文献情報
文献番号
201326022A
報告書区分
総括
研究課題名
大災害時の復旧・復興工事における労働災害の発生要因の分析及び対策の検討
研究課題名(英字)
-
課題番号
H24-労働-指定-006
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 和也(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ)
研究分担者(所属機関)
- 高梨 成次(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ)
- 堀 智仁(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ)
- 日野 泰道(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ)
- 豊澤 康男(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ)
- 玉手 聡(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ)
- 大幢 勝利(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ)
- 高橋 弘樹(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ)
- 吉川 直孝(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
平成23年3月11日14時46分に発生した平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震並びにその後の大規模余震(以下「東日本大震災」という。)は,死者15,859名,行方不明者3,021名,負傷者6,107名(平成24年5月23日現在,警察庁発表)となる戦後最大の震災となった。このような巨大地震では,甚大な人的被害はもとより,津波災害,地すべり・崖崩れ・落石などの土砂災害,それに伴う河道閉塞,橋梁の倒壊等による交通網やライフラインの寸断,住宅などの建築物や構造物の倒壊等の被害,火災による建物の延焼等が広域に発生する。地震発生直後から被災地へ物資を供給するためには,寸断された交通網の迅速かつ的確な復旧工事が必要とされる。また,建物などが密集した地域では,被害者救助のための建物内の緊急工事とともに,損傷を受けた建物の倒壊による二次災害防止のための解体・撤去工事が必要とされる。このため,震災復旧工事は,安全のための十分な調査を待たずして開始されることが多く,震災復旧工事を行う作業員は不安全な状況下で作業を行わざるを得ない。特に,地震による被害の場合には,余震による被害の拡大も考えられるため,一般的な作業に比べてより慎重な作業が要求される。しかしながら,震災復旧工事では緊急の復旧工事を経験したことのある作業員は少なく,また,被災者を雇用することによる建設業への新規参入者が増えることなどから,十分な安全対策を行わずに作業を行い,労働災害に発展したケースもある。このため,地震により被災した箇所の震災復旧・復興工事について,その危険性を明らかにするとともに,現場に対して工事の進捗状況に応じた安全情報を適時に提供する必要がある。本申請研究では,大災害時の復旧・復興工事における労働災害の発生要因の調査・分析及びそれらを踏まえた的確な労働災害防止対策情報の提供を目指すものである。具体的に本申請研究では,以下の3項目について研究を行なう。
1) 東日本大震災及び過去の震災に係る復旧・復興工事による労働災害の調査・分析
2) 東日本大震災復旧・復興工事の実態調査
3) 大災害時の復旧・復興工事における労働災害防止対策の検討
1) 東日本大震災及び過去の震災に係る復旧・復興工事による労働災害の調査・分析
2) 東日本大震災復旧・復興工事の実態調査
3) 大災害時の復旧・復興工事における労働災害防止対策の検討
研究方法
研究2年度は,「東日本大震災及び過去の震災に係る復旧・復興工事による労働災害の調査・分析」として①東日本大震災に係る復旧復興工事中の労働災害について調査・分析の実施,「東日本大震災復旧・復興工事の実態調査」として②被災地への現地調査による復旧・復興時の問題点等の抽出,「東日本大震災からの復興の工程表からみた労働安全衛生対策」から③復興の工程表や工事進捗状況に応じた労働安全衛生情報の提供,及び「大災害時の復旧・復興過程のシナリオに応じた労働安全衛生対策の検討」から④事前計画段階での復旧復興過程における実施可能な労働安全衛生対策の検討や⑤過去の国内外の大災害時の復興計画や安全対策の情報収集の実施を取り上げて実施した。
結果と考察
以下に研究2年度の結果をまとめる。
(1)東日本大震災及び過去の震災に係る復旧・復興工事による労働災害の調査・分析
東日本大震災からの復旧・復興工事による災害事例収集の努力を行い,系統的な災害事例情報のデータベース化と災害事例の類型化を試みた結果及び,東日本大震災による震災復旧・復興工事中の労働災害発生状況について分析した。
(2)東日本大震災からの復興の工程表からみた労働安全衛生対策
平成24年度統括・分担研究報告書にて得られた建築工事業における「墜落・転落」災害と建物一部損壊被害との相関性から震災発生時の被害予測から労働災害発生の蓋然性を把握するモデル構築について試検討した。
(3)大災害時の復旧・復興過程のシナリオに応じた労働安全衛生対策の検討
2010年~2011年に4回発生したマグニチュード7クラスの直下地震によって被災したニュージーランド・カンタベリー地震後のクライストチャーチでの復旧・復興工事について,現状の把握およびニュージーランド政府や関連機関の取組みについて,情報収集を行った。
(1)東日本大震災及び過去の震災に係る復旧・復興工事による労働災害の調査・分析
東日本大震災からの復旧・復興工事による災害事例収集の努力を行い,系統的な災害事例情報のデータベース化と災害事例の類型化を試みた結果及び,東日本大震災による震災復旧・復興工事中の労働災害発生状況について分析した。
(2)東日本大震災からの復興の工程表からみた労働安全衛生対策
平成24年度統括・分担研究報告書にて得られた建築工事業における「墜落・転落」災害と建物一部損壊被害との相関性から震災発生時の被害予測から労働災害発生の蓋然性を把握するモデル構築について試検討した。
(3)大災害時の復旧・復興過程のシナリオに応じた労働安全衛生対策の検討
2010年~2011年に4回発生したマグニチュード7クラスの直下地震によって被災したニュージーランド・カンタベリー地震後のクライストチャーチでの復旧・復興工事について,現状の把握およびニュージーランド政府や関連機関の取組みについて,情報収集を行った。
結論
今年度実施した研究成果により,
① 過去の地震により被災した箇所の震災復旧・復興工事中の労働災害事例のデータベースの作成
② 東日本大震災における現状の労働災害発生蓋然性が高い工種の事前情報の提供
③ 過去の震災による震災復旧・復興工事中の労働災害事例と労働安全衛生対策
が行える。①については,(独)労働安全衛生総合研究所ホームページに成果がまとまり次第逐次公表しており,一部は転載されている。また,②は,震災から1年6ヶ月までに発生した件数について分析を行った結果を土木学会論文集F6(安全問題)部門に投稿・掲載されている。①,③については,次年度以降も継続的に検討を行い,成果を一般に公表・活用できるように努める。
① 過去の地震により被災した箇所の震災復旧・復興工事中の労働災害事例のデータベースの作成
② 東日本大震災における現状の労働災害発生蓋然性が高い工種の事前情報の提供
③ 過去の震災による震災復旧・復興工事中の労働災害事例と労働安全衛生対策
が行える。①については,(独)労働安全衛生総合研究所ホームページに成果がまとまり次第逐次公表しており,一部は転載されている。また,②は,震災から1年6ヶ月までに発生した件数について分析を行った結果を土木学会論文集F6(安全問題)部門に投稿・掲載されている。①,③については,次年度以降も継続的に検討を行い,成果を一般に公表・活用できるように努める。
公開日・更新日
公開日
2015-06-22
更新日
-