謝金 3,703,906円
旅費 2,008,833円
その他 1,875,236円
間接経費 3,900,000円
合計 16,942,206円

備考

備考
自己資金42,205円、利息1円

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
2021-06-14