歯科医師の勤務状況とナショナルデータベースに基づく歯科医療提供状況調査研究

文献情報

文献番号
201906003A
報告書区分
総括
研究課題名
歯科医師の勤務状況とナショナルデータベースに基づく歯科医療提供状況調査研究
課題番号
19CA2003
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
三浦 宏子(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 大島 克郎(日本歯科大学東京短期大学 歯科技工学科)
  • 児玉 知子(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
  • 井田 有亮(東京大学医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
4,617,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
政府統計や過去の厚労科研で得られたデータを二次利用し、以下に記載する3点から調査研究を進め、これまで可視化が十分でなかった地域での歯科医療提供状況について複合的に分析した。勤務時間分析による歯科医師の仕事率分析、医師・歯科医師・薬剤師調査の歯科医師届出票データを用いた女性歯科医師の就業状況分析、歯科レセプト分析による歯科医療提供状況の評価に関する研究を行い、歯科医療の提供状況に関する全国的な状況と地域差の現状について可視化を図ることを、本研究の目的とした。
研究方法
使用した二次データは、①平成30年度・厚生労働科学特別研究事業(H30-特別-指定-010)で得られた歯科診療所にて働いている歯科医師の勤務時間データ、②2006年~2016年における医師・歯科医師・薬剤師調査(三師調査)歯科医師届出票データ、③レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)の2016年と2018年の歯科レセプトデータの3つである。勤務時間データを用いて、歯科診療所で働いている歯科医師の性別・年齢階級別仕事率を求めるとともに、都府県レベルの週あたり勤務時間を求めた。三師調査データからは、特に女性歯科医師の就業場所の推移、非常勤の歯科医師の就業状況、市町村レベル歯科医師数のジニ係数等を求めた。また、歯科レセプトデータ分析においては、全国都道府県の性別・年齢階級を調整した標準化レセプト出現率(SCR)を算出した。また、二次医療圏レベルの分析では人口1,000人あたりのZスコアを用いた。
結果と考察
①勤務時間分析:これまで報告例がなかった性別・年齢階級別の歯科診療所の歯科医師の仕事率を算出することができた。歯科診療所の勤務時間の地域差を調べたところ、最大値と最小値の差は週あたりで8時間程度であり、最大値でも48時間を超過することはなかった。②三師調査分析:2006年歯科医師免許登録者のうち女性歯科医師の2016年までの就業先の推移をみたところ、医育機関勤務者の減少傾向が顕著であり、診療所勤務者は増加傾向、診療所開設者等は漸増傾向を示していた。市区町村別の2006年歯科医師免許登録者数について、男女ともに10年間でジニ係数は減少傾向にあり、特に女性のほうが大きく減少していた。③歯科レセプトデータ分析:レセプト総件数SCRでは、東京都、愛知県、岐阜県、大阪府が標準より高い値を示した。ジニ係数を求めたところ0.28であり、国内の保険診療による歯科医療提供は比較的格差が少ない状況であった。SCRを用いた傷病名での分析では、齲蝕、喪失歯のレセプト件数には大きなばらつきは認められなかったが、歯周病については大都市圏で高い傾向にあった。
結論
歯科医療提供状況について、勤務時間分析、三師調査分析、歯科レセプトデータ分析を行い、複合的に評価し可視化を図ることができた。性別・年齢調整別仕事率の算出は、今後の歯科医師の供給推計に大きく寄与するものと考えられた。三師調査による分析では、これまで報告例が少なかった女性歯科医師の就業動向を明示した。また、歯科レセプト総件数SCR等を求めることによって、歯科医療提供状況について標準化したデータによって地域差を把握することができた。

公開日・更新日

公開日
2020-09-08
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2020-09-08
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201906003C

収支報告書

文献番号
201906003Z