CHP/NY-ESO-1ポリペプチドがんワクチンの術後食道癌症例を対象とした多施設共同前期第II相臨床試験

文献情報

文献番号
201411031A
報告書区分
総括
研究課題名
CHP/NY-ESO-1ポリペプチドがんワクチンの術後食道癌症例を対象とした多施設共同前期第II相臨床試験
課題番号
H23-実用化(がん)-一般-008
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
珠玖 洋(国立大学法人三重大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 平野 聡(北海道大学大学院 医学研究科 )
  • 小島 隆嗣(独立行政法人国立がん研究センター東病院)
  • 村上 雅彦(昭和大学消化器・一般外科)
  • 島田 英昭(東邦大学外科学講座)
  • 小寺 泰弘(名古屋大学大学院医学系研究科)
  • 安部 哲也(愛知県がんセンター中央病院)
  • 近藤 建(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター)
  • 毛利 靖彦(三重大学大学院 医学系研究科)
  • 石川 剛(京都府立医科大学消化器内科)
  • 和田 尚(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 上田 修吾(財団法人田附興風会医学研究所第一研究部)
  • 山上 裕機(和歌山県立医科大学 外科学第2講座)
  • 永田 康浩(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科地域包括ケア教育センター)
  • 金高 賢悟(長崎大学附属病院上部消化管外科)
  • 蒲原 行雄(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター)
  • 五島 直樹(独立行政法人産業技術総合研究所 生体分子プロファイリング研究センター)
  • 佐藤 永一(東京医科大学医学総合研究所)
  • 山田 知美(大阪大学大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
145,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、既に進行食道癌を対象に第I相臨床研究及び第I相治験を実施したCHP/NY-ESO-1ポリペプチドがんワクチンを、術前化学療法と根治的手術を行った食道癌患者に単剤で投与し再発抑制効果を探索する前期第Ⅱ相試験である。
 本ワクチンはがん抗原NY-ESO-1ポリペプチドと独自開発の抗原デリバリー剤CHPの複合体であり、①ポリペプチドはキラー及びヘルパーT細胞双方のエピトープを含み、がん特異性と免疫原性が高く、また多くのMHCクラスI及びIIに対応、②CHPは抗原ポリペプチドをリンパ節の抗原提示細胞に効率よく送達、③CHPは特異的キラー及びヘルパーT細胞への抗原提示能力を向上、④ヘルパーT細胞を介した抗原提示細胞の活性化により、多層的免疫応答誘導の特色をもつ。
 尚、先行した第I相臨床研究及び第I相治験で安全性の確認、抗原特異的免疫応答の誘導、一部被験者での臨床効果を認めた。


研究方法
多施設共同の医師主導治験として前期第II相試験を実施し、安全性、無再発生存期間及び全生存期間延長効果を確認する。随伴研究の蛋白及びDNAアレイを用いた網羅的解析で後期第II相試験の患者層別化に資する情報を取得する。
対象は食道腫瘍にNY-ESO-1を発現する症例を無作為化割付けし、治験薬(200μg/回)群には2週間隔で6回投与後、4週間隔で9回投与。非投与割付け群を設けた。追跡期間52週とし、再発イベントエンドポイントを設定し、試験を実施。
治験調整委員会事務局をCRO委託し、モニタリング業務をAROとして名古屋医療センターにも委託した。
結果と考察
【結果】
1. 年4回の治験推進を中心とする班会議を開催した。
2. 登録例は一次243例、二次37例(H27年2月27日現在)まで増加し、これまでの対策が功を奏している。
3. 免疫反応検査、プロテインアレイ、遺伝子発現検査等について解析を継続中である。
4. 拠点病院である名古屋医療センターの治験参加と共にAROとしてモニタリング業務を委託した。
5. 治験対象症例を、投与群、非投与群を各々20症例とし、PMDAに連絡した。
【考察】
全14施設で順調に医師主導治験を進行している。食道癌検体でのNY-ESO-1抗原発現を見落とさないようにするため、各施設に対して抗原発現判定用検体提出数の増加を依頼し、発現率が26%から35%に向上した。また、切除検体だけでなく診断時の生検検体からも抗原発現を確認したことも好ましい影響をもたらしたと考えている。
登録目標症例数を計40例とすることをPMDAに連絡し、平成27年2月で一次登録を終了する予定とした。一次登録から二次登録への移行率を20%とした場合、二次登録数は49例が見込まれるので、十分に目標数に達すると考えている。平成27年10月で二次登録を終了し、平成29年10月までの試験期間となる。
また今後、免疫反応検査、プロテインアレイ、遺伝子発現検査等の結果と臨床経過との相関の評価により、有意義な示唆が得られると期待される。

結論
平成26年度は症例の収集が順調に進行し、予定通りCHP/NY-ESO-1ポリペプチドがんワクチンを用いた多施設共同前期第Ⅱ相臨床試験の一次登録が進んだ。一次登録から二次登録への移行率がこれまでの対策が奏功して向上したので、予定通りに平成27年10月で二次登録40例を完遂する見通しがついた。

公開日・更新日

公開日
2015-09-08
更新日
-

文献情報

文献番号
201411031B
報告書区分
総合
研究課題名
CHP/NY-ESO-1ポリペプチドがんワクチンの術後食道癌症例を対象とした多施設共同前期第II相臨床試験
課題番号
H23-実用化(がん)-一般-008
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
珠玖 洋(国立大学法人三重大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 平野 聡(北海道大学大学院 医学研究科 )
  • 小島 隆嗣(独立行政法人国立がん研究センター東病院)
  • 村上 雅彦(昭和大学消化器・一般外科)
  • 島田 英昭(東邦大学外科学講座)
  • 小寺 泰弘(名古屋大学大学院医学系研究科)
  • 安部 哲也(愛知県がんセンター中央病院)
  • 近藤 建(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター)
  • 毛利 靖彦(三重大学大学院 医学系研究科)
  • 石川 剛(京都府立医科大学消化器内科)
  • 和田 尚(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 上田 修吾(財団法人田附興風会医学研究所第一研究部)
  • 山上 裕機(和歌山県立医科大学 外科学第2講座)
  • 永田 康浩(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科地域包括ケア教育センター)
  • 金高 賢悟(長崎大学附属病院上部消化管外科)
  • 蒲原 行雄(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター)
  • 五島 直樹(独立行政法人産業技術総合研究所 生体分子プロファイリング研究センター)
  • 佐藤 永一(東京医科大学医学総合研究所)
  • 山田 知美(大阪大学大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
既に進行食道癌を対象に第I相臨床研究及び第I相治験を実施したCHP/NY-ESO-1ポリペプチドがんワクチンを術前化学療法と根治的手術を行った食道癌患者に単剤で投与し再発抑制効果を探索する前期第Ⅱ相試験である。本ワクチンはがん抗原NY-ESO-1ポリペプチドと独自開発の抗原デリバリー剤CHPの複合体であり、1.ポリペプチドはキラー及びヘルパーT細胞双方のエピトープを含み、がん特異性と免疫原性が高く、また多くのMHCクラスI及びIIに対応、2.CHPは抗原ポリペプチドをリンパ節の抗原提示細胞に効率よく送達、3.CHPは特異的キラー及びヘルパーT細胞への抗原提示能力を向上、4.ヘルパーT細胞を介した抗原提示細胞の活性化により多層的免疫応答誘導の特色をもつ。
尚、先行した第I相臨床研究及び第I相治験で安全性の確認、抗原特異的免疫応答の誘導、一部被験者での臨床効果を認めた。
研究方法
多施設共同の医師主導治験として前期第II相試験を実施し、安全性、無再発生存期間及び全生存期間延長効果を確認。随伴研究の蛋白及びDNAアレイを用いた網羅的解析で後期第II相試験の患者層別化に資する情報を取得する。対象は食道腫瘍にNY-ESO-1を発現する症例を無作為化割付けし、治験薬(200μg/回)群には2週間隔で6回投与後、4週間隔で9回投与。非投与割付け群を設けた。追跡期間52週とし、再発イベントエンドポイントを設定し、試験を実施。治験調整委員会事務局をCRO委託し、モニタリング業務をAROとして名古屋医療センターにも委託。
結果と考察
結果:平成23年度1.PMDAへ治験計画届書を申請するにあたり、PMDAの助言によりプロトコールの修正を行い、治験実薬投与群、非投与群共にNY-ESO-1抗原陽性腫瘍へ変更。また実薬投与群および非投与群各々35症例計70症例に変更。2.治験実施計画書、実施体制構築、運用のための各種手順書、解析用血液検体処理等に関する手順書を作成。又、治験薬製造、搬送体制を確立。3.治験実施2施設のIRB承認を得、治験届を提出。平成24年度1.治験実施施設(7施設)のIRB承認を受け、治験届を提出。2.年2回の班会議を開催。3.症例登録を6月より各施設暫時開始し、一次登録57例、二次登録6例の進捗があった。平成25年度1.症例登録の加速化対策を実施。一次登録から二次登録への移行率が当初想定30%を下回る13%であったため、原因分析のもとにプロトコール見直しを行い、選択基準を病理病期から臨床病期に改訂。又、より柔軟な一次登録を可能にするべくプロトコールを変更。改訂の結果、移行率を25%程度に増加させることを想定した。改訂に伴い二次登録への脱落は改善されたが、NY-ESO-1抗原陽性率が改訂時点の40%を大きく下回ったことで、移行率自体の増加は得られなかった。2.年2回の班会議を開催。3.一次登録91例、二次登録15例であり、上記対策に加えて、施設追加(7施設から14施設へ)を行った。4.免疫反応検査、プロテインアレイ、遺伝子発現検査等について解析を開始。5.追加施設として治験実施施設のIRB承認を得、治験届を提出。平成26年度1.年4回の班会議を開催。2.登録例は一次254例、二次39例(H27年3月31日現在)まで増加。これまでの対策が功を奏している。3.疫反応検査、プロテインアレイ、遺伝子発現検査等について解析を継続中である。4.拠点病院名古屋医療センターにAROとしてモニタリング業務を委託。5.治験対象症例を、投与群、非投与群を各々20症例とし、PMDAに連絡。考察:全14施設で順調に医師主導治験を進行している。食道癌検体でのNY-ESO-1抗原発現を見落とさないようにするため、各施設に対して抗原発現判定用検体提出数の増加を依頼し、発現率が26%から35%に向上した。又、切除検体だけでなく診断時の生検検体からも抗原発現を確認したことも好ましい影響をもたらした。登録目標症例数を計40例とすることをPMDAに連絡し、平成27年2月で一次登録を終了する予定とした。一次登録から二次登録への移行率を20%とした場合、二次登録数は49例が見込まれるので、十分に目標数に達する予定。平成27年10月で二次登録を終了し、平成29年10月までの試験期間となる。今後、免疫反応検査、プロテインアレイ、遺伝子発現検査等の結果と臨床経過との相関の評価により有意義な示唆が得られると期待される。
結論
平成26年度は症例の収集が順調に進行し、予定通りCHP/NY-ESO-1ポリペプチドがんワクチンを用いた多施設共同前期第Ⅱ相臨床試験の一次登録が進んだ。一次登録から二次登録への移行率がこれまでの対策が奏功して向上したので、予定通りに平成27年10月で二次登録40例を完遂する見通しがついた。

公開日・更新日

公開日
2015-09-08
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2016-05-13
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201411031C

収支報告書

文献番号
201411031Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
167,429,000円
(2)補助金確定額
167,429,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 47,297,669円
人件費・謝金 37,574,761円
旅費 10,043,189円
その他 50,684,632円
間接経費 21,829,000円
合計 167,429,251円

備考

備考
251円は自己資金にて支出

公開日・更新日

公開日
2015-10-21
更新日
-