文献情報
文献番号
201432015A
報告書区分
総括
研究課題名
LDLアフェレーシス療法施行中の重症家族性高コレステロール血症に対する、同種脂肪組織由来多系統前駆細胞(ADMPC)を用いた細胞移植療法の確立
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
山下 静也 (大阪大学大学院医学系研究科地域医療学寄付講座)
研究分担者(所属機関)
- 坂田泰史(大阪大学大学院医学系研究科循環器内科講座)
- 小関正博(大阪大学大学院医学系研究科循環器内科講座)
- 中谷和弘(大阪大学大学院医学系研究科循環器内科講座)
- 細川亙(大阪大学大学院医学系研究科形成外科学講座)
- 冨田興一(大阪大学大学院医学系研究科形成外科学講座)
- 富山憲幸(大阪大学大学院医学系研究科放射線統合医学講座)
- 大須賀慶悟(大阪大学大学院医学系研究科放射線統合医学講座)
- 伊藤壽記(大阪大学大学院医学系研究科統合医療学寄附講座)
- 川本弘一(大阪大学医学部医学科教育センター)
- 江副幸子(大阪大学医学部附属病院未来医療開発部)
- 早川堯夫(近畿大学薬学総合研究所)
- 荒井秀典(国立長寿医療研究センター)
- 斯波真理子(国立循環器病研究センター研究所病態代謝部)
- 市育代(お茶の水女子大学大学院栄養科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【委託費】 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
38,400,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者伊藤壽記の所属教室名が、平成27年1月1日付けで、生体機能補完医学講座から統合医療学寄附講座に変更された。
研究分担者荒井秀典が、平成27年1月1日付けで、京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻・代謝学、老年医学教授から、国立長寿医療研究センター副院長に就任した。
研究報告書(概要版)
研究目的
家族性高コレステロール血症は、主としてLDL受容体の欠損によりLDLが肝臓に回収されず、血中LDLコレステロール値が異常高値を示す疾患であり、ホモ接合体では若年性動脈硬化を合併し、通常は30才までに心筋梗塞のために突然死する予後不良な疾患である。有効な根治的治療法がなく、患者は1-2週に1回約3時間を要するLDLアフェレーシス(吸着)療法を必要としているが、体力的、時間的制約が大きく、LDLの除去効果も一時的であり十分とは言えない。根治的治療法として、肝臓移植が挙げられるがドナーの制約からほとんど実現していない。本研究では、LDL受容体を回復する手段として、肝臓移植の代替的な治療として他家脂肪組織由来幹細胞移植を行う。具体的には健常提供者から肝臓の代わりに脂肪組織を吸引採取し、脂肪組織由来多系統前駆細胞(adipose tissue-derived multilineage progenitor cells ADMPC)を分離し、培養した後、被験者に経皮経門脈的に移植を行う。本研究は他家ADMPCの門脈内投与という点においてfirst in man試験であり、その安全性を明らかし、肝臓移植の代替療法としての他家脂肪組織由来幹細胞移植療法を確立させる道筋を付けることを目的としている。
研究方法
患者の肝臓におけるLDL受容体活性の回復のため、肝臓移植の代替として細胞治療を行う。
1.被験者、厚生労働省「臓器の移植に関する法律」の運用に関する指針(ガイドライン)、日本移植学会倫理指針に適合した健常提供者から同意取得、スクリーニング、登録
2.提供者から局所麻酔下に脂肪組織を吸引採取
3.大阪大学附属病院未来医療開発部細胞調整室内で脂肪組織からADMPCを分離し、約3週間培養し、細胞懸濁液を作成する
4.被験者に局所麻酔下に、経皮経肝門脈穿刺術を行い、細胞移植を行う
5.タクロリムスを併用する
6.移植後20週まで観察期間を設定する
研究デザインは、単群、ランダム化無し、盲検化なし、目標症例数4例
主要評価項目は、有害事象の評価
副次評価項目は、LDL-C値他の減少率他、LDLアフェレーシス実施回数の減少など
本臨床研究は、ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則に留意し、「ヒト幹細胞を用いる臨、床研究に関する指針」を遵守して実施するよう準備した。具体的には、本研究計画は、厚生労働省「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針(医政発0930第1号)」(平成25年10月1日全部改正)に基づいて作成され、大阪大学医学部附属病院内に設置された「ヒト幹細胞臨床研究審査委員会」にて審議され、平成26年1月8日承認された。さらに、厚生労働省に「ヒト幹細胞を用いる臨床研究実施計画」を申請し平成26年6月24日了承され、科学技術部会において平成26年8月19日に了承された。
また、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」(平成25年法律第85号)の施行を踏まえて、引き続き、法律を遵守して実施するべく準備を進める。
1.被験者、厚生労働省「臓器の移植に関する法律」の運用に関する指針(ガイドライン)、日本移植学会倫理指針に適合した健常提供者から同意取得、スクリーニング、登録
2.提供者から局所麻酔下に脂肪組織を吸引採取
3.大阪大学附属病院未来医療開発部細胞調整室内で脂肪組織からADMPCを分離し、約3週間培養し、細胞懸濁液を作成する
4.被験者に局所麻酔下に、経皮経肝門脈穿刺術を行い、細胞移植を行う
5.タクロリムスを併用する
6.移植後20週まで観察期間を設定する
研究デザインは、単群、ランダム化無し、盲検化なし、目標症例数4例
主要評価項目は、有害事象の評価
副次評価項目は、LDL-C値他の減少率他、LDLアフェレーシス実施回数の減少など
本臨床研究は、ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則に留意し、「ヒト幹細胞を用いる臨、床研究に関する指針」を遵守して実施するよう準備した。具体的には、本研究計画は、厚生労働省「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針(医政発0930第1号)」(平成25年10月1日全部改正)に基づいて作成され、大阪大学医学部附属病院内に設置された「ヒト幹細胞臨床研究審査委員会」にて審議され、平成26年1月8日承認された。さらに、厚生労働省に「ヒト幹細胞を用いる臨床研究実施計画」を申請し平成26年6月24日了承され、科学技術部会において平成26年8月19日に了承された。
また、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」(平成25年法律第85号)の施行を踏まえて、引き続き、法律を遵守して実施するべく準備を進める。
結果と考察
平成26年12月3日から、研究資金が執行可能となり、第1回班会議を12月16日(火)に開催した。安全で確実な細胞移植治療実施体制を構築できるよう、慎重に各科専門医の意見を集約し、集学的に、実施計画書・被験者説明文書、提供者説明文書の確認を行った。第2回班会議を1月15日(木)に実施し、症例検討を行った。被験者については、いずれも研究分担者(業務項目担当者)が、従前から診療を担当している患者が10名おり、信頼関係も十分構築されていることから、この中の4名に対し実施する方針とした。第2回班会議で、診療情報を各主治医より開示し、十分に議論を尽くした。
採択後ただちに、ヒトに投与する細胞の培養で使用可能なBSEが発生していない国の牛から作成されたFBSを発注し、ガンマ線照射ののちに納品(1.5ヵ月)、このFBSを含有したADMPC用カスタムメディウム400本の作成をただちに発注し平成27年2月末に納品され、超低温フリーザーに保管した。平成27年3月は、カスタムメディウムのロット性能確認を目的としたコールドラン実施のための、吸引脂肪組織が供与してもらえる乳房形成術の予定がなかったため、やむを得ず次回手術予定日である4月15日(水)からコールドランを行う予定とした。
再生医療新法の施行に当たり、遅滞なく臨床研究が実施できるように、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に基づいた、臨床研究の申請の準備を行った。
採択後ただちに、ヒトに投与する細胞の培養で使用可能なBSEが発生していない国の牛から作成されたFBSを発注し、ガンマ線照射ののちに納品(1.5ヵ月)、このFBSを含有したADMPC用カスタムメディウム400本の作成をただちに発注し平成27年2月末に納品され、超低温フリーザーに保管した。平成27年3月は、カスタムメディウムのロット性能確認を目的としたコールドラン実施のための、吸引脂肪組織が供与してもらえる乳房形成術の予定がなかったため、やむを得ず次回手術予定日である4月15日(水)からコールドランを行う予定とした。
再生医療新法の施行に当たり、遅滞なく臨床研究が実施できるように、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に基づいた、臨床研究の申請の準備を行った。
結論
年度の途中に研究課題が採択され限られた期間での研究ではあったが、可能な範囲で研究全体を前進させ、平成27年度内のADMPC移植実施に向けて、着実に準備を進めることができた。
公開日・更新日
公開日
2015-06-12
更新日
-