電子カルテ情報を用いた証拠性のある臨床研究手法に関する研究

文献情報

文献番号
201520048A
報告書区分
総括
研究課題名
電子カルテ情報を用いた証拠性のある臨床研究手法に関する研究
課題番号
H27-医療-指定-016
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
木村 通男(国立大学法人浜松医科大学 医学部附属病院医療情報部)
研究分担者(所属機関)
  • 中島 直樹(国立大学法人九州大学 医学部附属病院メディカル・インフォメーションセンター)
  • 澤 智博(帝京大学医療情報システム研究センター)
  • 作佐部 太也(藤田保健衛生大学医療科学部臨床工学科)
  • 渡辺 浩(国立長寿医療研究センター 治験・臨床研究推進センター 医療情報室 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
3,850,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医学研究に携わる者が、その研究の道筋を証拠性をもって自ら証するための技術的ソリューション、運用的規範が、まさに今求められている。医学研究における各種データを情報システムや電子カルテの技術・運用をあてはめることにより、誰により、いつ、どこで作成され、改定されたものかを明確にすることを自ら証せるものとすることが本研究の目的である。
研究方法
本研究の対象要素は、a. 測定データ、画像データの証拠性向上、b. 研究ノートの電子化、c. 臨床系データのヴァリデーション、d. 研究用計測機器のユーザ認証など、証拠性保全、e.ユーザ認証、外部保存などの外部サービスの利用、f.安全に運用するためのセキュアな環境、である。本年度は、a. ~ d.の4点の要素について検討を行った。本年度の研究においては、特に個人情報を取扱うなどの倫理的な課題は発生しなかった。
結果と考察
a. 測定データの証拠性向上については、主として、研究分担者、澤が担当し、現場では、シーケンサーと解析ソフトが利用されているが、シーケンサーデータそのもののデータ形式を調べ上げ、代表的なものは、BAM(マップ形式のバイナリファイル)、FASTA(シーケンスデータを記載したテキストファイル)であり、これらそのものに署名を施すなどの証拠性向上の手段を講じることは容易いことが判明した。 b. 研究ノートの電子化については、臨床データに自動的に連結可能匿名化を施す研究環境の実装について、その有用性を明らかにした。また、手書きが多い研究ノートに簡単な電子カルテシステムを利用するための要件を調べ、複数診療科を設定でき、その属性により患者データの参照権限を設定できること、Web型のブラウザを利用したものであること、が重要だと判明し、市場を調査した結果、数社は、そのようなシステムを上梓していることがわかった。 c. 臨床系データのヴァリデーションについては、主として、研究分担者、中島が担当した。臨床研究で使われる項目の整理結果、患者プロファイル情報、診療録情報、サマリー情報、連携情報、オーダ情報、医事会計情報、2次利用目的登録情報に大別された。前者は、厚生労働省のガイドライン準拠で証拠性は保全されているが、後者は、その対象ではないため、証拠性は別途立てる必要がある。 d. 研究用計測機器のユーザ認証など、証拠性保全については、主として、研究分担者、作佐部が担当した。次世代シーケンサーを運用している研究現場においてワークフローについての聞き取り調査結果、ワークフローの概要は判明したが、手作業が多く、体系化したものではなく情報システムによる運用支援が必要なことが明らかになった。
結論
今年度の研究ノート、計測器データ、臨床研究データを対象とした現状調査で、これらの証拠性向上の方向性は見えた。次年度は、現状で実現が妥当の思われる範囲は、どれほどか、及び、今後の方向性について明確にしていく。具体的には、* Web型電子カルテの研究ノートへの試用、* シーケンサーデータ、画像データへの署名の試行による現実性の検証、* 外部サービスの利用の検討、* セキュアな環境の検討、である。

公開日・更新日

公開日
2018-01-10
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-01-10
更新日
-

収支報告書

文献番号
201520048Z