国民健康・栄養調査結果を用いた栄養素及び食品の摂取状況の適切性の評価に関する研究

文献情報

文献番号
201909004A
報告書区分
総括
研究課題名
国民健康・栄養調査結果を用いた栄養素及び食品の摂取状況の適切性の評価に関する研究
課題番号
H29-循環器等-一般-006
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
横山 徹爾(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 村山 伸子(新潟県立大学 人間生活学部)
  • 村上 健太郎(東京大学大学院 情報学環)
  • 須賀 ひとみ(東京大学大学院 医学系研究科)
  • 横道 洋司(山梨大学大学院 総合研究部医学域社会医学講座)
  • 吉池 信男(青森県立保健大学 健康科学部栄養学科)
  • 石川 みどり(国立保健医療科学院 生涯健康研究部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は以下の2つのテーマから成る。
【1】国民健康・栄養調査結果を用いた国民の栄養素摂取量の適切性を、食事摂取基準との比較により性・年齢別に高い精度で評価する方法を開発し、国民の現状および経年的な動向を評価し、栄養施策推進のための根拠を充実させる。
【2】健康の維持・増進及び生活習慣病予防の観点からみた食事の適切性の評価について、栄養素と食品の摂取状況との関係から、社会経済的側面も踏まえて明らかにする。また、案分法による食事記録の妥当性の検証をおこなう。
研究方法
【1】以下の2つの分担研究に取り組んだ。
1)国民健康・栄養調査から日本人の習慣的な栄養素摂取量を推定し食事摂取基準と比較する方法の開発
2)栄養素等摂取量の個人内変動に関わる地域間・季節間・時代間差の検討
研究1)は統計手法AGEVAR MODEを応用し、2)は4季節・非連続3日間ずつの調査を行った。
【2】以下の3つの分担研究に取り組んだ。
1)Healthy Eating Index-2015とNutrient-Rich Food Index 9.3を用いた日本人の食事の質の評価
2)栄養素摂取状況が良好な食事における食品群別摂取量と食費
3)案分法による食事記録の妥当性検証
研究1)2)は、既存の国民健康・栄養調査の個別データの利用申請をおこない、利用した年次の成人の1日間の秤量食事記録データを用いた。3)は、世帯における食事調査を実施した。
結果と考察
【1】
1)主な栄養素の性・年齢別個人内/個人間分散比を統合した統合分散比を計算し、国民健康・栄養調査のデータに外挿した。たんぱく質は推定平均必要量未満の者の割合は少なく、食塩の目標量を超えている者は8割以上等の特徴が示唆された。
2)20歳以上男女において、たんぱく質、食塩相当量の分散比は大きくは変わらず、1日間の食事調査と過去に実施された食事調査で得られた個人内/個人間分散比を組み合わせることで、当該集団における摂取量の分布を推測することが、ある程度できるかもしれない。
【2】
1)対象とした日本人集団において、HEI-2015とNRF9.3の両方で、高スコアはより望ましい食事摂取状況と関連していた。日本人の食事とアメリカ人の食事では異なる栄養学的問題点が存在していた。
2)栄養素摂取状況の良好な食事の場合に多い食品群と少ない食品群、および1000kcalあたりの重量が示された。食費が安価であっても良好な栄養素摂取となるため推奨される食品群が示唆された。
3)案分法食事記録から得られたたんぱく質・ナトリウム・カリウム摂取量と24時間蓄尿から得られた推定値との誤差および相関係数は、秤量法食事記録での誤差と統計学的有意差は認められなかった。
結論
【1】国民健康・栄養調査に既存の複数日調査のから得られる分散比を外挿することで、習慣的な摂取量を推定することは、栄養素・年齢によってはある程度は可能と思われる。
【2】国民健康・栄養調査を用いた健康増進・生活習慣病予防のための食事の適切性の評価方法について、諸外国で用いられているスコア、食品群別重量の観点から検討し提示した。案分法食事記録の妥当性は秤量法食事記録と類似していることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2021-02-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2022-07-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201909004B
報告書区分
総合
研究課題名
国民健康・栄養調査結果を用いた栄養素及び食品の摂取状況の適切性の評価に関する研究
課題番号
H29-循環器等-一般-006
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
横山 徹爾(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 村山 伸子(新潟県立大学 人間生活学部)
  • 村上 健太郎(東京大学大学院 情報学環)
  • 須賀 ひとみ(東京大学大学院 医学系研究科)
  • 横道 洋司(山梨大学大学院 総合研究部医学域社会医学講座)
  • 吉池 信男(青森県立保健大学 健康科学部栄養学科)
  • 石川 みどり(国立保健医療科学院 生涯健康研究部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は以下の2つのテーマから成る。
【1】国民健康・栄養調査結果を用いた国民の栄養素摂取量の適切性を、食事摂取基準との比較により性・年齢別に高い精度で評価する方法を開発し、国民の現状および経年的な動向を評価し、栄養施策推進のための根拠を充実させることを目的とする。
【2】健康の維持・増進及び生活習慣病予防の観点からみた食事の適切性の評価について、栄養素と食品の摂取状況との関係から、社会経済的側面も踏まえて明らかにする。また、案分法による食事記録の妥当性の検証をおこなう。
研究方法
【1】以下の4つの分担研究に取り組んだ。
1)国民健康・栄養調査から日本人の習慣的な栄養素摂取量を推定し食事摂取基準と比較する方法の開発。
2)栄養素等摂取量の個人内変動に関わる地域間・季節間・時代間差の検討。
3)高齢者の食事の適切性の評価法の検討。
4)国民健康・栄養調査等の生活習慣調査のオンライン実施に関する試行的検討。
研究1)2)3)は統計手法AGEVAR MODEを応用した。4)は3つの集団においてオンラインまたは調査用紙で回答できる調査を実施した。
【2】以下の2つの分担研究に取り組んだ。
1)生活習慣病の予防を目的として1日に必要な栄養素の摂取を可能とする食品の組み合わせや食事パタンを検証。
2)2.食事調査の案分比率法の妥当性の検証。
研究1)は、国民健康・栄養調査データの利用申請をおこない秤量食事記録データを用いた。2)は世帯における食事調査を実施した。
結果と考察
【1】
1)主な栄養素の性・年齢別個人内/個人間分散比を統合した統合分散比を計算し、国民健康・栄養調査のデータに外挿した。たんぱく質は推定平均必要量未満の者の割合は少なく、食塩の目標量を超えている者は8割以上等の特徴が示唆された。
2)20歳以上男女において、たんぱく質、食塩相当量の分散比は大きくは変わらず、1日間の食事調査と過去に実施された食事調査で得られた個人内/個人間分散比を組み合わせることで、当該集団における摂取量の分布を推測することが、ある程度できるかもしれない。
3)男性では、60歳を過ぎると摂取量が減少する栄養素(たんぱく質等)があること、また、栄養素による個人間・個人内変動に違いがあることが明らかになった。
4)20~40歳代という若い年代においては、受け入れ・協力率も比較的高く、データ入力やチェックのコストを考えると有効な手段と思われた。
【2】
1)以下について明らかになった。食事の質スコアと栄養素摂取量および代謝危険因子との関連。朝食・昼食・夕食別の食事パタンと全体の食事パタンへの寄与。食事パタンの13年の経年変化。Nutrient-Rich Food Index 9.3と各種栄養素摂取量との関連。5)Healthy Eating Index-2015とNutrient-Rich Food Index 9.3を用いた日本人の食事の質の評価。食品群を用いた食事評価法の確立に向けた検討。食事の適切性を評価するための食品種類数の検討。栄養素等摂取状況が良好な食事における食品群別摂取量と食費。子育て世帯の社会経済的側面と栄養素摂取状況。
2)食事調査の案分比率法の妥当性の検討ができた。

結論
【1】国民健康・栄養調査に既存の複数日調査のから得られる分散比を外挿することで、習慣的な摂取量を推定することは、栄養素・年齢によってはある程度は可能と思われる。
【2】国民健康・栄養調査を用いた健康増進・生活習慣病予防のための食事の適切性の評価方法について、国内外で用いられているスコア、食品の多様性、食品群別重量、食費の観点から検討し提示した。案分法食事記録の妥当性は秤量法食事記録と類似していることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2021-02-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

総合研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2022-07-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201909004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
国民の現状および経年的な動向を評価し、栄養施策推進のための根拠を充実させることを目的として、国民健康・栄養調査結果を用いた国民の栄養素摂取量の適切性を、食事摂取基準との比較により性・年齢別に高い精度で評価する方法を開発した。また、健康の維持・増進及び生活習慣病予防の観点からみた食事の適切性の評価について、栄養素と食品の摂取状況との関係から、社会経済的側面も踏まえて明らかにした。
臨床的観点からの成果
該当なし。
ガイドライン等の開発
該当なし。
その他行政的観点からの成果
国民健康・栄養調査と食事摂取基準との比較により、国民の栄養素摂取量の適切性を分析する方法を開発した。これは、国民の現状および経年的な動向を評価し、栄養施策推進のための根拠として利用されることが期待される。また、健康の維持・増進及び生活習慣病予防の観点からみた食事の適切性の評価の方法について検討し、論文化した。これらは、国民への食品選択や食費の使い方の教育の根拠となるとともに、栄養施策の根拠として活用できる。
その他のインパクト
該当なし。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
7件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
4件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Murakami K, Livingstone MBE, Sasaki S.
Diet quality scores in relation to metabolic risk factors in Japanese adults: a cross-sectional analysis from the 2012 National Health and Nutrition Survey, Japan
Eur J Nutr , 58 , 2037-2050  (2019)
原著論文2
Murakami K, Livingstone MBE, Sasaki S.
Meal-specific dietary patterns and their contribution to overall dietary patterns in the Japanese context: findings from the 2012 National Health and Nutrition Survey, Japan.
Nutrition , 59 , 108-115  (2019)
原著論文3
Murakami K, Livingstone MBE, Sasaki S.
Thirteen-year trends in dietary patterns among Japanese adults in the National Health and Nutrition Survey 2003-2015: continuous Westernization of the Japanese diet.
Nutrients , 10 (8) , 994-  (2018)
原著論文4
Murakami K, Livingstone MBE, Fujiwara A, et al.
Breakfast in Japan: findings from the 2012 National Health and Nutrition Survey.
Nutrients , 10 (10) , 1551-  (2018)
原著論文5
Murakami K, Livingstone MBE, Fujiwara A, et al.
Application of the Healthy Eating Index-2015 and the Nutrient-Rich Food Index 9.3 for assessing overall diet quality in the Japanese context: different nutritional concerns from the US.
PLoS One , 15 (1) , e0228318-  (2020)
原著論文6
Suga H.
Household food unavailability due to financial constraints affects the nutrient intake of Japanese children.
European Journal of Public Health , 29 (5) , 816-820  (2019)
原著論文7
Kojima Y, Murayama N, Suga H.
Dietary diversity score correlates with nutrient intake and monetary diet cost among Japanese adults
Asia Pacific Journal of Clinical Nutrition , 29 (2) , 382-394  (2020)
10.6133/apjcn.202007_29(2).0021
原著論文8
Ishikawa M, Yokomichi H, Yokoyama T.
Difference and Variance in Nutrient Intake by Age for Older Adults Living Alone in Japan: Comparison of Dietary Reference Intakes for the Japanese Population
Nutrients , 13 (5) , 1431-  (2021)
10.3390/nu13051431

公開日・更新日

公開日
2022-07-05
更新日
-

収支報告書

文献番号
201909004Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
13,000,000円
(2)補助金確定額
12,264,000円
差引額 [(1)-(2)]
736,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,764,733円
人件費・謝金 4,511,656円
旅費 1,119,305円
その他 1,869,145円
間接経費 0円
合計 12,264,839円

備考

備考
研究費の効率的執行により少ない研究費で研究を遂行することができたため返納額が生じた。また、自己資金839円を支出した。

公開日・更新日

公開日
2021-02-17
更新日
-