粉じん作業等における粉じんばく露リスクの調査研究

文献情報

文献番号
201326012A
報告書区分
総括
研究課題名
粉じん作業等における粉じんばく露リスクの調査研究
課題番号
H25-労働-一般-003
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
名古屋 俊士 (早稲田大学 理工学術院創造理工学部環境資源工学科)
研究分担者(所属機関)
  • 明星敏彦(産業医科大学生態科学研究所)
  • 村田克(公益財団法人労働科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「粉じん作業」に指定されていないが、今後新たに指定すべきと考えられる作業として、鋳物工場での砂型造形作業における粉じん曝露リスク調査を行い、粉じんばく露防止対策の必要性について検討した。また、屋外については粉じん則別表第3の作業に入らず呼吸用保護具の着用が義務づけられていなかった屋外での岩石及び鉱物の研磨・ばり取り作業についても検討した。
 次に、個人サンプラーを用いた粉じん濃度測定について、その正確な運用を検討しておかなければならない状況が生じたので、吸入性粉じん濃度測定が正確に出来る吸引流量を求めるための検討を行った。
 次に、粉じん障害防止規則においても有機則と同様に、局所排気装置以外の粉じん発散防止抑制装置の使用を可能にするため、制御風速と漏洩濃度の関係やフィルターの捕集特性及び圧力損失等について検討を行った。

研究方法
1.屋外での岩石・鉱物の研磨・ばり取り作業における粉じんばく露リスクの調査研究
 作業時に発生する粉じんについて、作業者のばく露濃度を作業中に行った。ばく露濃度についてはLD-6Nデジタル粉じん計の検出部を作業者の右肩に固定し、操作部および吸引ポンプを作業者の腰に装着し、作業中の連続測定を行った。
2.鋳物工場での砂型造形作業における粉じんばく露リスク調査研究
 ばく露濃度については、岩石・鉱物の研磨・ばり取り作業と同様な測定を行った。
3.吸引流量低下が個人ばく露濃度粉じん計NWPS-254の吸入性粉じん濃度測定に与える影響
 NWPS-254は、吸引流量2.5(L/min)で吸引することで吸入性粉じんを正確に測定できる粉じん計である。そこで、チャンバー内に粉じんを発生させ、どこまで吸引流量が低下したら正確な粉じん濃度測定が出来なくなるかを知るための実験を行った。
4.粉じんに関する局所排気装置等以外の発散防止抑制装置の導入への基礎的研究
 小型局所排気装置を作製し、実験室を実際の作業場に想定し、粉じんの環境への漏洩の有無を調べることで、制御風速を下げても作業環境を良好に保つことができることを検証すべく実験を行った。
結果と考察
1.屋外での岩石・鉱物の研磨・ばり取り作業における粉じんばく露リスクの調査研究
 岩石及び鉱物の研磨・ばり取り作業は、個人ばく露濃度測定を実施した結果、18の作業のいずれにおいても100%の作業で管理濃度を超えていた。
2.鋳物工場での砂型造形作業における粉じんばく露リスク調査研究
 砂型造形作業場として、7事業場で27砂型造形作業の個人曝露濃度測定を行った結果、約93%(25/27作業)の作業で管理濃度を超えていた。
3.吸引流量低下が個人ばく露濃度粉じん計NWPS-254の吸入性粉じん濃度測定に与える影響
 チャンバー内にアリゾナロードダストを発生させて実験を行った結果、NWPS-254における流量低下は、2.4(L/min)までであれば吸入性粉じんの測定として正確に測定できていると判断することができる結果となった。
4.粉じんに関する局所排気装置等以外の発散防止抑制装置の導入への基礎的研究
 捕捉点の風速が0.10m/s以上であれば漏洩が防げると確認できた。つまり、作業場の状態によっては、法令で定められている制御風速を満たさなくても作業環境が良好に保たれることが示唆された。

結論
1.屋外での岩石・鉱物の研磨・ばり取り作業における粉じんばく露リスクの調査研究
 屋外における岩石及び鉱物の研磨・ばり取り作業は、有効な呼吸用保護具を着用する必要があるものと考えられるという結論を導き出した。
2.鋳物工場での砂型造形作業における粉じんばく露リスク調査研究
 現在、鋳物工場における砂型造型作業は、粉じん則で粉じん作業に指定されていないが、粉じん則を改正し、「粉じん作業」とすることが適切な措置と考える。
3.吸引流量低下が個人ばく露濃度粉じん計NWPS-254の吸入性粉じん濃度測定に与える影響
 吸引流量[L/min]が2.4(L/min)を下回っている場合は、正確な吸入性粉じん曝露濃度測定が行われていないと判断して、測定結果を破棄するという判断基準を本年度は提案する。
4.粉じんに関する局所排気装置等以外の発散防止抑制装置の導入への基礎的研究
 局所排気装置等以外の発散防止抑制装置をどの様な粉じん作業に導入するかが分かれば、そのために特別な技術を構築することもなく、現状の技術を応用することで導入が可能と考える。

公開日・更新日

公開日
2015-06-22
更新日
-

収支報告書

文献番号
201326012Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,000,000円
(2)補助金確定額
2,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 634,207円
人件費・謝金 0円
旅費 956,115円
その他 409,678円
間接経費 0円
合計 2,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-06-22
更新日
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