文献情報
文献番号
201415027A
報告書区分
総括
研究課題名
重症拡張型心筋症患者の生命予後改善・人工心臓離脱を目指した新規オキシム誘導体徐放性製剤による体内誘導型再生治療法の開発と実践
課題番号
H25-難治等(難)-一般-019
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
宮川 繁(国立大学法人大阪大学 医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 福嶌 五月( 国立大学法人大阪大学 医学系研究科 )
- 齋藤 充弘( 国立大学法人大阪大学 医学系研究科 )
- 今西 悠基子( 国立大学法人大阪大学 薬学研究科 )
- 大門 貴志(兵庫医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
43,924,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、各種のONO-1301製剤の拡張型心筋症(DCM)への薬効と安全性の確認から、次世代の再生創薬として、体内誘導型再生医療剤の開発を目指す。
目的1)YS-1402心臓貼付投与試験;重症DCM患者の補助人工心臓(LVAD)装着時に、YS-1402をシートに浸み込ませて心臓貼付投与することによる、生命予後改善・LVAD離脱(bridge to recovery)を目指した体内誘導型再生治療法の開発。
目的2)ONO-1301反復経口投与試験;経口投与による早期治療介入により、DCMの重症化を抑制し、心臓移植・LVAD装着の回避及び遅延を目指して、再生創薬として汎用性ある心血管・心筋再生療法剤の開発。
目的1)YS-1402心臓貼付投与試験;重症DCM患者の補助人工心臓(LVAD)装着時に、YS-1402をシートに浸み込ませて心臓貼付投与することによる、生命予後改善・LVAD離脱(bridge to recovery)を目指した体内誘導型再生治療法の開発。
目的2)ONO-1301反復経口投与試験;経口投与による早期治療介入により、DCMの重症化を抑制し、心臓移植・LVAD装着の回避及び遅延を目指して、再生創薬として汎用性ある心血管・心筋再生療法剤の開発。
研究方法
目的1)昨年度は、重症DCM患者の補助人工心臓(LVAD)装着時に、YS-1402/ONO-130MSをシートに浸み込ませて心臓貼付投与することによる、LVAD離脱(bridge to recovery)を目的とした治療法の開発として、1)イヌ高速ペーシング(DCM)モデルに対して、YS-1402/ONO-1301MSを心臓貼付投与し、心機能を評価した。また、2)ミニブタ陳旧性心筋梗塞(ICM)モデルを用いて、同様の投与法にて心臓貼付した試験、及び3)自然発症拡張型心筋症(J2N-k)ハムスター(20週齢)にYS-1402/ONO-1301MSを心臓貼付投与した結果を報告した。
本年度は、YS-1402/ONO-1301MS製剤心臓貼付投与における治験開始のための追加非臨床(毒性)試験として、①ラット13週間歇皮下投与毒性試験、及び②ミニブタ単回心臓貼付による6週間及び13週間毒性試験をGLP基準で実施した。
目的2)本年度は、ONO-1301反復経口投与におけるイヌ高速ペーシングモデル長期試験を実施し、心機能の改善効果及び生存率への影響について検討を行った。 また、ONO-1301は血管新生作用を有するため、癌に対するプロモーション作用が危惧される。よって、ONO-1301反復経口投与での癌に対するプロモーション作用およびイニシエーション作用を確認するために、ラット肝中期発がん性試験(伊東法)を実施した。
本年度は、YS-1402/ONO-1301MS製剤心臓貼付投与における治験開始のための追加非臨床(毒性)試験として、①ラット13週間歇皮下投与毒性試験、及び②ミニブタ単回心臓貼付による6週間及び13週間毒性試験をGLP基準で実施した。
目的2)本年度は、ONO-1301反復経口投与におけるイヌ高速ペーシングモデル長期試験を実施し、心機能の改善効果及び生存率への影響について検討を行った。 また、ONO-1301は血管新生作用を有するため、癌に対するプロモーション作用が危惧される。よって、ONO-1301反復経口投与での癌に対するプロモーション作用およびイニシエーション作用を確認するために、ラット肝中期発がん性試験(伊東法)を実施した。
結果と考察
目的1)心臓貼付投与における追加毒性試験結果は、①ラット13週間皮下投与での無毒性量は、雌雄共、30mg/kg以上であり、②ミニブタ単回心臓貼付による6週間及び13週間毒性試験での無毒性量は、雌雄共投与可能な最大投与量である10mg/kg以上であった。また、②ミニブタ試験では、いずれの投与群においても、概ね投与後14日まで持続的な曝露が認められ、その後減少し、投与後6週間にはわずかに検出された程度であったため、放出は概ね完了しているものと推察された。全身曝露量及び血漿中濃度推移に明らかな雌雄差は認められなかった。
実施した薬効薬理試験及び追加毒性試験結果から、YS-1402治験薬概要書、ICM及びDCM治験実施計画書、及び同意説明文書を作成し、PMDA対面助言を実施した。その後、IRBを経て、2015年3月に治験届を提出した。
目的2)イヌ高速ペーシングモデルにONO-1301反復経口投与した結果、有意な心機能の改善効果及び有意な生存率の延長効果を認めた。J2N-kハムスター及びイヌ高速ペーシングモデル試験結果から、DCM患者に対するONO-1301経口投与における早期治療介入は、DCMの重症化を抑制し、心臓移植・LVAD装着の回避及び遅延する可能性が示唆された。また、ONO-1301は血管新生作用を有するため、癌に対するプロモーション作用が危惧される。よって、ONO-1301反復経口投与におけるラット肝中期発がん性試験(伊東法)を実施した結果、ONO-1301は癌に対するプロモーション作用およびイニシエーション作用は認められなかった。
実施した薬効薬理試験及び追加毒性試験結果から、YS-1402治験薬概要書、ICM及びDCM治験実施計画書、及び同意説明文書を作成し、PMDA対面助言を実施した。その後、IRBを経て、2015年3月に治験届を提出した。
目的2)イヌ高速ペーシングモデルにONO-1301反復経口投与した結果、有意な心機能の改善効果及び有意な生存率の延長効果を認めた。J2N-kハムスター及びイヌ高速ペーシングモデル試験結果から、DCM患者に対するONO-1301経口投与における早期治療介入は、DCMの重症化を抑制し、心臓移植・LVAD装着の回避及び遅延する可能性が示唆された。また、ONO-1301は血管新生作用を有するため、癌に対するプロモーション作用が危惧される。よって、ONO-1301反復経口投与におけるラット肝中期発がん性試験(伊東法)を実施した結果、ONO-1301は癌に対するプロモーション作用およびイニシエーション作用は認められなかった。
結論
目的1)2015年3Qから、治験1)「冠動脈バイパス手術を施行する虚血性心筋症患者にYS-1402を単回心臓貼付投与した際の安全性、忍容性、及び有効性を検討する並行群間用量漸増試験(第Ⅰ/Ⅱa相)」を実施する。また、治験1)のP-Ⅰ試験により求められた最大安全量を用いて、治験2)「重症拡張型心筋症患者の補助人工心臓装着時にYS-1402を単回心臓貼付した際の安全性及び有効性確認試験(P-Ⅱa)」を実施し、LVAD離脱の可能性を検証する。
目的2)ONO-1301反復経口投与における長期毒性試験を実施し、臨床試験開始を目指す。
目的2)ONO-1301反復経口投与における長期毒性試験を実施し、臨床試験開始を目指す。
公開日・更新日
公開日
2015-06-26
更新日
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