文献情報
文献番号
201820001A
報告書区分
総括
研究課題名
肝炎ウイルス感染状況と感染後の長期経過に関する研究
課題番号
H28-肝政-一般-001
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
田中 純子(広島大学 大学院医歯薬保健学研究科 疫学・疾病制御学)
研究分担者(所属機関)
- 佐竹正博(日本赤十字社 中央血液研究所)
- 三浦 宜彦(埼玉県立大学)
- 相崎英樹(国立感染症研究所・ウイルス第二部)
- 芥田 憲夫(虎の門病院・肝臓内科)
- 鳥村拓司(久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門)
- 山崎一美(立行政法人国立病院機構長崎医療センター・臨床研究センター・)
- 日野啓輔(川崎医科大学・肝胆膵内科学)
- 宮坂 昭生(岩手医科大学・消化器内科肝臓分野)
- 島上哲朗(金沢大学附属病院・地域医療教育センター)
- 菊地 勘(医療法人社団豊済会 下落合クリニック)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服政策研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
32,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
肝炎、肝がんによる健康被害の抑制、防止および体制整備を目標とした疫学基盤研究。肝炎・肝がん対策推進(関連事案の評価、再構築)に対応可能な疫学的基礎資料を収集、提示すること
研究方法
3つの研究柱を基に基礎、臨床、社会医学の専門家を組織し実施する
結果と考察
1.平成25-26年度全国1741市区町村対象とした全国調査を行いHBV母子感染防止事業の実施状況とHBV感染状況を把握。市区町村回答率60.8%、情報提供率36.8%745,361例。妊婦のHBs抗原陽性率0.23%、1986年前後の出生集団のHBs抗原陽性率(0.1% vs 0.3%)から同事業の効果が示された。HBV母子感染成立率2%:0-6%、2016年度生のHBs抗原陽性率は0.005%:0-0.014%と推定、HBワクチン定期接種化の検証基礎資料。
2.住民/職域検診7,682例から層化無作為抽出1200例、小4生健診集団3,774例を対象、4社のHBs抗原、HBs抗体、HBc抗体、HCV抗体を測定・比較。当班WGの指摘により、1社HBs抗体試薬作製用原料抗原ロットの不純物混入が明らかとなり改良が行われ、1社の高感度HBs抗原陽性率の精度が改良された。最終的に、一致率95%を超え標準化された。59歳以下の集団の95%以上は感染防御能としてのHAV抗体を獲得しておらず感染outbreakの可能性を示唆(Scientific Reports 2018
3.HCV-DAA治療のICERによる費用対効果分析の結果、対象薬剤のSVR率及び治療開始年齢および性別に依存し治療後10-25年で費用対効果を有すると推定。感度分析の結果からSVR後のQOLの改善が最も費用対効果を高める(Hep Res2018
4.1995-2016年約1200万人初回供血者データを元にHBV・HCV陽性率の変遷をまとめた
5.2008-2010年に献血を行いHCV陰性234万人を前向きに3年間観察し、新規HCV RNA陽性率は32/777万人年=0.4/10万人年と低率。女性50歳代に高率ピークがある(Transf. 2018
6.指標班との共同連携で全国受検率調査を行い、HBV受検率71.0%(認識受検率20.1%)、HCV受検率61.6%(同18.7%)と2011年同調査と比し約10pointの上昇。検査は推進したが、認識受検率は依然として低率、検査後の通知の仕組みが重要
7. 医歯学生491例HBワクチン接種前後の抗体価の変動を検討、3回接種後4ヵ月後に平均約2割抗体価が減少。通常プロトコルによる3回接種追加が有効(Vaccine, 2018
8.職域検診時に行った肝炎ウイルス調査2420例:職域における肝炎ウイルス検査の推進は、感染に気づいていない、受療が必要なHBV/HCVキャリアを見いだす可能性がある(Hep Res2018
9.健康保険組合の本人/家族164万人の全診療報酬記録レセプト868万件に基づいたHCV/HBV関連肝疾患患者の他疾患重複疾患数を推計:他診療科に潜在する治療適応患者を推定
10.2012-2015年NDB等大規模疫学資料を用い患者数推定。これまで解析・推定してきた2011年HBV・HCV感染者数(JVH2018)を元に2035年までの推定を行った
11.日本透析医学会全国調査を10年ぶり2017年度に行い、HBs抗原陽性率は一般人口に近づいているが、HCV抗体陽性率は一般人口と比較し、依然として高率。専門医への紹介率やDAA治療施行率を上げる必要がある。
12.人口動態統計の死亡票・人口を用いて算出した最近5年の肝がんSMRを従来資料に加え45年間の都道府県別地図を作成。肝癌死亡率減少し、地域差が薄まる傾向
13.1999年-2015年届け出急性B型肝炎4273症例を解析、2000年頃から減り止まり6割が性的接触。東京都では急性B型肝炎報告数が近年増加。
14.長崎県離島地区におけるB型肝炎患者1000人規模の自然経過をマルコフモデルにより年齢・観察時間を補正した肝病態推移予測:HBe抗原持続陽性群は同抗体陽性群と比し肝がんおよび肝硬変累積罹患率、進展率が共に高い(JMV2018
15.SVR後発癌年率1%はIFN freeとIFNレジメンでほぼ同等。肝発癌抑制効果を有す。組織要因とCoreアミノ酸弛緩がSVR後の肝発癌に強い影響
16.DAAs後の発癌:多施設による後ろ向き検討 1746例、九州15施設での前向き検討2552例.80歳以上HCV患者の長期自然経過はDAA評価のコントロール群として重要
17.歯科領域の実態調査:HBワクチン接種率は47.4%、特に歯科技工士、事務職で2割以下の低率。知識の普及とHBワクチン接種の推奨が急務。
2.住民/職域検診7,682例から層化無作為抽出1200例、小4生健診集団3,774例を対象、4社のHBs抗原、HBs抗体、HBc抗体、HCV抗体を測定・比較。当班WGの指摘により、1社HBs抗体試薬作製用原料抗原ロットの不純物混入が明らかとなり改良が行われ、1社の高感度HBs抗原陽性率の精度が改良された。最終的に、一致率95%を超え標準化された。59歳以下の集団の95%以上は感染防御能としてのHAV抗体を獲得しておらず感染outbreakの可能性を示唆(Scientific Reports 2018
3.HCV-DAA治療のICERによる費用対効果分析の結果、対象薬剤のSVR率及び治療開始年齢および性別に依存し治療後10-25年で費用対効果を有すると推定。感度分析の結果からSVR後のQOLの改善が最も費用対効果を高める(Hep Res2018
4.1995-2016年約1200万人初回供血者データを元にHBV・HCV陽性率の変遷をまとめた
5.2008-2010年に献血を行いHCV陰性234万人を前向きに3年間観察し、新規HCV RNA陽性率は32/777万人年=0.4/10万人年と低率。女性50歳代に高率ピークがある(Transf. 2018
6.指標班との共同連携で全国受検率調査を行い、HBV受検率71.0%(認識受検率20.1%)、HCV受検率61.6%(同18.7%)と2011年同調査と比し約10pointの上昇。検査は推進したが、認識受検率は依然として低率、検査後の通知の仕組みが重要
7. 医歯学生491例HBワクチン接種前後の抗体価の変動を検討、3回接種後4ヵ月後に平均約2割抗体価が減少。通常プロトコルによる3回接種追加が有効(Vaccine, 2018
8.職域検診時に行った肝炎ウイルス調査2420例:職域における肝炎ウイルス検査の推進は、感染に気づいていない、受療が必要なHBV/HCVキャリアを見いだす可能性がある(Hep Res2018
9.健康保険組合の本人/家族164万人の全診療報酬記録レセプト868万件に基づいたHCV/HBV関連肝疾患患者の他疾患重複疾患数を推計:他診療科に潜在する治療適応患者を推定
10.2012-2015年NDB等大規模疫学資料を用い患者数推定。これまで解析・推定してきた2011年HBV・HCV感染者数(JVH2018)を元に2035年までの推定を行った
11.日本透析医学会全国調査を10年ぶり2017年度に行い、HBs抗原陽性率は一般人口に近づいているが、HCV抗体陽性率は一般人口と比較し、依然として高率。専門医への紹介率やDAA治療施行率を上げる必要がある。
12.人口動態統計の死亡票・人口を用いて算出した最近5年の肝がんSMRを従来資料に加え45年間の都道府県別地図を作成。肝癌死亡率減少し、地域差が薄まる傾向
13.1999年-2015年届け出急性B型肝炎4273症例を解析、2000年頃から減り止まり6割が性的接触。東京都では急性B型肝炎報告数が近年増加。
14.長崎県離島地区におけるB型肝炎患者1000人規模の自然経過をマルコフモデルにより年齢・観察時間を補正した肝病態推移予測:HBe抗原持続陽性群は同抗体陽性群と比し肝がんおよび肝硬変累積罹患率、進展率が共に高い(JMV2018
15.SVR後発癌年率1%はIFN freeとIFNレジメンでほぼ同等。肝発癌抑制効果を有す。組織要因とCoreアミノ酸弛緩がSVR後の肝発癌に強い影響
16.DAAs後の発癌:多施設による後ろ向き検討 1746例、九州15施設での前向き検討2552例.80歳以上HCV患者の長期自然経過はDAA評価のコントロール群として重要
17.歯科領域の実態調査:HBワクチン接種率は47.4%、特に歯科技工士、事務職で2割以下の低率。知識の普及とHBワクチン接種の推奨が急務。
結論
目的に沿って実施し結果を得た
公開日・更新日
公開日
2019-09-27
更新日
-