文献情報
文献番号
201610039A
報告書区分
総括
研究課題名
重症多形滲出性紅斑に関する調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H26-難治等(難)-一般-081
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
森田 栄伸(国立大学法人島根大学 医学部皮膚科学)
研究分担者(所属機関)
- 佐山浩二(愛媛大学大学院 医学系研究科 愛媛大学医学部皮膚科学)
- 相原道子(公立大学法人横浜市立大学大学院 医学研究科 環境免疫病態皮膚科学)
- 末木博彦(昭和大学医学部皮膚科学)
- 浅田秀夫(奈良県立医科大学皮膚科学)
- 椛島健治(京都大学大学院医学研究科 皮膚科学 )
- 橋爪秀夫(市立島田病院皮膚科)
- 阿部理一郎(新潟大学大学院医歯学総合研究科 分子細胞医学専攻細胞機能講座 皮膚科学分野)
- 高橋勇人(慶應義塾大学医学部皮膚科学)
- 青山裕美(川崎医科大学附属川崎病院皮膚科)
- 黒沢美智子(順天堂大学医学部 衛生学)
- 莚田泰誠(独立行政法人 理化学研究所統合生命医科学研究センター薬理ゲノム学)
- 外園千恵(京都府立医科大学大学院医学研究科視覚機能再生外科学)
- 大山 学(杏林大学医学部皮膚科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
13,380,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
2015年度に作成したStevens-Johnson症候群(SJS)及び中毒性表皮壊死症(TEN)の診療ガイドラインの関連学会での承認を得るとともに、一般臨床医への普及を図ることを2016年度の目的とした。また、本診療ガイドラインに掲載された治療法の検証を行った。また、SJS/TEN発症における遺伝的背景やバイオマーカーの検索を行った。
さらに、SJS/TENの関連疾患である薬剤性過敏症症候群(DIHS)の診断精度の向上、バイオマーカーの検索、ステロイド治療の有用性の検討などを行った。
さらに、SJS/TENの関連疾患である薬剤性過敏症症候群(DIHS)の診断精度の向上、バイオマーカーの検索、ステロイド治療の有用性の検討などを行った。
研究方法
1. SJS/TENの診療ガイドラインの承認と普及
SJS/ TENの診療ガイドライン2016の学会承認と学会誌への掲載を行った。
2. SJS/TEN発症の遺伝的背景の検討
アロプリノール耐性症例24例、アロプリノールによる薬疹29例、カルバマゼピンによる薬疹101例を対象として、HLA-B*58:01及びTNF-alfa遺伝子多型との関連を検討した。ラモトリギンによる薬疹14例のHLA-A、B、C及びDRB1のタイピングを行った。
3. SJS/TENに対する治療法と予後についての検討
SJS/ TEN 323例について、ステロイド療法後のステロイド投与量、予後、後遺症について検討した。
4. 重症薬疹における原因薬同定の精度の向上の検討
薬剤アレルギー234例と健常人対照16例を対象として、薬剤性リンパ球活性化試験及び薬剤性末梢血好塩基球活性化試験の精度を比較した。
5. DIHSの診断と治療法の検討
DIHSの早期診断法を確立する目的で、DIHS例において血清TARC値を測定し、臨床症状との関連を検討した。
DIHS例に短期間のシクロスポリン投与を行い、その治療効果を判定した。
DIHS例を対象として、ステロイドの投与とヒトヘルペスウイルスの再活性化の有無を検討した。
SJS/ TENの診療ガイドライン2016の学会承認と学会誌への掲載を行った。
2. SJS/TEN発症の遺伝的背景の検討
アロプリノール耐性症例24例、アロプリノールによる薬疹29例、カルバマゼピンによる薬疹101例を対象として、HLA-B*58:01及びTNF-alfa遺伝子多型との関連を検討した。ラモトリギンによる薬疹14例のHLA-A、B、C及びDRB1のタイピングを行った。
3. SJS/TENに対する治療法と予後についての検討
SJS/ TEN 323例について、ステロイド療法後のステロイド投与量、予後、後遺症について検討した。
4. 重症薬疹における原因薬同定の精度の向上の検討
薬剤アレルギー234例と健常人対照16例を対象として、薬剤性リンパ球活性化試験及び薬剤性末梢血好塩基球活性化試験の精度を比較した。
5. DIHSの診断と治療法の検討
DIHSの早期診断法を確立する目的で、DIHS例において血清TARC値を測定し、臨床症状との関連を検討した。
DIHS例に短期間のシクロスポリン投与を行い、その治療効果を判定した。
DIHS例を対象として、ステロイドの投与とヒトヘルペスウイルスの再活性化の有無を検討した。
結果と考察
1. SJS/TENの診療ガイドラインの承認と普及
SJS/TENの診療ガイドライン2016を、日本皮膚科学会および日本眼科学会で承認を受け、日本皮膚科学会雑誌および日本眼科学会雑誌へ掲載した。またSJS/ TENの診療ガイドライン2016簡易版を作成し、学会会員などへ配布し、その周知を図った。
2. SJS/TEN発症の遺伝的背景の検討
アロプリノールによる薬疹症例29例中12例がHLA-B*58:01を保有し(41.4%)、うち11例がTNF-alfa; -308 G/Aタイプであった(37.9%)。以上よりアロプリノールによる薬疹の発症および重症化にHLAおよびTNA-alfa遺伝子多型が関与している可能性がある。一方、ラモトリギンによる薬疹の発症リスクと統計的に有意な関連を示すHLAアリルは同定されなかった。
3. SJS/TENに対する治療法と予後についての検討
SJS/ TEN 323例についての多重ロジスティックスモデルによる死亡リスクと後遺症リスク分析では、死亡のリスクを上げていたのは年齢、TEN、重症度スコアであった。死亡のリスクが低かったのは女性、ステロイドパルス療法であった。
4. 重症薬疹における原因薬同定の精度の向上の検討
薬剤性リンパ球活性化試験及び薬剤性末梢血好塩基球活性化試験の陰性反応的中率は96.6%であった。
5. DIHSの診断と治療法の検討
DIHSにおいて、血清TARC値は早期診断マーカーおよび重症度マーカとなる可能性が示された。
DIHS 2例に対して、シクロスポリン2 mg/kg/日、1週間の投与で速やかな改善を認めた。
ステロイドの発症早期の投与は、DIHSにおけるヒトヘルペスウイルス6の再活性化を抑制するが、サイトメガロウイルスの再活性化を増強することが示唆された。
SJS/TENの診療ガイドライン2016を、日本皮膚科学会および日本眼科学会で承認を受け、日本皮膚科学会雑誌および日本眼科学会雑誌へ掲載した。またSJS/ TENの診療ガイドライン2016簡易版を作成し、学会会員などへ配布し、その周知を図った。
2. SJS/TEN発症の遺伝的背景の検討
アロプリノールによる薬疹症例29例中12例がHLA-B*58:01を保有し(41.4%)、うち11例がTNF-alfa; -308 G/Aタイプであった(37.9%)。以上よりアロプリノールによる薬疹の発症および重症化にHLAおよびTNA-alfa遺伝子多型が関与している可能性がある。一方、ラモトリギンによる薬疹の発症リスクと統計的に有意な関連を示すHLAアリルは同定されなかった。
3. SJS/TENに対する治療法と予後についての検討
SJS/ TEN 323例についての多重ロジスティックスモデルによる死亡リスクと後遺症リスク分析では、死亡のリスクを上げていたのは年齢、TEN、重症度スコアであった。死亡のリスクが低かったのは女性、ステロイドパルス療法であった。
4. 重症薬疹における原因薬同定の精度の向上の検討
薬剤性リンパ球活性化試験及び薬剤性末梢血好塩基球活性化試験の陰性反応的中率は96.6%であった。
5. DIHSの診断と治療法の検討
DIHSにおいて、血清TARC値は早期診断マーカーおよび重症度マーカとなる可能性が示された。
DIHS 2例に対して、シクロスポリン2 mg/kg/日、1週間の投与で速やかな改善を認めた。
ステロイドの発症早期の投与は、DIHSにおけるヒトヘルペスウイルス6の再活性化を抑制するが、サイトメガロウイルスの再活性化を増強することが示唆された。
結論
2015年度に作成したStevens-Johnson症候群(SJS)及び中毒性表皮壊死症(TEN)の診療ガイドラインの日本皮膚科学会および日本眼科学会での承認を得て、日本皮膚科学会誌および日本眼科学会雑誌に掲載した。SJS/TEN診療ガイドライン2016のエッセンスを簡易版として作成し、会員へ配布し、普及を図った。
SJS/TEN発症の遺伝的背景の検討、治療法と予後の解析、DIHSの診断と治療法の検討を行った。
SJS/TEN発症の遺伝的背景の検討、治療法と予後の解析、DIHSの診断と治療法の検討を行った。
公開日・更新日
公開日
2017-06-08
更新日
-