文献情報
文献番号
201415022A
報告書区分
総括
研究課題名
網膜色素変性治療をめざした経強膜ウノプロストン徐放法の開発
研究課題名(英字)
-
課題番号
H24-難治等(難)-一般-067
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
阿部 俊明(東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 中澤徹(東北大学 大学院医学系研究科)
- 西澤松彦(東北大学 大学院工学系研究科)
- 梶弘和(東北大学 大学院工学系研究科)
- 永井展裕(東北大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
65,411,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
我々は分子量にかかわらず初期バーストなしに長期間、網膜に薬剤徐放可能なデバイスを開発してきた。デバイス移植は眼内ではなく結膜下(強膜上)であるため安全性も高く、問題が生じた場合はすぐに摘出できる。高齢者は点眼を忘れがちであるなどの問題点も解決し、適切な薬剤さえあれば様々な網膜疾患や眼疾患以外にも利用できる利点がある。本年度はこのデバイスにBKチャンネル活性化による網膜保護の可能性が報告された緑内障薬ウノプロストン(UNO)をデバイス化して、24年度から開始した研究成果を基に、最終の今年度はデバイス埋殖の安全性試験などを追加し、非臨床POC取得を目標にする。
研究方法
本研究課題の最終目標である非臨床POC取得のため、以下の試験を行う。
①デバイス規格決定。
②デバイス埋殖安全性試験:今年度は2週間/13週間/24週間埋植毒性試験(医薬品GLP)のデバイス移植の安全性検査をGLP試験で行う。
③特許取得のアプローチを継続。
④PMDA対面助言を行う。
⑤デバイスの医療機器としてのGLP安全性試験を行う。
⑥GMP基準のデバイス製造について検討を開始する。
⑦疾患レジストリーの作成について検討を開始する。
①デバイス規格決定。
②デバイス埋殖安全性試験:今年度は2週間/13週間/24週間埋植毒性試験(医薬品GLP)のデバイス移植の安全性検査をGLP試験で行う。
③特許取得のアプローチを継続。
④PMDA対面助言を行う。
⑤デバイスの医療機器としてのGLP安全性試験を行う。
⑥GMP基準のデバイス製造について検討を開始する。
⑦疾患レジストリーの作成について検討を開始する。
結果と考察
デバイスの滅菌方法の決定が決定し、加速試験で薬剤徐放に影響のないことを確認した。このデバイスはこれまでの検討どおりデバイスはTEG100%、薬剤徐放膜・薬剤ペレット化はPEG/TEG40%でウノプロストン濃度は最大500mg/mlと考えられた。また、本デバイスは4℃で薬剤UNOの徐放が抑えられ、37℃で至適濃度を徐放することを確認した。一方、生体内とPBS内では徐放量に若干差がある可能性も考えられた。デバイスの安全性GLP試験を行った。2週間/13週間/24週間埋植毒性試験(医薬品GLP)で行い、経過中に異常所見は見られず、網膜電図等にも異常は見られなかった。24週間埋殖試験においてヒトへの応用にヒト徐放量を上回るUNOの徐放を確保するために、デバイスの2個埋殖を行ったが、メスウサギ3匹(合計6匹)にデバイスの1つが脱落していることが判明した。2個埋殖したオスウサギに脱落は見られなかった。尚最終的な病理所見の結果がまだ確定していない。
PCT出願していた特許であるが、中国で平成25年11月に取得できたのに引き続き、26年6月には米国で、11月には日本でも取得できた。EUは現在公開中であるが、侵害特許がないことが判明したので、近い将来取得できる予定である。
平成26年11月にPMDAと対面助言を実施した。非臨床試験の充足性と毒性試験デザインの妥当性について相談したが、我々が希望するデバイスの1年埋殖について解決しなければならないいくつかの問題点が明らかになった。これらは1)ウサギとサルの網膜内M1濃度データからヒトにおける眼局所暴露量の推定、2)URDの薬剤バーストを想定した影響の評価(GLP)、3)埋植URD摘出後のリスク評価(GLP)、4)URDの9-12か月埋植毒性試験(GLP)、5)サル埋植試験における黄斑機能評価である。
デバイスの医療機器としての安全性試験を行った。細胞毒性試験、感作性試験、刺激性試験、急性毒性試験、亜急性毒性試験、遺伝毒性試験(復帰突然変異試験(Ames試験)及び染色体異常試験)を行い、細胞毒性試験の直接法において弱い毒性が推測された。Non-GLPで施行した網膜色素上皮細胞においては毒性が見られなかったために、再検予定である。
デバイス作成は企業と合同で行う予定であるが、アールテック・ウエノにはデバイス製造施設がないために、アールテック・ウエノ社が指定するGMP施設で製造予定。
本研究の目標は非臨床POC取得であるが、将来の治験開始に向けて疾患レジストリー作成の準備を開始した。
PCT出願していた特許であるが、中国で平成25年11月に取得できたのに引き続き、26年6月には米国で、11月には日本でも取得できた。EUは現在公開中であるが、侵害特許がないことが判明したので、近い将来取得できる予定である。
平成26年11月にPMDAと対面助言を実施した。非臨床試験の充足性と毒性試験デザインの妥当性について相談したが、我々が希望するデバイスの1年埋殖について解決しなければならないいくつかの問題点が明らかになった。これらは1)ウサギとサルの網膜内M1濃度データからヒトにおける眼局所暴露量の推定、2)URDの薬剤バーストを想定した影響の評価(GLP)、3)埋植URD摘出後のリスク評価(GLP)、4)URDの9-12か月埋植毒性試験(GLP)、5)サル埋植試験における黄斑機能評価である。
デバイスの医療機器としての安全性試験を行った。細胞毒性試験、感作性試験、刺激性試験、急性毒性試験、亜急性毒性試験、遺伝毒性試験(復帰突然変異試験(Ames試験)及び染色体異常試験)を行い、細胞毒性試験の直接法において弱い毒性が推測された。Non-GLPで施行した網膜色素上皮細胞においては毒性が見られなかったために、再検予定である。
デバイス作成は企業と合同で行う予定であるが、アールテック・ウエノにはデバイス製造施設がないために、アールテック・ウエノ社が指定するGMP施設で製造予定。
本研究の目標は非臨床POC取得であるが、将来の治験開始に向けて疾患レジストリー作成の準備を開始した。
結論
網膜色素変性の新しい治療法開発に向けたデバイスの検討が進み、6ヶ月の埋殖であればほぼ非臨床POCを取得できたと判断する。明確にする内容が明らかになったので、これらに速やかに対応し治験対応の準備をしたい。
公開日・更新日
公開日
2015-06-26
更新日
-