文献情報
文献番号
201603002A
報告書区分
総括
研究課題名
地域包括ケア実現のためのヘルスサービスリサーチ-二次データ活用システム構築による多角的エビデンス創出拠点-
課題番号
H27-政策-戦略-012
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
田宮 菜奈子(国立大学法人筑波大学 医学医療系 ヘルスサービスリサーチ分野)
研究分担者(所属機関)
- 高橋 秀人(福島県立医科大学医学部放射線医学県民健康管理センター情報管理・統計室)
- 野口 晴子(早稲田大学政治経済学術院・公共経営研究科)
- 阿部 智一(筑波大学医学医療系)
- 石崎 達郎(東京都健康長寿医療センター研究所)
- 柏木 聖代(横浜市立大学医学部看護学科)
- 小林 廉毅(東京大学大学院医学系研究科)
- 佐藤 幹也(筑波大学医学医療系)
- 杉山 雄大(国立国際医療研究センター)
- 武田 文(筑波大学体育系)
- 谷原 真一(帝京大学大学院公衆衛生学研究科)
- 松本 吉央(産業技術総合研究所ロボットイノベーション研究センター)
- 宮石 智(岡山大学・大学院医歯薬学総合研究科)
- 本澤 巳代子(筑波大学人文社会系)
- 森山 葉子(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
- 山岡 祐衣(筑波大学医学医療系)
- 山中 克夫(筑波大学人間系 )
- 山本 秀樹(帝京大学大学院公衆衛生学研究科保健医療政策学分野)
- 太刀川 弘和(筑波大学医学医療系)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(臨床研究等ICT基盤構築研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
17,693,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
他に類をみないスピードで世界一の超高齢社会となった我が国では 、医療が介護をも担ってきた旧体制から、介護保険制度を創出して 介護を医療と分化し、一定の成果を得てきた。しかし、増大するニ ーズに適切に対応するには、医療と介護の連携を強化し、地域のリ ソースを活用し対応することが急務である。地域包括ケア推進はま さにこの考えに基づくものであるが、限られたリソースをどうした ら効果的に配分し、ニーズにあった質の高いサービスを提供できか が急務の課題である。そして、これを明らかにする学問領域が、ヘ ルスサービスリサーチ(以下HSR)である。我々はHSRに特化した研究室を2003年に開講し、早くから介護レセプトの研究への活用に着目してきた
本戦略研究によって、これらの実績の上にさらなる広範なデータ整備と基盤構築が可能となった。
こうした基盤をもとに、本研究では、地域包括ケア実現のための効果的サービス提供のあり方を、ヘルスサービスリサーチの概念に基づき、各種の二次データの分析基盤を整備し, 実証的かつ包括的に明らかにすることを目的とした
本戦略研究によって、これらの実績の上にさらなる広範なデータ整備と基盤構築が可能となった。
こうした基盤をもとに、本研究では、地域包括ケア実現のための効果的サービス提供のあり方を、ヘルスサービスリサーチの概念に基づき、各種の二次データの分析基盤を整備し, 実証的かつ包括的に明らかにすることを目的とした
研究方法
公的二次データを統計法に基づいて申請し活用し、またモデル地域では市町村と契約したデータを活用し、地域包括ケアの課題に対する幅広い研究をチームで実施した。
各データは、下記の結果にあわせて示す。
また、広く研究者間に成果を周知するべく、日本公衆衛生学会において、当戦略研究の成果を中心としたシンポジウムを開催した。
各データは、下記の結果にあわせて示す。
また、広く研究者間に成果を周知するべく、日本公衆衛生学会において、当戦略研究の成果を中心としたシンポジウムを開催した。
結果と考察
1.「全国介護レセプト」を用いた研究では、介護保険サービスの 利用における性差、福祉用具貸与サービスの利用看取り加算の実態、介護の場所別死亡率の推計、地域包括ケアシステムの評価指標としての「在宅日数」および「在宅日数0日の者の 割合」、有料老人ホームにおける要介護変化を用いたケアの質の指 標の開発及び応用、訪問診療の継続には適切な介護サービスととの 併用が効果的など
2.「中高年縦断調査」を用いた研究では、中高年齢期におけるソ ーシャル・ネットワークと抑うつとの関連、余暇活動・社会活動が日常生活動作に及ぼす影響、ソーシャル・キ ャピタル指標の作成と妥当性・信頼性の検討ソーシャル・キャピタルおよび抑うつの変化間の関係、糖尿病の発 症に社会活動の参加状況が及ぼす影響の検討、週20から69時間介護をするの女性介護者と冠動脈疾患の発症
3.「国民生活基礎調査」では、家族介護者の雇用促進政策として の公的介護保険制度によるスピルオーバー効果、要介護度と原因疾患による在宅要介護者の介護費用の違いおよび主 たる介護者の健康状態、アレルギー性鼻炎通院が生活の質に与える 影響に関する研究、都道府県別の介護者の就労実態
4.「人口動態調査」では、死因別の乳児死亡における包括的リス クアセスメントや、職業別の死因の経年分析
5.「全国介護レセプト」「人口動態調査(死亡票)」のLink age(照合)では、生涯介護費用の男女別疾病別推計
6.「医療介護レセプト連結データ」では、死亡前1年間における 療養場所移行の実態把握、地域住民における医療と介護を合算した 費用の推移に関する検討、糖尿病と介護の内容、介護度、 介護費等との関連に関する研究、「退院時調整会議」 による再入院の費用減少効果、大腿骨骨折の医療・介護費用の推定。
その他、市町村ニーズ調査により、ショートステイによる介護費用 抑制試算の他、外傷データ、法医学データを活用した研究などを実施した。
以上、地域包括ケアの課題を各方面から明らかにすることができた。
2.「中高年縦断調査」を用いた研究では、中高年齢期におけるソ ーシャル・ネットワークと抑うつとの関連、余暇活動・社会活動が日常生活動作に及ぼす影響、ソーシャル・キ ャピタル指標の作成と妥当性・信頼性の検討ソーシャル・キャピタルおよび抑うつの変化間の関係、糖尿病の発 症に社会活動の参加状況が及ぼす影響の検討、週20から69時間介護をするの女性介護者と冠動脈疾患の発症
3.「国民生活基礎調査」では、家族介護者の雇用促進政策として の公的介護保険制度によるスピルオーバー効果、要介護度と原因疾患による在宅要介護者の介護費用の違いおよび主 たる介護者の健康状態、アレルギー性鼻炎通院が生活の質に与える 影響に関する研究、都道府県別の介護者の就労実態
4.「人口動態調査」では、死因別の乳児死亡における包括的リス クアセスメントや、職業別の死因の経年分析
5.「全国介護レセプト」「人口動態調査(死亡票)」のLink age(照合)では、生涯介護費用の男女別疾病別推計
6.「医療介護レセプト連結データ」では、死亡前1年間における 療養場所移行の実態把握、地域住民における医療と介護を合算した 費用の推移に関する検討、糖尿病と介護の内容、介護度、 介護費等との関連に関する研究、「退院時調整会議」 による再入院の費用減少効果、大腿骨骨折の医療・介護費用の推定。
その他、市町村ニーズ調査により、ショートステイによる介護費用 抑制試算の他、外傷データ、法医学データを活用した研究などを実施した。
以上、地域包括ケアの課題を各方面から明らかにすることができた。
結論
本研究の強みは,在宅生活継続期間などのアウトカム指標を,介護 保険全利用者で算出できる点,利用の時期,量,組み合わせを加算 情報や事業者情報まで含めて把握できる点,および,それらを, 事業者,市町村,都道府県の各レベルで算出可能な点である. また,医療保険と介護保険のレセプトデータを連結した分析をモデル市町村において実施することで,地域における医療と介護の体制を包括的に検討する上での課題が明確にできる.
公開日・更新日
公開日
2018-06-01
更新日
2018-06-26