健康増進施設の現状把握と標準的な運動指導プログラムの開発および効果検証と普及促進

文献情報

文献番号
201909008A
報告書区分
総括
研究課題名
健康増進施設の現状把握と標準的な運動指導プログラムの開発および効果検証と普及促進
課題番号
H29-循環器等-一般-012
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
澤田 亨(早稲田大学 スポーツ科学学術院)
研究分担者(所属機関)
  • 小熊祐子(慶應義塾大学 スポーツ医学研究センター 大学院 健康マネジメント研究科)
  • 丸藤祐子(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所)
  • 佐藤真治(帝京平成大学 健康メディカル学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
4,155,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
厚生労働省は国民の健康づくりを推進するため、昭和63年に健康増進施設認定規程を定めた。認定施施が全国のフィットネス関連施設のモデルとなり、また、自らも国民の国民の健康づくりを推進するためには、エビデンスに基づいた効果的な運動指導を展開することが必要である。そこで、本研究はすべての認定施設で使用できるエビデンスに基づいた「標準的な運動指導プロラム」の作成とその普及に取り組んだ。また、健康増進施設の利用率を高めるためのインセンティブになりうる医療費控除制度が、より安全で効果的に活用される必要があることから医療費控除制度の利活用促進に関する提案をおこなった。さらに、健康増進施設で実施される代表的な有酸素運動のひとつである自転車運動の効果を日本人を対象に確認した研究がみあたらないことから、自転車運動と生活習慣病罹患の関係調査に取り組んだ。
研究方法
運動指導プログラムは下記の3種類について作成した。
 ・疾病別運動プログラム
 ・運動指導前後の体力測定
 ・運動指導者向けプログラム・情報提供
各プログラムは普及のしやすさを考えて、独立した1枚1枚のリーフレットの形で作成した、さらに、利用者を下記の4種類に設定して各リーフレットをまとめたパンフレットと解説書を作成した。
 ・厚生労働省:e-ヘルスネット閲覧者
 ・かかりつけ医
 ・運動指導者
 ・健康増進施設運営者
結果と考察
 標準的な運動指導プログラム作成については12種類の疾病別運動プログラムリーフレット、4種類の運動指導前後の体力測定リーフレット、4種類の運動指導者向け情報提供リーフレットを作成して認定施設が利用できるようにした。さらに、医療費控除制度の利活用促進に向けた改善案については、かかりつけ医が健康スポーツ医の場合とそうでない場合に分けて2種類の提案を行った。さらに、自転車運動と生活習慣病罹患の関係については日本人を対象にしたコホート研究の研究成果を報告した。
結論
 本研究で作成した「標準的な運動指導プログラム」の改訂については、新たに公表される研究のレビューや、健康増進施設がフィールドとなって運動指導プログラムの効果を検証する「健康増進施設研究」を展開することが必要だと考えられる。医療費控除制度の利活用促進に関する提案については提案内容の早期実現が期待される。

公開日・更新日

公開日
2020-10-15
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201909008B
報告書区分
総合
研究課題名
健康増進施設の現状把握と標準的な運動指導プログラムの開発および効果検証と普及促進
課題番号
H29-循環器等-一般-012
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
澤田 亨(早稲田大学 スポーツ科学学術院)
研究分担者(所属機関)
  • 小熊祐子(慶應義塾大学 スポーツ医学研究センター 大学院 健康マネジメント研究科)
  • 丸藤祐子(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所)
  • 佐藤真治(帝京平成大学 健康メディカル学部)
  • 宮地元彦(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
厚生省(当時)は国民の健康づくりを推進するため、昭和63年に健康増進施設認定制度を創設した。創設から30年が経過し、創設当時と社会情勢が変化していることから、本制度が国民の健康寿命の延伸に更に貢献していくために、改善すべき点を明らかにして改善に取り組む必要がある。さらに、健康増進施設が全国に存在する類似施設(フィットネスクラブや医療法第42条施設)のすぐれたモデルとなるべく、エビデンス(科学的根拠)に基づいた運動指導プログラムを持ち、かつ、効果的に運営するとともに、標準的な運動指導プログラムの普及・啓発に努めることが重要である。
研究方法
本研究は認定制度の改善すべき点を明らかにするために、① 認定施設の運営者に対するヒアリング調査、② 認定施設に対する質問紙調査、③ 施設利用者に対する質問紙調査を実施した。さらに、エビデンスに基づいた標準的な運動指導プログラムを作成するために、先行研究のレビューと関連学会の運動療法ガイドラインを確認するとともに自転車運動の効果を確認するためのコホート研究を実施した。
結果と考察
これらの研究の結果、健康増進施設認定制度の改善すべき点として、① 運動型健康増進施設および指定運動療法施設それぞれの役割の明確化、② 運動型健康増進施設認定要件の変更、③ 健康増進施設大会の開催、④ 健康増進施設研究の実施と研究成果の積極的な発信を提案した。さらに、指定運動療法施設が普及・増加するためのインセンティブとなりうる医療費控除制度運用の改善については、かかりつけ医が日本医師会認定健康スポーツ医である場合とそうでない場合に分けて、医療費控除のフロー簡略化を提案した。一方で、標準的な運動指導プログラムの作成については、12種類の疾病別運動プログラムリーフレット、4種類の運動指導前後の体力測定リーフレット、4種類の運動指導者向け情報提供リーフレットを作成した。さらに、コホート研究については、自転車運動と生活習慣病罹患の関係について調査した結果を報告した。
結論
健康増進施設が国民の健康寿命の延伸に貢献するためには、運動型健康増進施設と指定運動療法施設それぞれの役割を明確にして活き活きと活躍するとともに、全国に存在する類似施設のすぐれたモデルになることが重要である。本研究の調査によって、健康増進施設認定制度には多くの施設に共通した課題や希望があることが明らかになった。また、現時点で得られるエビデンスを基にした標準的な運動指導プログラムを作成することができた。これらのプログラムを活用するとともに、健康増進施設の認知度や社会的な発信力を高めることによって健康増進施設認定制度が今まで以上に国民の健康づくりに貢献することが望まれる。

公開日・更新日

公開日
2020-10-15
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-08-31
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201909008C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 本研究によって作成した「標準的な運動プログラム」の効果を検証するための大規模実証事業を全国18の健康増進施設をフィールドして実施した。この結果、これまでの先行研究をレビューして作成された運動プログラムの効果が日本人を対象とした大規模ランダム化比較試験で定量的に明らかになった。
臨床的観点からの成果
 主として指定運動療法施設が実施する運動療法について、これまでに各学会が治療ガイドライン等として個別に当該分野の運動療法プログラムを公開していたが、本研究はこれらの運動療法ガイドラインを整理するとともに、エビデンスレベルが低い分野を明らかにして、今後の運動療法プログラム開発に有益な情報を提供した。
ガイドライン等の開発
 指定運動療法施設を含む健康増進施設で使用する標準的な運動プログラムや健康増進施設における生活指導や運動指導に利用できるリーフレットやリーフレットをまとめたパンフレットを作成した。リーフレットは、厚生労働省のホームページ掲載用、かかりつけ医用、運動指導者用、健康増進施設用の4種類の構成とした。
その他行政的観点からの成果
 健康増進施設認定制度の方向性や具体的な活動内容に関する提案を行った。また、健康増進施設認定基準の見直しに関する提案を行った。さらに、指定運動療法施設における医療費控除の仕組みに関する提案を行った。これらの結果、2022年4月には健康増進施設の普及に向けた認定要件が改正され、より適切に健康増進施設が認定されることに貢献した。
その他のインパクト
 3年間の研究期間中に日本臨床運動療法学会で3回、研究期間終了後に日本体力医学会で1回シンポジウムを開催した。さらに、新型コロナウイルス感染症拡大防止のために延期となっていた健康増進施設大会を2023年2月に開催し、大会を通じて健康増進施設の質の向上に貢献するとともに、健康増進施設間の連携を促進した。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
4件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
4件
健康増進施設認定制度の方向性や具体的な活動内容に関する提案、健康増進施設認定基準の見直しに関する提案、指定運動療法施設における医療費控除の仕組みに関する提案、健康増進施設認定基準の見直し
その他成果(普及・啓発活動)
6件
日本臨床運動療法学会シンポジウム(3回)、日本体力医学会シンポジウム(1回)、健康増進施設認定法人(公益財団日本健康スポーツ連盟)のホームページに標準的な運動プログラムを公開

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2022-05-24
更新日
2024-06-03

収支報告書

文献番号
201909008Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,401,000円
(2)補助金確定額
5,401,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 914,488円
人件費・謝金 0円
旅費 374,854円
その他 2,865,658円
間接経費 1,246,000円
合計 5,401,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2021-02-16
更新日
-