文献情報
文献番号
201439009A
報告書区分
総括
研究課題名
発症時刻不明の脳梗塞患者に対する静注血栓溶解療法の適応拡大を目指した臨床研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
豊田 一則(国立循環器病研究センター 脳血管内科)
研究分担者(所属機関)
- 木村 和美(日本医科大学 神経内科学分野)
- 井上 剛(川崎医科大学 脳卒中医学)
- 長束 一行(独立行政法人国立循環器病研究センター 脳神経内科)
- 桑原 健(独立行政法人国立循環器病研究センター 薬剤部)
- 佐々木 真理(岩手医科大学 医歯薬総合研究所 超高磁場MRI診断・病態研究部門)
- 大瀧 雅文(帯広厚生病院 脳神経外科)
- 上山 憲司(中村記念病院 脳神経外科)
- 目時 典文(弘前脳卒中・リハビリテーションセンター)
- 近藤 礼(山形市立病院済生館 脳神経外科)
- 渋谷 聡(みやぎ県南中核病院 神経内科)
- 古井 英介(広南病院 脳血管内科)
- 五十嵐 修一(新潟市民病院 脳神経内科)
- 神澤 孝夫(公益財団法人脳血管研究所美原記念病院 脳卒中部門)
- 塩川 芳昭(杏林大学医学部 脳神経内科学)
- 上坂 義和(虎の門病院 神経内科)
- 田中 亮太(順天堂大学医学部付属順天堂医院 神経内科)
- 井口 保之(東京慈恵会医科大学 臨床神経学、脳卒中学)
- 長谷川 泰弘(聖マリアンナ医科大学 神経内科)
- 瀧澤 俊也(東海大学医学部 内科学系神経内科)
- 永金 義成(京都第二赤十字病院 脳神経内科)
- 吉村 紳一(兵庫医科大学 脳神経外科)
- 坂井 信幸(神戸市立医療センター中央市民病院 脳神経外科・脳血管外科)
- 大西 英之(医療法人社団英明会 大西脳神経外科病院)
- 松本 省二(小倉記念病院 脳卒中センター・脳神経外科)
- 藤本 茂(社会医療法人製鉄記念八幡病院 脳卒中センター脳血管内科)
- 後藤 聖司(福岡赤十字病院 脳血管内科)
- 岡田 靖(国立病院機構九州医療センター 脳血管センター 脳血管・神経内科)
- 辻野 彰(長崎大学病院 脳卒中センター 脳神経内科)
- 寺崎 修司(熊本赤十字病院 神経内科)
- 米原 敏郎(済生会熊本病院 脳卒中センター神経内科)
- 山本 晴子(独立行政法人国立循環器病研究センター 先進医療・治験推進部)
- 濱崎 俊光(独立行政法人国立循環器病研究センター 先進医療・治験推進部)
- 北園 孝成(九州大学大学院 医学研究院 病態機能内科学)
- 棚橋 紀夫(埼玉医科大学国際医療センター 神経内科学)
- 卜部 貴夫(順天堂大学医学部付属浦安病院 神経内科)
- 伊藤 泰広(トヨタ記念病院 神経内科)
- 長谷川 康博(名古屋第二赤十字病院 神経内科)
- 古賀 政利(独立行政法人国立循環器病研究センター 脳卒中集中治療科)
- 吉村 壮平(独立行政法人国立循環器病研究センター 脳血管内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
19,230,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
正確な症状の発現時刻が分からない脳梗塞患者は、血栓溶解や機械的再開通療法の対象となり得ず、有効な超急性期治療手段を欠く。このような患者に、MRIの拡散強調画像とFLAIR画像の陽性所見の差をもって、超急性期治療に適う病変を同定出来る。
本研究では、睡眠中発症および発症時刻不明の急性期脳梗塞患者を対象とし、アルテプラーゼ0.6 mg/kgを用いた静注血栓溶解療法(介入群)の安全性と有効性を、標準内科治療(対照群)との非盲検群間比較法を用いて評価するための、多施設共同、無作為化、非盲検、実薬・標準治療対照、並行2群間比較試験を実施する。国内36施設で、3年間で300例を登録する。2014年4月に先進医療Bの承認を受けた。試験結果を海外試験と統合解析し、その結果に基づき公知申請での適応拡大を目指す。
本研究では、睡眠中発症および発症時刻不明の急性期脳梗塞患者を対象とし、アルテプラーゼ0.6 mg/kgを用いた静注血栓溶解療法(介入群)の安全性と有効性を、標準内科治療(対照群)との非盲検群間比較法を用いて評価するための、多施設共同、無作為化、非盲検、実薬・標準治療対照、並行2群間比較試験を実施する。国内36施設で、3年間で300例を登録する。2014年4月に先進医療Bの承認を受けた。試験結果を海外試験と統合解析し、その結果に基づき公知申請での適応拡大を目指す。
研究方法
[基本デザイン]多施設共同、無作為化、非盲検、実薬・標準治療対照、並行群間比較試験。
[対象疾患] 急性期脳梗塞。
[主な選択基準] 発症時刻不明、最終未発症確認時刻から治療開始可能時刻まで4.5時間超12時間以内、発見から4.5時間以内に治療開始可能、拡散強調画像でのASPECTS ≥5、FLAIRで初期虚血病変と考えられる明らかな高信号所見の不在。
[試験薬] アルテプラーゼ(rt-PA)0.6 mg/kg。
[主要評価項目] 試験開始90日後のmodified Rankin Scale (mRS) 0-1(完全自立)。
[安全性評価項目] 試験開始後24時間以内の症候性頭蓋内出血発現率、試験期間中の大出血発現率、試験期間中の全死亡。
[目標症例数] 300例(介入群・対照群 各150例)。
[参加予定施設]国内36施設。
[対象疾患] 急性期脳梗塞。
[主な選択基準] 発症時刻不明、最終未発症確認時刻から治療開始可能時刻まで4.5時間超12時間以内、発見から4.5時間以内に治療開始可能、拡散強調画像でのASPECTS ≥5、FLAIRで初期虚血病変と考えられる明らかな高信号所見の不在。
[試験薬] アルテプラーゼ(rt-PA)0.6 mg/kg。
[主要評価項目] 試験開始90日後のmodified Rankin Scale (mRS) 0-1(完全自立)。
[安全性評価項目] 試験開始後24時間以内の症候性頭蓋内出血発現率、試験期間中の大出血発現率、試験期間中の全死亡。
[目標症例数] 300例(介入群・対照群 各150例)。
[参加予定施設]国内36施設。
結果と考察
初年度に完遂する予定であった研究項目の全てを順調に達成している。以下に項目ごとの進捗状況を列挙する。
◇ 研究計画書の作成、倫理委員会の承認:研究代表者施設(国循)での最新版計画書の倫理委員会承認を2014年4月に取得し、現在参加全施設の倫理委員会で承認済みないし審議中である。
◇ 先進医療Bの承認: 4月に先進医療本審査の承認を得て、5月より国循における本治療の先進医療Bでの算定が可能となった。
◇ 参加施設全体会議:11月に大阪市内で全体会議を行い、臨床試験の詳細を説明・討議した。
◇ 臨床研究保険への加入:参加全施設を対象とした臨床研究保険の契約を、損保ジャパンと締結した。
◇ 症例登録・割付システムの作成:電子メールを用いたシステムを国循で作成し、使用を始めた。
◇ 電子症例報告書の作成:米国Vanderbilt大学が開発したREDCapシステムを用いて国循で報告書を作成し、使用を始めた。
◇ 安全性評価基準手順書・画像判定手順書・統計解析手順書の作成:前二者を作成し、参加施設に配布した。後者の作成途中である。
◇ 試験参加医師技能(画像判定・臨床評価)認定システムの作成:システムを作成し、参加多施設の医師が技能認定された。
◇ 中央薬局の整備:国循薬剤部に設置し、試験薬の管理や参加施設への配送を始めた。
◇ 当院で介入群2例登録後の先進医療技術審査部会での承認取得:12月16日現在、国循で4例が登録された。介入群2例登録後に、11月の部会で安全性が承認され、国内多施設の先進資料追加申請が可能となった。
◇ 国内全施設の先進医療追加申請と患者登録開始:12月16日現在4施設が追加承認され、他施設も今年度内の承認を目指して申請作業中である。
◇ HP作成と外部への情報公開:HPを公開した。多くの関連医学会で、本試験の概要や進捗状況が発表された。
◇ 研究計画の英語論文化:International Journal of Stroke誌に掲載された(Koga M, et al: Int J Stroke. 2014;9:1117-1124)。
◇ 研究計画書の作成、倫理委員会の承認:研究代表者施設(国循)での最新版計画書の倫理委員会承認を2014年4月に取得し、現在参加全施設の倫理委員会で承認済みないし審議中である。
◇ 先進医療Bの承認: 4月に先進医療本審査の承認を得て、5月より国循における本治療の先進医療Bでの算定が可能となった。
◇ 参加施設全体会議:11月に大阪市内で全体会議を行い、臨床試験の詳細を説明・討議した。
◇ 臨床研究保険への加入:参加全施設を対象とした臨床研究保険の契約を、損保ジャパンと締結した。
◇ 症例登録・割付システムの作成:電子メールを用いたシステムを国循で作成し、使用を始めた。
◇ 電子症例報告書の作成:米国Vanderbilt大学が開発したREDCapシステムを用いて国循で報告書を作成し、使用を始めた。
◇ 安全性評価基準手順書・画像判定手順書・統計解析手順書の作成:前二者を作成し、参加施設に配布した。後者の作成途中である。
◇ 試験参加医師技能(画像判定・臨床評価)認定システムの作成:システムを作成し、参加多施設の医師が技能認定された。
◇ 中央薬局の整備:国循薬剤部に設置し、試験薬の管理や参加施設への配送を始めた。
◇ 当院で介入群2例登録後の先進医療技術審査部会での承認取得:12月16日現在、国循で4例が登録された。介入群2例登録後に、11月の部会で安全性が承認され、国内多施設の先進資料追加申請が可能となった。
◇ 国内全施設の先進医療追加申請と患者登録開始:12月16日現在4施設が追加承認され、他施設も今年度内の承認を目指して申請作業中である。
◇ HP作成と外部への情報公開:HPを公開した。多くの関連医学会で、本試験の概要や進捗状況が発表された。
◇ 研究計画の英語論文化:International Journal of Stroke誌に掲載された(Koga M, et al: Int J Stroke. 2014;9:1117-1124)。
結論
国民病である脳梗塞の約1/4を占める発症時刻不明脳梗塞患者に対しての、有効な治療手段を開発し、脳梗塞患者への血栓溶解療法施行率を高め、より多くの脳梗塞患者の転帰を改善し、要介護患者を減らして、国民の厚生に寄与することを期待する。血栓溶解療法の適応患者が増えることで、将来的に超急性期脳梗塞の救急搬送体制の強化や地域毎の救急医療連携が進むであろう。また国内脳卒中基幹施設の臨床試験に関するネットワークを強固に形成できる。
公開日・更新日
公開日
2015-09-16
更新日
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