文献情報
文献番号
201625003A
報告書区分
総括
研究課題名
自家用水道の災害時の活用および管理水準の向上に関する研究
課題番号
H26-健危-一般-005
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
早川 哲夫(一般社団法人 全国給水衛生検査協会)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
1,290,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、貯水槽水道の適切な管理を図るため、設置者、管理者の管理意識を高め、管理レベルを向上させる手法について研究を行うとともに、大震災時の貯水槽水道及び個人井戸の活用システムを構築することを目的とする。
研究方法
本研究は、一般社団法人全国給水衛生検査協会参与の元麻布大学大学院教授早川哲夫を主任研究者とし、一般財団法人 東京顕微鏡院理事 伊藤武、国立研究開発法人国立環境研究所環境情報部長 柳橋泰生、 一般社団法人全国給水衛生検査協会会長の奥村明雄を分担研究者として実施。これら研究者のもとに、専門家による委員会を設置して研究を実施。
委員会は日本給水タンク工業会、一般社団法人全国給水衛生検査協会の専門家に加え、公益社団法人全国建築物飲料水管理協会、東京都衛生局、東京都水道局からの専門家により構成。
委員会は日本給水タンク工業会、一般社団法人全国給水衛生検査協会の専門家に加え、公益社団法人全国建築物飲料水管理協会、東京都衛生局、東京都水道局からの専門家により構成。
結果と考察
1 管理水準向上に関する指針
貯水槽水道は検査が確実に行われて初めて、衛生水準の確保が担保される
検査率が極めて低い自治体は、管理レベルが確保されていない。検査率を向上させることが緊要な課題である。
2 現状と対策
(1) 自治体別の検査率(厚生労働省調べ)の現状;高いところは100%を超えるところから、ひとけたの検査率のところまで、ばらつきが大変大きい。数字の精査が必要。
(2)市への権限移譲が行われたが、市の中では、貯水槽水道の管理に関する認識が十分でないところがあり、検査率が下振れしている。このため、次のような対応措置を講ずる必要がある。
① 厚生労働省の指導の下で、全国給水衛生検査協会が、市への職員を対象とした講習会を実施。
これを継続、拡大し、理解を深めるためのハンドブックを作成配布 ②台帳の適切な整備と関係機関の連携体制の確保 ③地方自治体と登録検査機関の協力関係の新たな構築 ④ 共同広報の推進
3 災害時シミュレーション 東京都世田谷区の災害時シミュレーション
世田谷区を5地区に分け、震災時の貯水槽の役割、特に病院、避難施設の貯水槽の役割を評価。すべての地域で、目標の水量(9Ł/人/3日間)は確保。災害時の応急給水を想定する場合、さらにミクロな区域についての水の確保を考える必要があり、北沢地区をA~Dの4つのブロックに分割し、調査を実施。調査結果;多くの地区では、「共助」「公助」「自助」の合計が6L/1人に満たない。地域の受水槽水を活用した場合には、約9L/1人となり、目標の水量は確保できる。
多くの自治体では、マクロな区域割で、水の確保を考えているが、実際高齢化したところでは、「重い水」を遠くまで運ぶことは困難であり、都市内に多く存在する貯水槽水の活用が重要であることが分かった。
4 熊本地震における貯水槽水道の役割評価 アンケート
調査は熊本県の219箇所にアンケート用紙を配布。回答が得られたものは82件、回収率は37
「貯水槽の水は応急給水として活用できるか」との問いに対して、81%が「はい」と回答し、貯水槽水道の今後の活用が重要であることが分かった。また最新の耐震基準で整備された貯水槽にはほとんど被害がなく、この活用が有効であることが分かった。
5 災害時の貯水槽水道の活用に関する指針
(1)地方自治体内部で、衛生部局、災害対策部局、水道局3者が共同で検討する体制がなく、基本的には、災害対策部局が水道局と協議し、取りまとめている。
① 防災計画上は、自助として、家庭や地域におけるペットボトルの備蓄が、公助として、水道局での対応が盛り込まれているが、民間の貯水槽水道は、取り上げられていない。衛生部局においては、災害時の応急給水のための施設として貯水槽を見るという考え方がない。
・災害時の応急急水源としての貯水槽水道、飲用井戸の活用に関する指針
(1) ランキング表示制度の普及、(2)災害時協力貯水槽認定制度の普及
・自助としてのマンションの貯水槽・格付けとして捉える・社会貢献としての位置づけ
(3) 民活としての貯水槽の水の活用
・公助の施設の少ない場所、デパート、商店街、催し物施設など人の集まるところでの貯水槽の活用、災害難民対策や病院、社会福祉施設、避難施設などでの貯水槽の役割・水のタンクとしての貯水槽の役割生活用 、(4)生活用水としての井戸の活用
貯水槽水道は検査が確実に行われて初めて、衛生水準の確保が担保される
検査率が極めて低い自治体は、管理レベルが確保されていない。検査率を向上させることが緊要な課題である。
2 現状と対策
(1) 自治体別の検査率(厚生労働省調べ)の現状;高いところは100%を超えるところから、ひとけたの検査率のところまで、ばらつきが大変大きい。数字の精査が必要。
(2)市への権限移譲が行われたが、市の中では、貯水槽水道の管理に関する認識が十分でないところがあり、検査率が下振れしている。このため、次のような対応措置を講ずる必要がある。
① 厚生労働省の指導の下で、全国給水衛生検査協会が、市への職員を対象とした講習会を実施。
これを継続、拡大し、理解を深めるためのハンドブックを作成配布 ②台帳の適切な整備と関係機関の連携体制の確保 ③地方自治体と登録検査機関の協力関係の新たな構築 ④ 共同広報の推進
3 災害時シミュレーション 東京都世田谷区の災害時シミュレーション
世田谷区を5地区に分け、震災時の貯水槽の役割、特に病院、避難施設の貯水槽の役割を評価。すべての地域で、目標の水量(9Ł/人/3日間)は確保。災害時の応急給水を想定する場合、さらにミクロな区域についての水の確保を考える必要があり、北沢地区をA~Dの4つのブロックに分割し、調査を実施。調査結果;多くの地区では、「共助」「公助」「自助」の合計が6L/1人に満たない。地域の受水槽水を活用した場合には、約9L/1人となり、目標の水量は確保できる。
多くの自治体では、マクロな区域割で、水の確保を考えているが、実際高齢化したところでは、「重い水」を遠くまで運ぶことは困難であり、都市内に多く存在する貯水槽水の活用が重要であることが分かった。
4 熊本地震における貯水槽水道の役割評価 アンケート
調査は熊本県の219箇所にアンケート用紙を配布。回答が得られたものは82件、回収率は37
「貯水槽の水は応急給水として活用できるか」との問いに対して、81%が「はい」と回答し、貯水槽水道の今後の活用が重要であることが分かった。また最新の耐震基準で整備された貯水槽にはほとんど被害がなく、この活用が有効であることが分かった。
5 災害時の貯水槽水道の活用に関する指針
(1)地方自治体内部で、衛生部局、災害対策部局、水道局3者が共同で検討する体制がなく、基本的には、災害対策部局が水道局と協議し、取りまとめている。
① 防災計画上は、自助として、家庭や地域におけるペットボトルの備蓄が、公助として、水道局での対応が盛り込まれているが、民間の貯水槽水道は、取り上げられていない。衛生部局においては、災害時の応急給水のための施設として貯水槽を見るという考え方がない。
・災害時の応急急水源としての貯水槽水道、飲用井戸の活用に関する指針
(1) ランキング表示制度の普及、(2)災害時協力貯水槽認定制度の普及
・自助としてのマンションの貯水槽・格付けとして捉える・社会貢献としての位置づけ
(3) 民活としての貯水槽の水の活用
・公助の施設の少ない場所、デパート、商店街、催し物施設など人の集まるところでの貯水槽の活用、災害難民対策や病院、社会福祉施設、避難施設などでの貯水槽の役割・水のタンクとしての貯水槽の役割生活用 、(4)生活用水としての井戸の活用
結論
今回作成された指針を行政が活用することにより貯水槽水道の管理レベルの向上を図るとともに、災害時の安定給水につとめることが望ましい。
また、水道局や衛生部局だけではなく、災害担当部局が中心になって、応急給水を考えることが必要である。
また、水道局や衛生部局だけではなく、災害担当部局が中心になって、応急給水を考えることが必要である。
公開日・更新日
公開日
2017-06-23
更新日
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