電子的医療情報の利活用に必要な標準化の整備と普及策に関する研究

文献情報

文献番号
201325026A
報告書区分
総括
研究課題名
電子的医療情報の利活用に必要な標準化の整備と普及策に関する研究
課題番号
H24-医療-一般-027
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
大江 和彦(東京大学医学部附属病院 企画情報運営部)
研究分担者(所属機関)
  • 康 東天(九州大学医学研究院基礎医学部門病態制御j講座)
  • 木村 通男(浜松医科大学医学部附属病院 医療情報部)
  • 近藤 克幸(秋田大学医学部附属病院 医療情報部)
  • 土屋 文人(国際医療福祉大学 薬学部)
  • 中島 直樹(九州大学病院 メディカルインフォメーションセンター)
  • 山本 隆一(東京大学大学院医学系研究科 医療経営政策学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
7,585,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、これまでの医療情報の標準化において後回しにされてきた、しかし重要となる課題に対して、今後の技術展開を見据えつつ現場レベルに焦点をあてた具体的課題の存在を整理した。症状所見マスタの現状調査と方針の立案、手術コードの課題、臨床検査マスタの改善と運用のあり方、放射線マスタJJ1017の課題、医薬品マスタの一般名への対応方針とデータベース整備の課題について調査をもとに検討した。また、ユーザインタフェイスの標準化、在宅生体情報収集と送信の標準化手法、医療機関外に存在する標準化リソースへの安全なオンラインアクセスについて具体的な提案や基本方針の提示、方向性を示すことが目的である。
研究方法
個々の課題として標準マスタ関連としては、未着手の症状所見マスタ標準化のための調査と基本方針およびマスタ案の策定、標準手術コードの整備、臨床検査マスタの改善と運用のあり方、放射線マスタJJ1017の普及策、医薬品マスタの一般名への対応方針とデータベース整備の課題について調査、分析を行った。システムの標準化では、電子カルテ詳細操作ログを分析し、オーダシステム画面の使われ方から、あるべきユーザインタフェイスのガイドライン作成の根拠となる知見を得る。さらに在宅生体情報収集と送信の標準化手法について、調査と実証実験を行って今後の標準化方向性を探るとともに、在宅で発生する生体情報を標準的に蓄積・管理する手法を提案する。
結果と考察
症状所見マスタの作成方針とコード体系の提案を行い、ベースとなる約700語の症状所見リスト案の作成とコード体系の提案を行った。また過去の研究で提案してきた手術コード体系をもとに外科系保険委員会連合(外保連)手術委員会と共同で3000を越える手術について分類コードの整備を行った.放射線マスタJJ1017では普及の障害となっていたオーダ時のコードとJJ1017とのマッピング表および実装のためのマッピングガイドライン案を作成した。臨床検査コードについては関係団体と協力して設立した臨床検査項目標準マスタ運用協議会と共同でJLAC10構造の改善へ向けた新しい構造(仮称JLAC11)を確定し、具体例を表として提示し、共用化に関しては4医療機関検査部検査依頼数の97-99%をカバーする頻用項目に衛生検査所からの情報も加味して、頻用コード実例表(仮称)を作成し公表した。医薬品データマスタについては添付文書単位とする場合と販売名単位とする場合の問題点を効能・効果と用法・用量の記載項目を中心に検討を行い、医薬品データマスタも一般名毎で作成することの妥当性を提案した。システムの標準化では、電子カルテ詳細操作ログを分析し、検査結果参照、処方オーダ、再診予約、画像結果参照が密接に関連するためこれらを近接するなどのユーザインタフェイス標準化の必要性が示唆された。一方、今後重要な課題となる在宅生体情報収集と送信の標準化手法について、BAN(Body Area Network)が多彩な無線帯域に対応しており多くの国の医療用の帯域へ用いることが可能であり国際展開が期待されることが実証により示されたことに加えて、在宅で発生する生体情報を既に普及しているJPEG形式を活用して蓄積・管理する手法を提案しその有用性を示した。最後に、医療機関が外部存在する標準化リソースを日常的に利用するための安全なオンラインアクセスに関してリスクを調査したところ、外部接続のリスク分析では対策を十分講じたとしても残余リスクが存在することが明らかになり、従業者による犯罪は技術的に防止することは難しいが、その他はいずれも技術的対策と運用規則で対応可能であり具体的対策が提言可能であった。
結論
本研究班が対象とした症状所見、手術、医薬品、放射線JJ1017、臨床検査のいずれの標準マスタさらに細かい課題の解決が必要不可欠であるが、今年度の本研究により、症状所見マスタについてはベースとなる700語の一覧案とコード設計方針が、手術につては外保連から第8.2版として一覧とコード体系が公表された。今後これらをもとに標準マスタが作成される予定である。またJJ1017につてはマッピングガイドラインが作成され、臨床検査マスタについてはJLAC11改訂原案とJLAC10頻用コード実例集が完成しそれぞれ間もなく公表される。一方、医薬品マスタデータベースの構築の考え方と課題、在宅医療情報通信の標準化、電子カルテ/オーダシステムのユーザインタフェイスガイドライン策定、医療機関からの標準化リソースアクセスのあり方については、今後の具体的な策定のための知見が得られ、今後関連する会議体などの場でガイドライン等の作成、公表が行われる。

公開日・更新日

公開日
2015-06-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201325026B
報告書区分
総合
研究課題名
電子的医療情報の利活用に必要な標準化の整備と普及策に関する研究
課題番号
H24-医療-一般-027
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
大江 和彦(東京大学医学部附属病院 企画情報運営部)
研究分担者(所属機関)
  • 康 東天(九州大学医学研究院基礎医学部門病態制御学講座)
  • 木村 通男(浜松医科大学医学部附属病院 医療情報部)
  • 近藤 克幸(秋田大学医学部附属病院 医療情報部)
  • 土屋 文人(国際医療福祉大学 薬学部)
  • 中島 直樹(九州大学病院 メディカルインフォメーションセンター)
  • 山本 隆一(東京大学大学院医学系研究科 医療経営政策学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、これまでの標準化の普及課題と未着手の課題に対して、今後の技術展開を見据えつつ現場レベルに焦点をあてた具体的課題の存在を整理し、調査分析等により今後に向けた提案やガイドラインの策定と公表もしくはその根拠となる知見を得ることを目的とする。
研究方法
個々の課題として標準マスタ関連としては、未着手の症状所見マスタ標準化のための調査と基本方針およびマスタ案の策定、標準手術コードの整備、臨床検査マスタの改善と運用のあり方、放射線マスタJJ1017の普及策、医薬品マスタの一般名への対応方針とデータベース整備の課題について調査、分析を行った。システムの標準化では、電子カルテ詳細操作ログを分析し、オーダシステム画面の使われ方から、あるべきユーザインタフェイスのガイドライン作成の根拠となる知見を得る。さらに在宅生体情報収集と送信の標準化手法について、調査と実証実験を行って今後の標準化方向性を探るとともに、在宅で発生する生体情報を標準的に蓄積・管理する手法を提案する。
結果と考察
症状所見マスタの作成方針とコード体系の提案を行い、ベースとなる約700語の症状所見リスト案の作成とコード体系の提案を行った。また過去の研究で提案してきた手術コード体系をもとに外科系保険委員会連合(外保連)手術委員会と共同で3000を越える手術について分類コードの整備を行った.放射線マスタJJ1017では普及の障害となっていたオーダ時のコードとJJ1017とのマッピング表および実装のためのマッピングガイドライン案を作成した。臨床検査コードについては関係団体と協力して設立した臨床検査項目標準マスタ運用協議会と共同でJLAC10構造の改善へ向けた新しい構造(仮称JLAC11)を確定し、具体例を表として提示し、共用化に関しては4医療機関検査部検査依頼数の97-99%をカバーする頻用項目に衛生検査所からの情報も加味して、頻用コード実例表(仮称)を作成し公表した。医薬品データマスタについては添付文書単位とする場合と販売名単位とする場合の問題点を効能・効果と用法・用量の記載項目を中心に検討を行い、医薬品データマスタも一般名毎で作成することの妥当性を提案した。システムの標準化では、電子カルテ詳細操作ログを分析し、検査結果参照、処方オーダ、再診予約、画像結果参照が密接に関連するためこれらを近接するなどのユーザインタフェイス標準化の必要性が示唆された。一方、今後重要な課題となる在宅生体情報収集と送信の標準化手法について、BAN(Body Area Network)が多彩な無線帯域に対応しており多くの国の医療用の帯域へ用いることが可能であり国際展開が期待されることが実証により示されたことに加えて、在宅で発生する生体情報を既に普及しているJPEG形式を活用して蓄積・管理する手法を提案しその有用性を示した。最後に、医療機関が外部存在する標準化リソースを日常的に利用するための安全なオンラインアクセスに関してリスクを調査したところ、外部接続のリスク分析では対策を十分講じたとしても残余リスクが存在することが明らかになり、従業者による犯罪は技術的に防止することは難しいが、その他はいずれも技術的対策と運用規則で対応可能であり具体的対策が提言可能であった。
結論
本研究班が対象とした症状所見、手術、医薬品、放射線JJ1017、臨床検査のいずれの標準マスタさらに細かい課題の解決が必要不可欠であるが、本研究により症状所見マスタ案とコード設計方針、手術については外保連から第8.2版として一覧とコード体系が公表され今後電子カルテ用の標準マスタが作成される予定である。またJJ1017につてはマッピングガイドラインが作成され、臨床検査マスタについてはJLAC11改訂原案とJLAC10頻用コード実例集が完成しそれぞれ間もなく公表される。一方、医薬品マスタデータベースの構築の考え方と課題、在宅医療情報通信の標準化、電子カルテ/オーダシステムのユーザインタフェイスガイドライン策定、医療機関からの標準化リソースアクセスのあり方については、今後の具体的な策定のための知見が得られ、今後関連する会議体などの場でガイドライン等の作成、公表が行われるであろう。

公開日・更新日

公開日
2015-06-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201325026C

収支報告書

文献番号
201325026Z