行政推進施策による労働災害防止運動の好事例調査とその効果に関する研究

文献情報

文献番号
201621003A
報告書区分
総括
研究課題名
行政推進施策による労働災害防止運動の好事例調査とその効果に関する研究
課題番号
H27-労働-一般-001
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
大幢 勝利(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 労働災害調査分析センター)
研究分担者(所属機関)
  • 日野 泰道(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ)
  • 高橋 弘樹(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ)
  • 吉川 直孝(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ)
  • 梅崎 重夫(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 研究推進・国際センター)
  • 岡部 康平(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 機械システム安全研究グループ)
  • 藤本 康弘(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 化学安全研究グループ)
  • 島田 行恭(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 リスク管理研究センター)
  • 佐藤 嘉彦(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 化学安全研究グループ)
  • 冨田 一(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 研究推進・国際センター)
  • 濱島 京子(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 電気安全研究グループ)
  • 三浦 崇(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 電気安全研究グループ)
  • 高木 元也(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 リスク管理研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
10,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
労働安全衛生行政は、第12 次労働災害防止計画において、労働災害発生件数の減少等を目標として掲げている。この目標のため、行政が労働災害防止関係団体や個別の企業に働きかけ、これら関係者の自主的な取組を促進することにより、政策の推進が図られている。これらの行政推進施策等については、参考とすべき好事例が数多くあると考えられ、中小事業場等に水平展開することにより労働災害の防止に寄与することが可能となる。そこで、本研究では、今後の行政推進施策等への反映が可能な好事例をヒアリング等により調査し、他への展開の可能性の検討を行う。その結果を踏まえ、行政推進施策等による労働災害の発生率の低下等の波及効果を、各種経済指標等との比較により分析すること等により、今後の施策等に効果的と考えられる取組みについて検討することを目的とする。
研究方法
平成28年度は、行政推進施策等による好事例やその効果を検討するため、以下の4項目を対象に研究を進めた。
1)建設業における好事例の収集と安全意識や安全対策の変化の調査
2) 製造業・陸上貨物運送事業における好事例の収集と安全意識や安全対策の変化の調査
3)小売業・飲食店における行政推進施策の好事例モデルの提案等
4)労働災害の発生率の低下等の波及効果の分析
結果と考察
研究方法に示す4項目に基づき、以下の7分野の研究を実施した。
1)建設業における計画・設計段階から考える工事安全の事例調査
ロンドンオリンピック・パラリンピックの関連工事の死亡災害0の好事例(設計からリスクアセスメントを行った事例等)と、米国の設計から安全を考える事例を調査し、我が国での適用について検討した。
2)化学プラントにおけるリスクアセスメントの好事例調査
安全先進国の欧米の機関を訪問し、化学プラントにおけるリスクアセスメントの実施状況などを把握することを主眼として、調査を行なった。その結果、爆発火災防止のためのリスクアセスメント、爆発火災防止対策、および教育訓練等に関する好事例を得た。
3)アーク溶接作業での感電災害防止における好事例調査
交流アーク溶接機による溶接作業を行っている造船現場での現地調査を行い、感電災害防止の取り組み状況を確認した。また、新構造規格に基づく交流アーク溶接機用自動電撃防止装置の特性等を調査し、入手した製品は構造規格を満足していることを確認した。また、韓国のアーク溶接機に関する指針等を調査し、労働安全衛生規則には定めがない規定等を明らかにした。
4)陸上貨物運送事業における好事例調査
ガイドラインに従い製造している荷役作業時のトラックからの墜落防止機材について、実際に使用している工場を訪問し、その使用状況を調査した。また米国で開催された国際会議に参加し、米国における荷役作業時の墜落防止事例などについて情報収集を行い好事例を得た。
5)小売業・飲食店における行政推進施策好事例モデルの提案
新たな行政推進施策の好事例モデルを提案することを目的に休業4日以上死傷災害データの分析結果などを基に、主要業態別にみた労働災害発生状況の特徴を整理するとともに、再発防止対策として昨年度の好事例調査結果に基づき安全教育ポイントなどを抽出し、それらを基に労働災害防止用パンフレットを制作した。
6)諸外国における労働災害損失の計測手法調査
労働災害損失の計測手法に関し海外文献調査を行った。諸外国がその国特有の事情に応じ計測方法を開発しているように見受けられたため、国別に分けて調査を行った。調査対象国は、米国、英国、EU全体等である。
7)建設業における死亡災害の傾向分析
建設投資1兆円当たりの建設作業員数と死亡災害件数の関係を調査し、両者に強い相関があることを明らかにした。また、平成25年と26年は、その相関関係以上に、死亡災害の割合が減少していることを明らかにした。
結論
本研究では、行政推進施策等による好事例やその効果を検討するため、以下の7つの分野における好事例収集と分析等を行った。
1)建設業における計画・設計段階から考える工事安全の事例調査
2)化学プラントにおけるリスクアセスメントの好事例調査
3)アーク溶接作業での感電災害防止における好事例調査
4)陸上貨物運送事業における好事例調査
5)小売業・飲食店における行政推進施策好事例モデルの提案
6)諸外国における労働災害損失の計測手法調査
7)建設業における死亡災害の傾向分析
 その結果、ロンドンオリンピック・パラリンピックの関連工事の好事例を、東京オリンピック・パラリンピック工事安全協議会運営のため厚生労働省に情報提供した。また、小売業・飲食店における労働災害防止用パンフレットを、全国の労働局や監督署等に配布した。

公開日・更新日

公開日
2017-05-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2017-05-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201621003Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
14,000,000円
(2)補助金確定額
13,283,000円
差引額 [(1)-(2)]
717,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,301,482円
人件費・謝金 0円
旅費 1,977,850円
その他 4,804,009円
間接経費 3,200,000円
合計 13,283,341円

備考

備考
341円は自己資金である。

公開日・更新日

公開日
2018-01-23
更新日
-