文献情報
文献番号
201426007A
報告書区分
総括
研究課題名
国内侵入のおそれがある生物学的ハザードのリスクに関する研究
課題番号
H24-食品-一般-007
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
近藤 一成(国立医薬品食品衛生研究所 生化学部)
研究分担者(所属機関)
- 紺野 勝弘(富山大学・和漢医薬学総合研究所)
- 泉谷 秀昌(国立感染症研究所 細菌第一部)
- 岡田 由美子(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
- 豊福 肇(山口大学・共同獣医学部)
- 登田 美桜(国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
6,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
細菌関係では、グローバル化に伴う人および食品の移動は、感染症アウトブレイクの発生時に大きな影響を与える。サルモネラも欧米を中心に複数の国をまたいだ事例が発生している。赤痢菌では、途上国ではインフラ整備が不十分なことから、飲料水・食品を介して主として渡航者経由でわが国にも侵入している。そのため、海外での事例の情報収集を行い、国内侵入時の対応に備えることを目的とした。国内外の検体の収集と解析を行いデータベース化して、発生時に原因菌株の同定に役立てる。自然毒においては、誤食の原因となる誤った鑑別や食中毒発生後の検査での原因食品の品種確定ができないことをなくすため、遺伝子の特異的な塩基配列に基づいた鑑別法を開発し整備することで、国内で発生する食中毒リスクを低減させる。また、合わせて海外情報を収集して、食品に混入する可能性のある自然毒を調査する
研究方法
サルモネラ、赤痢菌、コレラ菌等の細菌学的分析、海外事例の情報収集は論文雑誌・米国CDC、欧州CDCからの資料などを参考にした。赤痢菌およびナグビブリオ分離株に関しては、PFGE、MLVAを使用した。BioNumericsでクラスター解析を行った。米国CDCの方法を基本としたPFGE解析を実施した。制限酵素はApaIとAscIを用いた。INFOSAN emergency の事前緊急情報収集・解析した。クサウラベニタケのリアルタイムPCR法を、別途作成した標準プラスミドで検出感度等を検討した。また、他のきのことの交差反応性を確認した。アサガオ中毒サンプルをRFLP法で確認した。RASFFの情報を中心に事例を調査した。
結果と考察
サルモネラに関しては、チアパウダーによる事例が、細菌性赤痢ではインドツアーによる事例が発生した。リステリアについて、冷製肉を感染源とする死者17人の集団事例が発生した。米国では、もやしやリンゴ製品等による集団事例も発生した。汚染検体の分子疫学的解析を行い、国内散発例の原因食品究明に役立て得るデータベース作成を行った。事例解析として、WHOのINFOSAN Emergency、RASFFを用いて検討し、輸入時検査のみでは国内侵入防止は難しいことが示唆された。きのこおよび高等植物について、簡便なPCR-RFLP法を確立して、実際の事例に活用できることを示した。RASFFの調査したから、食品安全上注意が必要なものとしてビターアプリコットカーネルのアミグダリン、ハーブティーのピロリジジンアルカロイドがあり注意が必要である。
結論
海外の発生状況の情報収集および国内の監視体制の整備、発生時の迅速な情報週、連携ならびに分離菌株のデータベースの一層の拡充を図る必要がある。新たな簡便な検査法を整備し検査の裾野を拡大させるとともに、植物性自然毒の危険性、リスクをさらに一般国民に向けて情報提供を行い周知させることが一層求められる。
公開日・更新日
公開日
2015-06-01
更新日
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