歯科介入型の新たな口腔管理法の開発及び介入効果の検証等に関する研究

文献情報

文献番号
201412005A
報告書区分
総括
研究課題名
歯科介入型の新たな口腔管理法の開発及び介入効果の検証等に関する研究
課題番号
H24-循環器等(歯)-一般-001
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
菊谷 武(日本歯科大学 大学院生命歯学研究科臨床口腔機能学)
研究分担者(所属機関)
  • 弘中祥司(昭和大学歯学部スペシャルニーズ口腔医学講座口腔衛生学部門)
  • 角 保徳(国立長寿医療研究センター 歯科口腔先進医療開発センター 歯科口腔先端診療開発部)
  • 窪木拓男(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科・インプラント再生補綴学)
  • 吉田光由(広島市立リハ ビリテーション病院)
  • 岸本裕充(兵庫医科大学歯科 口腔外科)
  • 大野友久(聖隷三方原病院 リハビリテーション科)
  • 荒川浩久(神奈川歯科大学大学院口腔衛生学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
2,850,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者 大野友久 聖隷三方原病院(〜平成27年1月31日)→国立長寿医療研究センター(平成27年2月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
口腔衛生管理をはじめとした口腔管理の効果としてはこれまでに、誤嚥性肺炎の予防、人工呼吸器肺炎の予防、がん患者等の術後感染の予防、緩和ケアにおけるQOLの向上などが示されているが、十分な取組が行えているとは言えない。本研究の目的は、急性期病院から回復期といった社会復帰に向けた生活の再構築場面での歯科の役割、維持期や終末期に至るまでの歯科の関わり方を確立し、このような医療、介護場面での歯科介入による口腔衛生管理のあり方を検討することである。さらに、フッ化物応用プログラムの検証を目的とした。
研究方法
各分担研究者が、それぞれのフィールドにおいて、口腔管理のニーズ調査、効果測定を行った。フッ化物応用プログラムの検証では、集団フッ化物洗口を実施している対象社をフォローアップ調査し、副作用の出現、う蝕抑制効果について検証した。
結果と考察
1)夜間に起こる口腔内細菌の増加と不顕性誤嚥に注目し、就寝前に口腔ケアを行う事で、夜間の口腔内細菌数の増加の抑制および細菌叢の変化を調べ、適切な口腔ケアの手法を探索する事を目的とした。就寝前口腔ケアによって早朝細菌数が唾液および歯牙上において減少する傾向が認められ、就寝前口腔ケアの有効性が示された。
2)糖尿病性足病変による下肢切断患者の口腔内状態について調査を行った。下肢切断入院患者の口腔内状態を比較することで、糖尿病による下肢切断患者の口腔健康状態について調べた結果、糖尿病が口腔内状態に及ぼす影響は明確にはできなかった。
3)周術期管理センター受診した73名の食道癌患者に対して、口腔管理のニーズ調査を行った。食道癌患者において、歯科疾患実態調査対象者に比して現在歯が有意に少ない、処置歯が有意に少ない、喪失歯は有意に多い結果を得た。
4)平成24年4月から平成26年9月までの期間に、ビスフォスフォネート製剤(ゾメタⓇ)及び抗RANKL抗体である分子標的薬デノスマブ(ランマークⓇ)投与(予定)患者の口腔管理を当科に紹介された29名を対象として、歯科治療の潜在ニーズについて調査した。その結果、29名全ての紹介患者において何らかの歯科治療の必要性が認められた。本研究成果より、抜歯後に顎骨壊死へと移行する可能性がある薬剤投与(予定)患者の専門的口腔衛生管理、歯科治療の必要性が示唆された。
5)無菌室で造血幹細胞移植を受ける患者の口腔機能管理に関する研究を行った。造血幹細胞移植の前処置開始までの限られた期間に口腔管理を徹底し、無菌室での管理中には、当該医療機関で作成した口腔アセスメント表COACHを使用して担当看護師が評価を継続することで、前処置開始から生着までの期間における口腔のトラブルは、口腔粘膜炎3%(35件中1件)のみに抑えることができた。
6)フッ化物応用プログラムの検証では、フッ化物洗口実施後のフォローアップ調査を行った。フッ化物洗口によって、歯磨きなどの歯科保健習慣がおろそかになる、歯のフッ素症が生じる、口内炎などの粘膜への副作用が生じるという有害性は認められなかった。
結論
各ステージにおいて、口腔管理のニーズは著しく高く、その効果も大きい。しかし、各施設において口腔管理が十分に行われているとは言い難く、口腔管理の普及が望まれる。

公開日・更新日

公開日
2015-09-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201412005B
報告書区分
総合
研究課題名
歯科介入型の新たな口腔管理法の開発及び介入効果の検証等に関する研究
課題番号
H24-循環器等(歯)-一般-001
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
菊谷 武(日本歯科大学 大学院生命歯学研究科臨床口腔機能学)
研究分担者(所属機関)
  • 弘中祥司(昭和大学歯学部スペシャルニーズ口腔医学講座口腔衛生学部門)
  • 向井美惠(昭和大学歯学部スペシャルニーズ口腔医学講座口腔衛生学部門)
  • 角 保徳(国立長寿医療研究センター 歯科口腔先進医療開発センター 歯科口腔先端診療開発部)
  • 窪木拓男(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 吉田光由(広島市立リハビリテーション病院)
  • 岸本裕充(兵庫医科大学歯科口腔外科)
  • 大野友久(国立長寿医療研究センター 先端診療部歯科口腔外科)
  • 荒川浩久(神奈川歯科大学大学院口腔衛生学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
口腔衛生管理をはじめとした口腔管理の効果としてはこれまでに、誤嚥性肺炎の予防、人工呼吸器肺炎の予防、がん患者等の術後感染の予防、緩和ケアにおけるQOLの向上などが示されているが、十分な取組が行えているとは言えない。本研究の目的は、急性期病院から回復期といった社会復帰に向けた生活の再構築場面での歯科の役割、維持期や終末期に至るまでの歯科の関わり方を確立し、このような医療、介護場面での歯科介入による口腔衛生管理のあり方を検討することである。さらに、フッ化物応用プログラムの検証を目的とした。
研究方法
各分担研究者が、それぞれのフィールドにおいて、口腔管理のニーズ調査、効果測定を行った。フッ化物応用プログラムの検証では、集団フッ化物洗口を実施している対象者をフォローアップ調査し、副作用の出現、う蝕抑制効果について検証した。
結果と考察
1)介護保険施設に入所中の964名に対し、追跡研究を行い、肺炎発症リスクを検証した。その結果、栄養状態 (p=0.001), odds ratio:1.945 (CI:1.385-2.730)。摂食嚥下機能 (p=0.001), odds ratio:2.519 (CI:1.791-3.544)との間に関連が認められた。これらの項目は肺炎発症リスクを推し量る重要な項目であることが示され、ハイリスク者の選定に有用であることが推察された。
2)回復期病院の入院患者に対する義歯の装着効果を検討する目的で、義歯装着前後の即時効果を嚥下造影検査video-fluorography (VF)を用い検討した。喉頭挙上開始時間には義歯装着前後で差は認められなかった。一方、咽頭通過時間は、義歯装着により有意に短くなっていた。これにより、誤嚥のリスクを軽減するために義歯の装着が有効である可能性を示した。
3)大学病院内の多職種で構成される栄養サポートチーム(NST)や呼吸サポートチーム(RST)への参加の効果を検証した。チーム回診時に口腔のアセスメント方法やケア方法を担当看護師に教育することで、口腔乾燥、歯垢、褥瘡性潰瘍、舌苔、粘膜へ汚染物の付着、の5項目は、いずれも経年的に改善を認めた。
4)周術期管理センター受診した73名の食道癌患者に対して、口腔管理のニーズ調査を行った。食道癌患者において、歯科疾患実態調査対象者に比して現在歯が有意に少ない、処置歯が有意に少ない、喪失歯は有意に多い結果を得た。
5)造血細胞移植を受けた患者において、口腔ケアの効果を検証する目的で、mecA遺伝子の検出者の割合を測定した。検出者は、移植後経過週数に従って増加した。造血細胞移植期の口腔内を清潔に保つことはメチシリン耐性菌の量的減少につながり、感染管理上重要であることを示した。
6)日本国内の病院における緩和ケア病棟120施設、緩和ケアチーム90チームに対して、緩和ケア現場における歯科ニーズの調査を行った。その結果、口腔ケア、歯科治療のニーズが高いことが示された。
7)平成24年度の対象地区において、集団フッ化物洗口未経験の平成17年度の1.52をベースラインにすると、平成18年度は0.93で38.8%の減少、平成22年度は0.72で52.6%の減少であった。また、平成26年度の対象地区において、平成14年度は1.10で全国は2.28、平成25年度は0.37で全国は1.05であり、それぞれ66.4%と53.9%の減少率となり、当該地区の減少率の方が12.5ポイント上回っていた。質問紙調査の結果、フッ素洗口事業の実施によって子どもに変化がみられたと回答したのは、全体の18~22%であった。そのうち「歯磨き習慣が良くなった」は64~70%であるのに対し、「歯磨き習慣が悪くなった」は1~2%とわずかであった。
結論
各ステージにおいて、口腔管理のニーズは著しく高く、その効果も大きい。しかし、各施設において口腔管理が十分に行われているとは言い難く、口腔管理の普及が望まれる。

公開日・更新日

公開日
2015-09-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2016-05-13
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201412005C

収支報告書

文献番号
201412005Z