文献情報
文献番号
201427058A
報告書区分
総括
研究課題名
ネット販売等における一般用医薬品の購入販売実態に係る調査研究
課題番号
H26-医薬A-指定-005
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
中尾 裕之(宮崎県立看護大学 看護学部看護学科)
研究分担者(所属機関)
- 今井 博久(国立保健医療科学院)
- 佐藤 秀昭(医療法人社団明芳会イムス三芳総合病院)
- 土屋 文人(国際医療福祉大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
5,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
平成26年6月12日から一般用医薬品のネット販売を可能とする新たなルールが施行された。その後半年近く経過した現在、国民が一般用医薬品等をどのようなルートで購入しているか、購入する際にどのような意識や考え方(安全性や利便性など)を持っているのか、購入時の医薬品に対する効能・服用方法・副作用等の理解度はどの程度であるのか、今後インターネットで購入したいと思うか、どのような安全性や利便性を期待しているかなどに関する実態を把握すること並びに要指導医薬品等を取扱う薬局(店舗)に関する実態を把握することを研究の目的とした。本研究では可能な限りバイアスを小さくし、正確性および回答者カテゴリーにおいて購入率を表記するなどを行い、多様な国民がいくつかのルートで購入し使用している実態を明確な表現で示す。
研究方法
一般用医薬品等の販売の購入実態に関して国民(成人)を対象とした大規模調査を行い、主に店舗販売とネット販売からの購入実態を把握し、国民にとって安全で安心な、かつ個々の生活スタイルに合った方法で一般用医薬品等を購入できる体制の整備検討のための基礎資料とする。
対象は、全国の都道府県から選ばれたいくつかの市町村(都市部・農村部)より、性別・年齢(10歳間隔)で層化し、無作為に抽出した20歳以上の成人男女5,000名。抽出は、各自治体で許可を得たのち、住民基本台帳を用いて行った。自記式調査票を用いた郵送調査とし、購入経路別による医薬品の種類、購入方法の選択理由、購入意識(利便性・信頼性・安全性・匿名性など)、購入した薬に対する説明と理解度、購入に要した時間、等について調査した。
対象は、全国の都道府県から選ばれたいくつかの市町村(都市部・農村部)より、性別・年齢(10歳間隔)で層化し、無作為に抽出した20歳以上の成人男女5,000名。抽出は、各自治体で許可を得たのち、住民基本台帳を用いて行った。自記式調査票を用いた郵送調査とし、購入経路別による医薬品の種類、購入方法の選択理由、購入意識(利便性・信頼性・安全性・匿名性など)、購入した薬に対する説明と理解度、購入に要した時間、等について調査した。
結果と考察
平成27年3月に質問票を郵送で配布し、回答返送を促す葉書を1回出した。回答率は40.4%(=1817/4494)であった。以下で主な結果を列挙する。一般用医薬品(OTC薬)の購入先の質問では、店舗:75.2%、ネット:3.8%、置き薬:32.6%であった。OTC薬を購入した理由(複数回答可)の最上位は、店舗:手に取って選択できるから72.5%、ネット:価格が安いから41.9%、置き薬:すぐに使用できるから83.5%となり、それぞれの販売利点を反映した理由が上位であった。OTC薬を購入する際に、薬の飲み方や副作用についての説明をどのくらい聞きましたかの質問では、店舗:よく聞いた16.5%、だいたい聞いた36.4%、説明はなかった14.8%、ネット:よく見た10.0%、だいたい見た37.0%、説明はなかった19.0%であった。更にネット販売の電話での説明については、よく聞いた11.6%、だいたい聞いた21.6%、説明はなかった31.4%などであった。その説明の理解度についての質問では、店舗:理解できた39.2%、ネット販売の電子メールでの説明の理解度についての質問では、理解できた18.5%、であった。
結論
平成25年1月に一般用医薬品のインターネット販売規制は違法であるとする司法判断が最高裁により示された。それ以降一般用医薬品のネット販売を可能とする新たなルールが、昨年6月から施行された。新たなルール施行後半年ほど経過した現時点で、国民が一般用医薬品等をどのような経路で購入しているか、購入する際にどのような意識や考え方(安全性や利便性など)を持っているのか、購入時の医薬品に対する効能・服用方法・副作用等の理解度はどの程度であるのかについて正確な実態を把握することは、今後の一般用医薬品販売等の施策展開する上で不可欠である。今回の研究は、わが国で初めて住民基本台帳を利用した無作為抽出による結果であり、国民の幅広い特性を反映した多様な購入経路の実態を正確に示し、OTC薬の販売施策を展開して行く上で重要な基礎資料になる。現時点の結果して、OTC薬は店舗からの購入が圧倒的に多いことが示された。ネット販売からの購入は価格面での利点で購入しているが、安全面での対応が整備されていないことが明らかになった。報告書は関係者に広く配布し、より良い施策の実施に役立てる。
公開日・更新日
公開日
2015-09-24
更新日
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