医薬品の品質、有効性及び安全性確保のための規制の国際調和の推進に係わる研究

文献情報

文献番号
201328036A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品の品質、有効性及び安全性確保のための規制の国際調和の推進に係わる研究
課題番号
H24-医薬-指定-026
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
大野 泰雄(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 薬理部)
研究分担者(所属機関)
  • 本間 正充(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 阿曽 幸男(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 西川 秋佳(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 中江 大(東京都健康安全研究センター)
  • 平林 容子(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 小島 肇(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 奥田 晴宏(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 中村 秀文(国立成育医療研究センター)
  • 岡田 美保子(川崎医療福祉大学 医療福祉マネジメント技術学部)
  • 松本 峰男((独)医薬品医療機器総合機構)
  • 広瀬 明彦(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 四方田 千佳子((独)医薬品医療機器総合機構)
  • 山口 照英(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 川西 徹(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 川崎 ナナ(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 新見 伸吾(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 石井 明子(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 内田 恵理子(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 香取 典子(国立医薬品食品衛生研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
32,070,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医薬品の承認審査,市販後調査を含め規制当局に提出すべきデータや審査に必要な資料の要件に関する国際調和を推進することにより,医薬品のグローバルな開発環境の整備及び安全性確保体制の確立,試験の重複排除,さらには,医薬品の開発手順の提示により,世界最高水準の医薬品を国民に迅速に提供するための環境整備を行う。この目的のために、医薬品の品質,有効性,安全性評価に必要な試験の内容やガイドラインなどの裏付けとなる科学的データの取得や先導的な調査および研究を行うことにより,国際調和案作成に資する情報を入手するとともに,調和文書に盛り込むべき要件を明らかにする.更に,日米EU間での国際的協議を行い,関連する種々ガイドラインを作成する.
研究方法
従来の国際協力の努力を踏まえ,現在検討すべき事項および近未来に問題となると思われる事項について,動物福祉の観点も考慮し,調査・研究を行う.具体的には,分担研究者を中心にJPMA,PMDA,国立医薬品食品衛生研究所,大学等の,産・学・官の専門家からなるワーキンググループを構築し,調査・検討を進めるとともに,国際的協議を行った.また,必要な実験的検討を行った.
結果と考察
1.医薬品の安全性に関する非臨床研究
1) バイオ医薬品の非臨床安全性試験法ガイドラインの補遺発出後の実態調査を行い,収集した意見への対応を検討した.核酸医薬についての指針作成に資する情報収集を進めた.
2) 医薬品の非臨床光安全性試験方法に関するガイドラインを策定し,国際合意を達成した.合意文書を和訳し,パブリックコメント対応案を作成した.
3) げっ歯類の長期がん原性試験を省略できる条件の妥当性についてprospectiveに確認するための通知文書(案)の最終化作業を進めた.
4) 日本発の光毒性試験法(ROSアッセイ)の国際的第三者評価会議の指摘に基づき,報告書やプロトコールを改訂した結果,ROSアッセイが国際ガイドラインに記載された.
2.医薬品の品質に関する非臨床研究
1) 米国における承認後変更手続きを調査し,我が国への影響を考察した.
2) がん免疫細胞療法で使用される製品の品質確保のために必要な検査項目をまとめた.
3) プラスミドDNAワクチンの品質・安全性確保についての規制を国際比較し,製造段階や非臨床試験で明らかにすべき点や実施すべき試験等について考察した.
4) 抗体親和性ペプチド固定化ゲルを充填したスピンカラムにより,血漿試料から抗体医薬品を回収できた.宿主由来タンパク質をショットガンプロテオミクス法により同定した.
5) バイオ医薬品の免疫原性について調査し,中和抗体生成,有効率低下,アレルギー誘発,インフュージョン反応誘発製剤をまとめた.
6) EUではバイオ後続品評価のためのガイドラインが各種発出され,日本においても指針の改定を考える時期にきていると思われた.
7) 遺伝毒性不純物に関する国際ガイダンス案を翻訳し,パブコメを実施し,得られたコメントへの対応を検討した.
8) 金属不純物に関する国際ガイダンス案の合意を達成し,パブコメを実施した.
9) 従来PDG(薬局方検討会議)で日米欧の薬局方の調和活動を行ってきたが,より広い範囲でも国際交流が望まれている.
3.医薬品の臨床試験に関する検討
1) 小児治験に関するインフォームド・アセント時に使用するパンフレットについて調査を親子に対して行った.
2) 遺伝子治療薬について実施すべき非臨床試験と実施時期について調査し,その安全確保や臨床試験につなげるための試験についての情報を得た.
3) 生体試料分析法バリデーションのガイドライン(低分子医薬品対象のクロマトグラフィー法及びリガンド結合試験)案を完成させた.
4.その他
1) 安全性バイオマーカーの評価を,心臓毒性マーカーを材料として試み,今までの評価の問題点を明らかにし、今後のあり方を提言した.
2) 治療用ペプチドワクチンとアジュバントとアジュバント添加ワクチンの非臨床試験ガイドラインを最終化した.
3) 医薬品規制情報に関わる電子仕様の国際規格開発を検討し,医薬品個別症例安全性報告(ICSR)については,ICH実装ガイドが最終段階に達した.SDOプロジェクトを支援するための各種ベストプラクティス等の文書,ICH IGのメンテナンス等のためのSDOモニタリングの活動,電子文書フォーマットに関わる議論を調査した.
結論
産,学,官が協力して医薬品の許認可に関する日米EU各極での不調和の存在を明らかにし,その解決のために必要な研究を行うとともに,種々の医薬品の品質や有効性,安全性評価のためのガイドラインを調和・整備するための諸研究を行い、いずれの項目についての研究も大きな進展が認められた.

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2015-05-11
更新日
-

収支報告書

文献番号
201328036Z