心原性脳梗塞/認知症発症を予防するための無症候性発作性心房細動を検知する長時間記録腕時計型脈波モニタリング機器の開発

文献情報

文献番号
201434019A
報告書区分
総括
研究課題名
心原性脳梗塞/認知症発症を予防するための無症候性発作性心房細動を検知する長時間記録腕時計型脈波モニタリング機器の開発
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
草野 研吾(独立行政法人国立循環器病研究センター不整脈科)
研究分担者(所属機関)
  • 鎌倉 史郎(独立行政法人国立循環器病研究センター臨床検査部 )
  • 豊田 一則(独立行政法人国立循環器病研究センター脳血管内科)
  • 杉町 勝(独立行政法人国立循環器病研究センター循環動態制御部)
  • 稲垣 正司(独立行政法人国立循環器病研究センター循環動態制御部)
  • 相庭 武司(独立行政法人国立循環器病研究センター不整脈科 )
  • 野田 崇(独立行政法人国立循環器病研究センター不整脈科 )
  • 岡村 英夫(独立行政法人国立循環器病研究センター不整脈科 )
  • 宮本 康二(独立行政法人国立循環器病研究センター不整脈科 )
  • 中島 育太郎(独立行政法人国立循環器病研究センター不整脈科 )
  • 石橋 耕平(独立行政法人国立循環器病研究センター不整脈科 )
  • 和田 暢(独立行政法人国立循環器病研究センター不整脈科 )
  • 長谷川 周平(独立行政法人国立循環器病研究センター不整脈科 )
  • 轟 晃成(セイコーエプソン株式会社 センシングシステム事業部 S要素開発部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【委託費】 医療機器開発推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
38,460,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国の国民健康寿命を大きく損ない、医療費高騰の原因となっている脳梗塞/認知症を引き起こす無症候性心房細動を簡便にかつ確実に見つけ出すため、2つの脈波を用いることでノイズ低減に成功し新たに開発された小型化・軽量化された腕時計型脈波モニタリング機器(セイコーエプソン社)の有用性と妥当性の検証を行うことを研究目的とする。内容は脈波検出そのものに関する機器開発や検出アルゴリズムに関する研究と、機器が必要となる臨床的に重要な(つまり心房細動発生が予後に与える影響が大きな)患者群の同定を検討すること、さらにウエラブルデバイスの市場動向を調査することである。
研究方法
脈波検出に関するアルゴリズムに関する研究は、イヌを用いた血圧波形から各拍の周期長、収縮期血圧、拡張期血圧、脈圧を計測し各計測値について基本統計量を求め、洞調律と心房細動で比較した。臨床的に重要な患者群の同定に関しては、ホルター心電図を用いた心房期外収縮例、各種心疾患や遠隔モニタリング例における心房細動や血栓塞栓症の頻度などを後ろ向きに解析した。
結果と考察
検出アルゴリズムに関する研究では、血圧波形周期長および脈圧の変動係数は洞調律中と心房細動中に顕著な違いが認められ、この変動係数を用いることにより心房細動検出が可能であること動物実験で証明した。またヒトを用いた検討では、心房細動時の脈波特性の検討を行い、長期の平均血圧よりも前拍の平均血圧を用いることが精度上昇への重要な因子であることを見出した。
臨床的に重要な患者群の同定に関しては、頻発する心房期外収縮例、塞栓源不明脳梗塞例、心房細動カテーテルアブレーション後の早期再発例(90日以内)、肥大型心筋症例、心房中隔欠損例、デバイス留置例、腎機能低下例、心臓再同期療法検討例、フォンヴィレブランド因子高値例などで特に有用性が高い可能性があることが判明した。遠隔モニタリングにより頻回に心房細動を繰り返す症例があることも判明し遠隔による長時間記録の妥当性も明らかとなった。
またウエラブルデバイスの市場動向について行った既製品調査では国内・グローバルの市場規模は急速に伸びており、心房細動をターゲットとした腕時計型脈波モニタリング機器の製品としての価値は十分あると考えられる。
結論
心房細動の関与が転帰に大きく関連する患者背景が明らかとなり、臨床的にも無症候性心房細動の検出の重要性が明らかとなった。
新しいコンセプトに基づいた長時間記録腕時計型脈波モニタリング機器は、簡便でかつ有効な無症候性心房細動のスクリーニングツールとして大きな期待ができる。

公開日・更新日

公開日
2015-06-22
更新日
-

研究報告書(PDF)

その他

公開日・更新日

公開日
2018-06-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2016-05-13
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201434019C

成果

専門的・学術的観点からの成果
2つの脈波を同時に記録することで体動ノイズを排除する方法は画期的なものであり、信号の正確なdetectionが可能となる。この方法を用いれば心電波形を用いるよりもデータ量が少なく、長時間連続記録が可能であり、ウエラブルデバイスとしての価値が大きいことが期待され、無症候性の発作性心房細動の診断率が上がることが期待される。
臨床的観点からの成果
不整脈診断に関して、既存のイベント記録計では発作を自覚しないと心電図を記録せず無症候性の不整脈は検出できなかったが、今回長時間の連続記録ができるウエアラブルデバイスとなることによって無症候性心房細動の検出が可能になることが期待される。またデータ量が少ないため、データ転送・保存が容易であり、今後在宅での使用を目指すにあたり、極めて適していると考えられる。
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
なし
その他のインパクト
なし

発表件数

原著論文(和文)
4件
原著論文(英文等)
39件
その他論文(和文)
17件
その他論文(英文等)
2件
学会発表(国内学会)
44件
学会発表(国際学会等)
19件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-23
更新日
2019-06-05

収支報告書

文献番号
201434019Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
49,998,000円
(2)補助金確定額
39,702,289円
差引額 [(1)-(2)]
10,295,711円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 22,222,317円
人件費・謝金 3,070,674円
旅費 1,043,150円
その他 1,828,148円
間接経費 11,538,000円
合計 39,702,289円

備考

備考
当該研究課題の今年度の研究期間が半年弱であったが、外部研究者の当初の計画額が思い違いにより1年間の経費で有ったため、実際の執行額に差異が生じました。

公開日・更新日

公開日
2016-01-28
更新日
-