ナノマテリアル曝露による生体毒性の慢性移行及び遅発性に関わる評価手法の開発研究

文献情報

文献番号
201329021A
報告書区分
総括
研究課題名
ナノマテリアル曝露による生体毒性の慢性移行及び遅発性に関わる評価手法の開発研究
課題番号
H24-化学-指定-009
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
広瀬 明彦(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター総合評価研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 菅野  純(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 毒性部)
  • 津田 洋幸(名古屋市立大学 津田特任教授研究室)
  • 小林 憲弘(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部)
  • 本間 正充(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 変異遺伝部)
  • 宮澤 薫一(物質・材料研究機構先端的共通技術部門先端材料プロセスユニット フラーレン工学グループ)
  • 最上 知子(国立医薬品食品衛生研究所 代謝生化学部)
  • 渡辺 渡(九州保健福祉大学 薬学部)
  • 石丸 直澄(徳島大学大学院 ヘルスバイオサイエンス研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
37,570,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ナノマテリアル曝露による最も懸念すべき体内残留性に基づいた慢性および遅発的影響に対する評価手法確立に資する知見を取得することを目的とする。
研究方法
25年度は慢性影響評価研究において、多層型カーボンナノチューブ(MWCNT)による52週間経気管反復投与および、高度に分散処理したMWCNTの野生型マウスへの単回腹腔内投与、染色体異常誘発能のメカニズム解析、異なる粒子形状をもつナノサイズ酸化チタンによる肺への影響の比較解析を行った。免疫システムへの検討としてMWCNTの単回腹腔内投与による末梢血の免疫細胞分画解析とMWCNTによる感染依存性炎症増悪作用の解析、in vitro炎症性サイトカイン産生メカニズムの解析を行った。次世代への影響としてMWCNTの反復投与実験及び、アスベストによる催奇形性誘発能の検討を行った。
結果と考察
慢性影響の検討として、MWCNTによる経気管反復投与でも、頻度は低いが中皮腫誘発性を有することが確認された。また、野生型マウスへのMWCNT単回腹腔内投与においも中皮腫誘発性を確認した。MWCNTは、アスベスト同様にサイトキネシス障害により染色体異常誘発することを確認した。異なる粒子形状をもつナノサイズ酸化チタンにおいて光活性の強さと肺胞上皮・間質細胞に対する増殖活性の間に関連性が示されなかった。免疫システムへの検討では、野生型マウスのM1マクロファージへの分化促進と、自己免疫疾患モデルマウスにおける自己抗体産生能へ影響が示唆された。RSウィルス感染性に及ぼすMWCNTによる炎症憎悪作用については、分散法に関わらず肺洗浄液中のケモカイン上昇が示唆された。また、繊維長の長いカーボンウィスカ-でもNLRP3依存的なサイトカインの分泌促進が観察された。次世代への影響では、MWCNTの反復気管内投与試験では催奇性は認められず、単回の大量投与に起因した奇形誘発性が推定された。さらに、アスベストの大量腹腔内投与においても催奇形性作用のあることが確認された。
結論
MWCNTの経気管反復投による中皮腫誘発性の確認や形状の異なる酸化チタンによる肺への影響について更なる知見が集積された。また、MWCNTが自己免疫システムに影響を与えている可能性と繊維長や繊維本数に依存したMWCNTの催奇形性との関連も示めされた。

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201329021Z