被災地に展開可能ながん在宅緩和医療システムの構築に関する研究

文献情報

文献番号
201325065A
報告書区分
総括
研究課題名
被災地に展開可能ながん在宅緩和医療システムの構築に関する研究
課題番号
H25-医療-指定-012
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
堀田 知光(独立行政法人国立がん研究センター )
研究分担者(所属機関)
  • 木下 寛也(独立行政法人国立がん研究センター東病院)
  • 的場 元弘(独立行政法人国立がん研究センター中央病院)
  • 小川 朝生(独立行政法人国立がん研究センター東病院)
  • 森田 達也(聖隷味方原病院)
  • 内富 庸介(岡山大学大学院)
  • 明智 龍男(公立大学法人名古屋市立大学)
  • 佐々木 治一郎(北里大学)
  • 川越 博美(医療法人社団 パリアン)
  • 福井 小紀子(日本赤十字看護大学大学院)
  • 川越 正平(あおぞら診療所)
  • 宮下 光令(東北大学大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
87,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、がん在宅緩和医療における東日本大震災の被災地の直接的な支援、被災地におけるがん患者の在宅緩和医療において生じた様々な課題と解決策の明確化、被災地に応用可能な、今後の高齢多死社会に向けたがん患者の在宅医療の推進における課題解決に向けた具体的なプログラム作成である。以下の3つの研究に取り組んだ。1)被災地におけるあらたな地域緩和ケアネットワークの構築、2)大規模災害に備えたがん在宅緩和医療における課題と対策の明確化、3)被災地に応用できるがん在宅緩和医療システムの構築に関する研究である。
研究方法
1)に関しては、岩手県釜石および気仙医療圏において在宅緩和ケアネットワーク構築に係る支援を行い、その過程を記述した。2)に関しては、東日本大震災時にがん緩和・在宅医療に関わっていた東北地方の医療従事者対象としたインタビュー調査を質的に解析した。医学中央雑誌のデータベース、一般図書、Web上の情報から、東日本大震災時のがん緩和・在宅医療に関する記載のある文献を系統的に検索し、質的に分析した。上記の解析をもとに、実際に東日本大震災を体験した在宅緩和ケアに係る多職種の議論を行い、東南海地震を想定して大規模災害が生じた場合の災害被害の予防になること、実際に現場の医療福祉従事者が知っていると役に立つことをまとめた冊子を作成した。
3)に関しては、がん在宅緩和ケアにおける精神症状への対応に関する教育プログラム、緩和ケア訪問看護師教育プログラム、介護職員に対するがん患者の看取りに関するう教育プログラムを作成し、プログラムの評価を行った。
結果と考察
1)在宅緩和ケアネットワーク構築のために必要な市民効果講座、がん患者サロンが開催された。
2)冊子「大規模災害に対する備え がん治療・在宅医療・緩和ケアを受けている患者さんとご家族へ ―普段からできることと災害時の対応―」を作成した。内容は、「一般的な災害への備えと対応」、「がん治療・抗がん剤による治療を受けている方へ」、「医療用麻薬を使用している方へ」、「電動ポンプを使用している方へ」、「酸素療法を行っている方へ」、「たんの吸引を行っている方へ」、「自宅で人工呼吸器を使用している方へ」の7章と、参考資料として「外部電源の確保の方法」「医療用麻薬の代わりの薬リスト」「災害直後に出されたがん・在宅・緩和医療に関係する主な通知類」「役立つ情報集」から構成されている。
3)教育プログラムの作成と有用性の検討が開始された。
結論
被災地において、地域緩和ケアネットワーク構築のための継続的支援を行った。被災に応用可能な、1)がん在宅医療に関する医療・福祉従事者へ教育プログラムの開発と有用性の検討、2)がん患者支援プログラムの開発と有用性の検討に関する研究を行った。がん関地震による災害被害の予防、発生時の対応に生かすための、冊子を作成した。

公開日・更新日

公開日
2014-07-16
更新日
2018-06-07

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201325065C

成果

専門的・学術的観点からの成果
がん患者に関して、在宅看取りの予測モデルが開発された。予測モデルに選択された変数は、「死亡場所に関する患者と介護者の希望」、「患者の予後理解」、「介護者の看取り経験の有無」、「往診医の有無」、「医師と看護師の24時間連携体制」であった。今後がん患者の在宅医療継続のためのプログラム作成に利用できると考える。
臨床的観点からの成果
がん患者のせん妄および精神心理的苦痛への耐硫黄に関する支持的なコミュニケーションに関する教育プログラムを開発した。この後、プログラム有用性の検討とさらには指導者の養成に取り組み、在宅医療推進のためにプログラムの普及を図りたい。
がん患者の支援プログラムが開発され、その実施可能性の試験が開始された。
ガイドライン等の開発
該当なし
その他行政的観点からの成果
東北地方の医療従事者30名を対象としたインタビュー調査を分析等をもとに冊子「大規模災害に対する備え がん治療・在宅医療・緩和ケアを受けている患者さんとご家族へ ―普段からできることと災害時の対応―」を作成した。今後の大規模災害に備えて本冊子を全国規模で配布は可能である。
その他のインパクト
釜石医療圏での市民公開講座、気仙医療圏での市民公開講座、がんサロンの開催が、新聞で取り上げられた。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
62件
その他論文(英文等)
68件
学会発表(国内学会)
93件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2018-07-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201325065Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
100,000,000円
(2)補助金確定額
100,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 7,009,764円
人件費・謝金 42,363,271円
旅費 3,047,880円
その他 34,592,070円
間接経費 13,000,000円
合計 100,012,985円

備考

備考
通帳管理をしているので利息が付いていることと配分金額が不足のため自己資金を入れて支払いを行ったため直接研究費の金額が交付金額より多くなったため。

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-