文献情報
文献番号
201721018A
報告書区分
総括
研究課題名
系統的レビューに基づく「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」に寄与する口腔機能評価法と歯科保健指導法の検証
課題番号
H29-医療-一般-001
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
三浦 宏子(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
研究分担者(所属機関)
- 安藤 雄一(国立保健医療科学院 統括研究官)
- 玉置 洋(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
- 小坂 健(東北大学大学院 歯学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
すべての年代において、「歯・口腔の健康」のさらなる向上を図るためには、歯科疾患だけでなく、口腔機能面からの対策が不可欠である。そこで、本研究では口腔機能評価法と機能低下者への歯科保健指導の標準化を図るために、系統的レビューを行い、これまでの研究知見の集約を図った。また、「基本的事項」に基づく地域歯科保健を推進するうえで、歯科疾患実態調査の利活用は必須の要件であり、統計的バイアスをできる限り排除したデータを得ることが求められる。そこで、本研究では、平成28年歯科疾患実態調査のサンプル特性、協力率ならびに自治体側での実施体制の課題についても併せて分析した。
研究方法
二次資料に基づく系統的レビューと二次データを用いた量的分析を中心に行った。また、平成28年歯科実感実態調査の協力地域に対して、郵送法による自記式質問紙調査を行い、歯科疾患実態調査の協力率向上に向けた対応策の実施状況について調べた。
結果と考察
系統的レビューの結果、高頻度に効果が検証された口腔機能介入プログラムの特性は、①口腔体操(特に舌運動、口唇運動、頬部運動)は必須、②口腔体操に加えて口腔保健に関する講話等を包含した60分~90分プログラムが多数、③プログラムを隔週ごとに1回行い、3ヶ月間は継続等であった。また、口腔機能評価法としては、オーラルディアドコキネス、反復唾液嚥下テストが多く用いられていた。これらの系統的レビューの結果から、口腔機能向上に向けた標準的指導法の主要コンテンツが示唆された。歯周病スクリーニングについて、Youden’s Indexを用いて比較した結果、ポリクロナール抗体反応を用いた方法のindex値の範囲は0.08-0.52であり、比色試験を用いた方法よりも優れていた。今後、性別、年齢、残存歯数によって階層化されたカットオフポイントの設定にはさらなる研究が必要とされる。また、砂糖の摂取頻度や摂取量を減らすことが歯周病予防の一つの方法として有効な可能性が示唆された。今後、さらに研究を進めていくとともに、歯周病のみならず多くの疾患を予防するために砂糖の摂取を減らすような公衆衛生的介入を進めていく必要が示唆された。
平成28年歯科疾患実態調査に関する研究から得られた知見としては、「H28 歯調」では口腔診査に加えて質問紙調査が行われたが、口腔診査への協力度が低い対象層に対して質問紙が協力率を高める効果があると考えられた。また、平成28年歯科疾患実態調査では口腔診査に対する協力率が 26.2%、質問紙調査のみ回答者を加えた協力率が 41.6%であった。平成 28 年歯科疾患実態調査の対象地区に対して質問紙調査を行った結果、平成28年歯科疾患実態調査の母体調査である平成 28 年国民健康・栄養調査との連携については、現場において一定レベルの協力体制がとられている状況が認められた。今後の協力率向上の見通しに関する質問では、口腔診査の協力率が向上するという見通しの回答は少なかったが、質問紙の協力率が向上するという見通しの回答が多かった。今後の改善等に関する自由記述の回答から、歯科疾患実態調査では PDCA が十分に機能していない状況が示唆された。
平成28年歯科疾患実態調査に関する研究から得られた知見としては、「H28 歯調」では口腔診査に加えて質問紙調査が行われたが、口腔診査への協力度が低い対象層に対して質問紙が協力率を高める効果があると考えられた。また、平成28年歯科疾患実態調査では口腔診査に対する協力率が 26.2%、質問紙調査のみ回答者を加えた協力率が 41.6%であった。平成 28 年歯科疾患実態調査の対象地区に対して質問紙調査を行った結果、平成28年歯科疾患実態調査の母体調査である平成 28 年国民健康・栄養調査との連携については、現場において一定レベルの協力体制がとられている状況が認められた。今後の協力率向上の見通しに関する質問では、口腔診査の協力率が向上するという見通しの回答は少なかったが、質問紙の協力率が向上するという見通しの回答が多かった。今後の改善等に関する自由記述の回答から、歯科疾患実態調査では PDCA が十分に機能していない状況が示唆された。
結論
本研究によって、口腔機能向上のための介入方法、歯周病スクリーニングとリスク要因としての砂糖摂取に関するエビデンスを集約することができた。一方、平成28年歯科疾患実態調査の協力者のサンプル特性ならびに実施に際しての課題を抽出することができた。
公開日・更新日
公開日
2018-06-07
更新日
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