被災地の再生を考慮した在宅医療の構築に関する研究

文献情報

文献番号
201424057A
報告書区分
総括
研究課題名
被災地の再生を考慮した在宅医療の構築に関する研究
課題番号
H26-医療-指定(復興)-003
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
大島 伸一(独立行政法人国立長寿医療研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 鳥羽 研二(独立行政法人国立長寿医療研究センター )
  • 鈴木 隆雄(独立行政法人国立長寿医療研究センター )
  • 楽木 宏実(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 荒井 秀典(京都大学大学院医学研究科)
  • 横手 幸太郎(千葉大学大学院医学研究院)
  • 葛谷 雅文(名古屋大学大学院医学系研究科)
  • 秋下 雅弘(東京大学医学部附属病院)
  • 神崎 恒一(杏林大学医学部)
  • 堀江 重郎(順天堂大学医学部)
  • 橋本 正良(神戸大学大学院医学研究科)
  • 服部 文子(広島大学大学院医歯薬保健学研究院)
  • 園原 和樹(医療法人社団敬仁会)
  • 飯島 勝矢(東京大学高齢社会総合研究機構)
  • 杉浦 彩子(独立行政法人国立長寿医療研究センター)
  • 福岡 秀記(独立行政法人国立長寿医療研究センター)
  • 金子 康彦(独立行政法人国立長寿医療研究センター)
  • 三浦 久幸(独立行政法人国立長寿医療研究センター)
  • 冲永 壯治(東北大学病院)
  • 菊地 和則(東京都健康長寿医療センター)
  • 三澤 仁平(立教大学 社会学部)
  • 高橋 龍太郎(東京都健康長寿医療センター)
  • 近藤 尚己(東京大学大学院医学系研究科)
  • 山崎 幸子(文京学院大学人間学部)
  • 粟田 主一(東京都健康長寿医療センター)
  • 大塚 理加(東京都健康長寿医療センター)
  • 川島 孝一郎(仙台往診クリニック)
  • 武藤 真祐(医療法人社団鉄祐会 祐ホームクリニック)
  • 大島 浩子(独立行政法人国立長寿医療研究センター)
  • 太田 秀樹(医療法人アスムス)
  • 和田 忠志(医療法人社団実幸会 いらはら診療所)
  • 辻 哲夫(東京大学高齢社会総合研究機構)
  • 百瀬 由美子(愛知県立大学看護学部)
  • 大河内 二郎(介護老人保健施設竜間之郷)
  • 武久 洋三(日本慢性期医療協会)
  • 川越 正平(医療法人財団千葉健愛会 あおぞら診療所)
  • 後藤 百万(名古屋大学大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
95,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
被災地全体の在宅医療・ケアのニーズを探り、災害医療と在宅医療の関連構築に資する情報を収集し、提言するため、在宅医療の阻害要因を包括的に抽出し、被災地の課題と合わせ、解決への論点整理を行い、系統的知識、実技、連携など統合的在宅医療推進のノウハウの集大成を行う。
研究方法
被災地の地域の地域在宅医療の改題と、在宅医療そのものの課題を多面的に検討
1)在宅医療はQOLを改善するかという命題に対して、文献のシステマティックレビュー、在宅QOL指標の開発を行う
2)各地域、各老年症候群ごとに在宅阻害要因を検討する
3)在宅医療システムの課題を内外において比較検討する
4)被災地全体の在宅医療・ケアのニーズを探る
5)被災地からの要望に基づき,調査およびデータ分析による支援を行う
6)「在宅療養支援MAP」と「災害時医療介護MAP」を作成し使用法を検討する

結果と考察
被災地全体の在宅医療・ケアのニーズでは、医療機関との連携が取れている事業所の方が、連携が取れていない事業所より、要介護高齢者等の病状悪化・機能低下時にも在宅生活の継続が出来ていることが明らかとなった。また、地域包括支援センターとの連携が取れている居宅介護支援事業所は、連携が取れていない事業所より、要介護高齢者等の病状悪化・機能低下時に在宅生活の継続が出来ていることが明らかとなった。

H24年度在宅医療連携拠点事業所(以下在宅拠点)105の活動性の評価から,H24在宅拠点の在宅医療多職種連携会議等の活動性は高いが、地域資源の把握・開拓、在宅看取り、24時間体制、かかりつけ医の在宅医療参入、市町村・医師会から在宅拠点への補完機能が低いことを明らかにした。 これらは、在宅医療の地域支援事業への変更や地域包括ケアの確立にあたって、自治体、医師会関係者の講習に活用していく。

被災地を含む全国で、在宅医療を困難にしている実態を明らかにし、阻害要因を分析、解決手段の提示と在宅医療連携拠点事業の実地評価を多職種教育指導に活かす、在宅医療構築普及マニュアル「これからの在宅医療ガイド-我々は被災地から何を学んだか-(仮)」の原稿案をまとめた。医師、行政官、看護師、介護関係者、地方公共団体などを想定読者とし、書籍としての出版が決定された。

在宅医療に関する国内外の文献を系統的レビューの手法を用いて精査し、エビデンス集「在宅医療に関するエビデンス:系統的レビュー」(冊子)を作成したが、これは系統的レビューの結果を忠実に記載したものであり、ガイドラインではない。今後、このエビデンス集をもとにした専門家のコンセンサスによりガイドラインを作成していく。

市町村が行う介護保険事業において、2015年より任意実施、2018年より必須実施となる在宅医療・介護連携推進事業(地域支援事業の一部)には、事業項目の1つとして「在宅医療・介護関係者の研修」が位置付けられるに至った。本研究では、プログラム「在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会」が被災地を含めた全国において活用可能となるように、各種ツール(運営手順書、HPの設置、フォーラム開催)を整備した。2015年以降、同事業の枠組みの中で、市町村行政が制度的後ろ盾を得て、地区医師会等との協調のもと、先行する範例として各地で活用していく。
結論
在宅医療のQOLは、高齢者総合的機能評価に加え、阻害要因である老年症候群のケアの程度や、地域包括ケアを規定する、病診連携、医療福祉連携、多職種意識の統合と恊働など多くの要因が関与している。これらの結果より、日常の地域包括ケアの構築が、震災時の対応に最も有力であることが示された。 

公開日・更新日

公開日
2016-02-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2016-05-13
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201424057C

収支報告書

文献番号
201424057Z