生活習慣病予防のための宿泊を伴う効果的な保健指導プログラムの開発に関する研究

文献情報

文献番号
201439020A
報告書区分
総括
研究課題名
生活習慣病予防のための宿泊を伴う効果的な保健指導プログラムの開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
津下 一代(公益財団法人 愛知県健康づくり振興事業団 あいち健康の森健康科学総合センター)
研究分担者(所属機関)
  • 矢部 大介(関西電力病院  糖尿病・代謝・内分泌センター)
  • 村本あき子(公益財団法人 愛知県健康づくり振興事業団 あいち健康の森健康科学総合センター )
  • 小熊 祐子(慶應義塾大学スポーツ医学研究センター・大学院健康マネジメント研究科)
  • 佐野 喜子(神奈川県立保健福祉大学・大学院、栄養領域)
  • 樺山 舞(大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻)
  • 八谷 寛(藤田保健衛生大学・医学部、疫学・予防医学・公衆衛生学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
『「日本再興戦略」改訂2014~未来への挑戦~』において、健康寿命を延伸するためのアクションプランの一つとして、公的保険外のヘルスケア等多様な選択肢の中から、健康状態や嗜好等に応じて 予防サービスを選択できることを求めている。本研究班では糖尿病等生活習慣病の予防効果をねらった宿泊型プログラムを開発するとともに、新保健指導プログラム(スマート・ライフ・ステイ:以下SLS)試行事業の円滑な実施に向けて、実践的な研究を進めることを目的としている。
研究方法
(1)SLSプログラム開発のための予備的な調査:エビデンスに基づいた安全で効果的なプログラムを開発するため、糖尿病予防や保健指導に係わる文献のレビューを行なった。既存の宿泊を伴う健康増進プログラムや宿泊施設の実態を把握するため、モデル事業の実態調査、書面調査ならびに現地ヒアリング調査を実施した。
(2)プログラム企画・実証研究:1)SLSプログラム開発:企画のねらい、運営者の要件、対象者の選定方法と基準、保健指導内容、食事や運動プログラムの基本骨格、リスクマネジメント、保健指導プログラムの質の評価方法、継続的な支援方法、評価法等からなるSLSプログラムを作成する。研究班が試行事業を支援・評価できるよう、プログラム事業評価シート、データ登録シート、対象者への共通アンケートを作成する。2)試行事業に向けた説明資料の作成:厚生労働省プロモーションビデオ作成や試行事業説明会等に協力し、SLSプログラムの普及を図る。
結果と考察
(1)宿泊型保健指導に関連が深いと考えられる「特定健診・保健指導」、「糖尿病等生活習慣病」、「運動介入」、「食生活介入」、「地域特性を生かした保健指導プログラム」、「肥満に関する疫学研究」の6つの分野について文献レビューを行い、文献リストを作成した。
(2)既存の宿泊型健康増進プログラムの実態調査・評価、課題と改善点の抽出:1)厚生労働省および経済産業省でモデル事業として実施している二つのプログラムについて現地調査した。対象者の選定基準と保健指導内容の整合性、保健指導者の確保と教育、宿泊・観光施設との連携、継続支援の方法に改善すべき課題はあるが、参加者の満足度は高かった。得られた課題についてSLSプログラムへの反映を行った。2)宿泊施設等に対する書面調査:全国の宿泊施設、保健指導・健康増進機関に対し、健康の維持・増進・回復に主眼をおいた宿泊プラン等の実施状況、新たな宿泊型健康増進プログラムの導入可能性について調査した。調査対象は健康増進プログラム実施機関 ・宿泊施設 、厚労省認定健康増進施設、主要な国内ホテルチェーン 等328件である。これまでは癒しやアクティビティ重視のヘルスツーリズムが多く、保健指導効果を検証したものは少ない。今回のSLSプログラムについては、過去に健康増進プログラムを実施している機関は前向きであるが、制度的な裏付けや保健指導の専門家との連携などが必須との回答が多かった。3)現地ヒアリング調査:プログラム導入意欲の高い宿泊施設等について、現状と課題などのヒアリング調査を行なった。保健指導機関(専門家)、宿泊施設、医療保険者の連携体制の構築が課題と考えられた。
(3)研究班でSLSプログラムを作成、厚生労働省の確認を経て試行事業説明会等で公表した。特定保健指導対象者のほか、非肥満の糖尿病予備群、高血圧、脂質異常症等で服薬治療をしている者も対象範囲とすること、対象者特性にあったプログラムであること、日常と離れて体験学習を組み入れること、多職種が連携してプログラムを実施すること、運営マニュアルの整備、リスクマネジメントの方法、評価方法やデータ登録について明文化した。説明会には2日で350人を超す参加者が得られ関心の高さがうかがわれた。
結論
文献レビュー、既存事業の実態調査等をもとにSLSプログラムを開発、公表した。本プログラムについて高い関心が寄せられ、来年度の試行事業実施に向けて準備を進めている。実施に向けては専門職の多職種連携、保健と観光・宿泊の連携が不可欠である。宿泊を伴うことから体験学習の効果や参加者同士のピア・サポートが得られやすい反面、リスクマネジメントや運営体制を確立することが重要である。また、通常の特定保健指導よりも高い効果が求められているため、保健指導者の研修を行う必要がある。

公開日・更新日

公開日
2015-09-17
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-09-17
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201439020C

収支報告書

文献番号
201439020Z