国内侵入・流行が危惧される昆虫媒介性ウイルス感染症に対する総合的対策の確立に関する研究

文献情報

文献番号
201447007A
報告書区分
総括
研究課題名
国内侵入・流行が危惧される昆虫媒介性ウイルス感染症に対する総合的対策の確立に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
高崎 智彦(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 森田 公一(長崎大学熱帯医学研究所)
  • 小西 英二(大阪大学微生物病研究所)
  • 日紫喜 隆行(京都大学ウイルス研究所)
  • 高橋 和郎(大阪府立公衆衛生研究所)
  • 沢辺 京子(国立感染症研究所 昆虫医科学部)
  • 濱田 篤郎(東京医科大学病院 渡航者)
  • 鈴木 隆二((独)相模原病院 臨床研究センター)
  • 江下 優樹(大分大学 医学部)
  • 梅 敏苓 (モイ メンリン)(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
  • 倉根 一郎(国立感染症研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
17,408,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者、高橋和郎(大阪府立公衆衛生研究所)は、弓指孝博(大阪府立公衆衛生研究所)に平成27年度より交替する。

研究報告書(概要版)

研究目的
デングウイルス(DV)、チクングニアウイルス(CHIKV)は、どちらもネッタイシマカあるいはヒトスジシマカを媒介としてヒトに感染する。DVはデング熱(DF)やデング出血熱(DHF)という異なる病態を惹起する。世界的に年間数千万~1億人がDF、数十万人がDHFを発症している。地球温暖化と流行地の都市化現象が要因となり流行地域拡大が最も危具されている感染症である。2014年、危惧されていたデング熱国内流行が発生した。これらの昆虫媒介性ウイルス感染症の新たな実験室診断法の開発、抗ウイルス剤やワクチン開発とその効果を評価する動物モデルを開発する。
研究方法
マーモセットを用いたデングワクチン候補品の評価、日本脳炎ウイルスレプリコンを用いた1回感染性フラビウイルス粒子産生系による抗体測定法のデング熱患者の臨床検体による評価、日本国内ヤブカのチクングニアウイルスへの感受性の検討、デングウイルス粒子抗原検出イムノクロマト法も開発、海外からのデング熱輸入症例からのウイルス遺伝子解析を実施し、国内流行株の配列と比較解析した。デング熱霊長類モデルとして、ヒトに近い症状を来たす臨床分離株を検索し、mRNA測定によりマーモセットのサイトカイン、ケモカイン量を測定した。また、日本産ヤブカ(オオクロヤブカ)にデングウイルスを感染させ、産ませた卵にウイルス遺伝子が伝播するかを検討した。
結果と考察
マーモセットが、デング弱毒生ワクチンの有効性の評価の動物モデルとして利用できることが明らかになった。また、マーモセットに発疹を来たす臨床分離株を見出した。1回感染性フラビウイルス粒子産生系による抗体測定法が、デング熱患者血清中の中和抗体価測定で、生ウイルスを用いた測定結果と良好な相関関係を示し、中和抗体測定に応用できることが確認された。2014年の国内分離株は、シンガポール、インドネシアの2014年の分離株と極めて近いウイルスであることが確認された。デングウイルス感染マーモセットのサイトカイン、ケモカイン測定法を評価し、ヒトと相関性をしめした。オオグロヤブカでデングウイルスが経卵巣伝播することが明らかとなった。今後、日本産ヒトスジシマカで同様の確認をする必要がある。
結論
マーモセットが、デング弱毒生ワクチンの有効性評価に利用でき、サイトカインやケモカイン測定法を確立した。1回感染性フラビウイルス粒子産生系が中和抗体測定に使用できる。国内分離株、輸入症例からの分離株に関してデータベース構築を開始した。日本国内のヤブカ属の蚊はチクングニアウイルス感受性である。

公開日・更新日

公開日
2015-07-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201447007C

収支報告書

文献番号
201447007Z