乳幼児突然死症候群(SIDS)を含む睡眠中の乳幼児死亡を予防するための効果的な施策に関する研究

文献情報

文献番号
201807003A
報告書区分
総括
研究課題名
乳幼児突然死症候群(SIDS)を含む睡眠中の乳幼児死亡を予防するための効果的な施策に関する研究
課題番号
H29-健やか-一般-001
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
戸苅 創(学校法人金城学院)
研究分担者(所属機関)
  • 高嶋 幸男(学校法人国際医療福祉大学)
  • 市川 光太郎(地方独立行政法人 北九州市立八幡病院)
  • 加藤 稲子(三重大学)
  • 中川 聡(独立行政法人国立成育医療研究センター)
  • 山中 龍宏(緑園こどもクリニック)
  • 成田 正明(三重大学)
  • 大澤 資樹(東海大学)
  • 柳井 広之(岡山大学病院)
  • 平野 慎也(大阪府立病院機構大阪母子医療センター)
  • 加藤 則子(十文字学園女子大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
5,770,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者2の市川光太郎は、年度途中に死去した

研究報告書(概要版)

研究目的
「SIDS」は解剖の上、診断される。解剖がなされない場合か窒息の所見が無い場合は「不明Unknown」に分類されるが、我が国では、この中にSIDSが含まれるものと思われる。世界的には、SIDS、Suffocation(窒息)とUnknown(不明)の全てをまとめて「予期せぬ乳幼児の突然死SUID: Sudden Unexpected Infant Death」と呼び、SUID全体の予防が必要とされるようになった。このSIDS・SUID予防キャンペーンであるSafe to Sleepキャンペーン(安全な睡眠環境キャンペーン)は各国で微妙に差がみられる。そこで、これらのキャンペーンの特徴を網羅し、我が国のSIDSに関する専門家の研究成果を踏まえて、我が国に適したキャンペーンの内容を検討する。
研究方法
睡眠環境として、睡眠体位について:母乳育児について:出産直後のSKIN TO SKIN Contactについて:添い寝について:睡眠の部屋についてソファや肘掛け椅子での授乳について:喫煙と薬物について:ウオーターベッドについて:Pacifierおしゃぶりについて:喫煙について:アルコールと違法薬物について:オーバーヒーティングについて:予防接種について:各種モニターについて:フィンランド発のベビーボックスについて、検討した。Sudden unexpected death in epilepsy (SUDEP)の発生機序もSIDSと類似しており、突然死の機序と予防法を追求した。健康乳児の添い寝の現状を把握することを目的として、福岡と三重において健康乳児の家庭における睡眠環境調査をした。国内外の3研究から、従来のALTEに相当する患者のうち、どれくらいの患者がBRUEのlower risk群に相当するかを検討した。一般家庭において情報提供できるAIスピーカーの有用性について検討した。先天的因子が生後のSIDS発症にどの程度普遍的に存在しているかの検討を行った。乳幼児突然死症候群(SIDS)診断のための問診・チェックリストの回収システムを検討した。本邦におけるSIDS症例の病理解剖実施体制についての実態調査を調査した。最近、乳幼児突然死例は、虐待による犯罪性を問題にされることが多く、検体の利用に制限があることの調査をした。SIDS児が健常乳児に比べて、うつぶせ寝に体位を変えやすい傾向が強いことの解析を行った。
結果と考察
睡眠環境のすべての実態を調査し、我が国に適した環境の提供を行った。SUDEPにで延髄腹外側にソマトスタチンニューロンとニューロキニン1受容体が対照に比して減少していた。どの国でも生後1-2ヶ月の幼弱と思われる時期には乳児用ベッドまたは乳児用布団の使用が多く、成長するにしたがって添い寝が増加するという傾向が認められた。日本においては生後1-2ヶ月において約30%が添い寝をしていた。ALTEに相当する患者の1~19%のみがBRUEのlower-risk群に相当すると判断された。Ca, P, AST, LDH, トリグリセリド, 総ビリルビンなどは若干実験群間で変動は認められたものの、¥LPS投与による「生存率の低下」を説明できるほどの違いとは言えなかった。57例(男児33例、女児24例)のうち、で予防接種後様態が悪化し、3日以内に死亡している例が3例あった。イギリスでは剖検に関して、その後の組織検体の扱いあるいは病態解明への組織の利用については、両親が決定することが判明した。寝返りのしはじめや寝返りができる場合、あおむけ寝で寝かせたものの半数以上がうつぶせで発見されていた。
結論
我が国にあったキャンペーンを構築することが望ましいと考えられる。

SIDS/SUID予防のため、以下のことに注意して下さい。

(1)1歳になるまでは、お昼でも夜でも、寝かせるときは仰向けにしましょう。
(2)できるだけ母乳で育てましょう。
(3)たばこをやめましょう。
(4)生後2ヶ月以降で、母乳保育が出来るようになったら、6ヶ月までは、泣いて寝ないときにはおしゃぶりの使用を考えてよいでしょう。
(5)赤ちゃんの周りに、枕、ぬいぐるみ、おもちゃ、などを置かないようにしましょう。
(6)添い寝の時は、お母さんの過労、薬、飲酒などでの熟睡に気をつけましょう。

公開日・更新日

公開日
2019-07-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2019-07-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201807003Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,500,000円
(2)補助金確定額
6,699,884円
差引額 [(1)-(2)]
800,116円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,550,871円
人件費・謝金 322,508円
旅費 2,459,534円
その他 636,971円
間接経費 1,730,000円
合計 6,699,884円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2019-07-01
更新日
2021-07-12