国際化に対応した科学的視点に立った日本漢方診断法・処方分類および用語の標準化の確立

文献情報

文献番号
201325021A
報告書区分
総括
研究課題名
国際化に対応した科学的視点に立った日本漢方診断法・処方分類および用語の標準化の確立
課題番号
H24-医療-一般-022
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
並木 隆雄(千葉大学 大学院医学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 貝沼 茂三郎(九州大学 大学院医学研究院)
  • 斎藤 一郎(鶴見大学 歯学部)
  • 柴原 直利(富山大学 和漢医薬学総合研究所)
  • 中口 俊哉(千葉大学 フロンティア医工学センター)
  • 藤井 泰志(東京女子医科大学 東洋医学研究所)
  • 三潴 忠道(福島県立医科大学 会津医療センター)
  • 渡辺 賢治(慶應義塾大学 環境情報学部)
  • 矢久保 修嗣(日本大学 医学部)
  • 和辻 直(明治国際医療大学 鍼灸学部)
  • 横田 理(日本大学 工学部)
  • 山崎 真巳(千葉大学 大学院薬学研究院)
  • 元雄 良治(金沢医科大学 医学部)
  • 津谷 喜一郎(東京大学 大学院薬学系研究科)
  • 形井 秀一(筑波技術大学 保健科学部)
  • 萩原 圭祐(大阪大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
18,377,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2009年国際標準化機構(ISO)のTC249において中国伝統医学をルーツとする医学の国際標準化への検討が始まった。中国が中医学の国際準化を狙う緊迫した国際情勢の中,日本は自国の伝統医学を守る義務がある。そこで日本伝統医学概念の標準化と連動して,本研究ではその基盤となる臨床的診断法の標準化を確立することを目的とする。
研究方法
上記を踏まえ7つの分担班で研究を行った。日本伝統医学の独自性を保ちつつ,科学的な手法で診断法(舌・腹・脈)の標準化,科学的な手法による漢方薬分類ともぐさの品質や安全性研を2012年より新たに推進する。これまでの経過を踏まえ、国際標準化と国際化の動向調査を継続した。
結果と考察
1)舌診研究班:一定の条件で舌の撮影がおこなえる舌撮影装置を用いて疾患との関連を検討実施。 日本において舌診における文献的調査は終了し、舌診所見の標準化案(臨床診断記載)が完成した。 2)腹診研究班:日本漢方における権威者の腹診DVDの文字起こしをおこなった。シミュレータで 典型的な漢方医学的腹証所見を再現した成人の腹部モデルや腹力を標準化するための腹部モデルを作成。 3)脈診研究班:手技の標準化や脈証の標準化のための脈診シミュレータ開発の基礎実験を実施した。 4)漢方薬分類班ノンターゲット分析による漢方方剤メタボローム解析方法の確立(学会発表を複数回) 5)国際標準化研究班:ISO/TC249国内対策委員会および国際標準作成作業(国際対応)を実施した 6)医薬政策研究班:中国医学標準化動向調査を行い、結果の解析を配布した 7)鍼灸研究班:モグサの安全性や規格等に関する実験研究、日中韓におけるモグサの原材料であるヨモギの実地調査、およびモグサの製造に関する実地調査を実施した。8) 用語・略号研究班:略成にあたっては、PubMedで検索される漢方論文における漢方処方の表記状況を検討した。 全分野ともおおむね、予定通りの進捗状況であった。
結論
当研究班は、最初に7つ、翌年にさらに1つの班が加わり、研究対象が多岐にわたりかつ、重複の少ない分野を研究しているため、総括的にまとめるのは困難である。つまりそのことは、日本伝統医学において、検討しなければいけないことが多数あることを示すが、この2年間で研究成果がある程度蓄積した。日本にとっては、独自性があり、西洋医学と異なるパラダイムである東洋医学は、西洋医学ともに存在することで、さらに補完し、相乗効果を持つものと考えられる。より確実でより安全に漢方医学を使っていくためにはさらに、様々な研究が必要である。このような整備はこれまでに十分なされておらず、特に西洋医学の体系の中で発展してきた日本の伝統医学の姿を世界に示すことは欧米の研究者への理解と賛同につながる。さらにシンポジウム等を開催して,広く多くの有識者の意見を吸収反映させ標準化へ妥当性を検討しつつ,開発と総括のプロセスを進める。最終達成目標としては,臨床応用と教育への導入を可能とする段階にまとめ上げることである。今後も、漢方の分野では持続的な研究を推進すべき分野であると考えている。

公開日・更新日

公開日
2015-06-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201325021B
報告書区分
総合
研究課題名
国際化に対応した科学的視点に立った日本漢方診断法・処方分類および用語の標準化の確立
課題番号
H24-医療-一般-022
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
並木 隆雄(千葉大学 大学院医学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 貝沼 茂三郎(九州大学 大学院医学研究院)
  • 斎藤 一郎(鶴見大学 歯学部)
  • 柴原 直利(富山大学 和漢医薬学総合研究所)
  • 中口 俊哉(千葉大学 フロンティア医工学センター)
  • 藤井 泰志(東京女子医科大学 東洋医学研究所)
  • 三潴 忠道(福島県立医科大学 会津医療センター)
  • 渡辺 賢治(慶應義塾大学 環境情報学部)
  • 矢久保 修嗣(日本大学 医学部)
  • 和辻 直(明治国際医療大学 鍼灸学部)
  • 横田 理(日本大学 工学部)
  • 山崎 真巳(千葉大学 大学院薬学研究院)
  • 元雄 良治(金沢医科大学 医学部)
  • 津谷 喜一郎(東京大学 大学院薬学系研究科)
  • 形井 秀一(筑波技術大学 保健科学部)
  • 萩原 圭祐(大阪大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2009年国際標準化機構(ISO)のTC249において中国伝統医学をルーツとする医学の国際標準化への検討が始まった。中国が中医学の国際準化を狙う緊迫した国際情勢の中,日本は自国の伝統医学を守る義務がある。そこで日本伝統医学概念の標準化と連動して,本研究ではその基盤となる臨床的診断法の標準化を確立することを目的とする。
研究方法
上記を踏まえ7つの分担班で研究を行った。日本伝統医学の独自性を保ちつつ,科学的な手法で診断法(舌・腹・脈)の標準化,科学的な手法による漢方薬分類ともぐさの品質や安全性研を2012年より新たに推進する。これまでの経過を踏まえ、国際標準化と国際化の動向調査を継続した。
結果と考察
1)舌診研究班:一定の条件で舌の撮影がおこなえる舌撮影装置を用いて疾患との関連を検討実施。 日本において舌診における文献的調査は終了し、舌診所見の標準化案(臨床診断記載)が完成した。 2)腹診研究班:日本漢方における権威者の腹診DVDの文字起こしをおこなった。シミュレータで 典型的な漢方医学的腹証所見を再現した成人の腹部モデルや腹力を標準化するための腹部モデルを作成。 3)脈診研究班:手技の標準化や脈証の標準化のための脈診シミュレータ開発の基礎実験を実施した。 4)漢方薬分類班ノンターゲット分析による漢方方剤メタボローム解析方法の確立(学会発表を複数回) 5)国際標準化研究班:ISO/TC249国内対策委員会および国際標準作成作業(国際対応)を実施した 6)医薬政策研究班:中国医学標準化動向調査を行い、結果の解析を配布した 7)鍼灸研究班:モグサの安全性や規格等に関する実験研究、日中韓におけるモグサの原材料であるヨモギの実地調査、およびモグサの製造に関する実地調査を実施した。 全分野とも2年間の進捗状況は予定通りのであった。
結論
当研究班は、最初に7つ、翌年にさらに1つの班が加わり、研究対象が多岐にわたりかつ、重複の少ない分野を研究しているため、総括的にまとめるのは困難である。つまりそのことは、日本伝統医学において、検討しなければいけないことが多数あることを示すが、この2年間で研究成果がある程度蓄積した。日本にとっては、独自性があり、西洋医学と異なるパラダイムである東洋医学は、西洋医学ともに存在することで、さらに補完し、相乗効果を持つものと考えられる。より確実でより安全に漢方医学を使っていくためにはさらに、様々な研究が必要である。このような整備はこれまでに十分なされておらず、特に西洋医学の体系の中で発展してきた日本の伝統医学の姿を世界に示すことは欧米の研究者への理解と賛同につながる。さらにシンポジウム等を開催して,広く多くの有識者の意見を吸収反映させ標準化へ妥当性を検討しつつ,開発と総括のプロセスを進める。最終達成目標としては,臨床応用と教育への導入を可能とする段階にまとめ上げることである。今後も、漢方の分野では持続的な研究を推進すべき分野であると考えている。

公開日・更新日

公開日
2015-06-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2015-03-02
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201325021C

成果

専門的・学術的観点からの成果
灸療法に使われるモグサの分類や等級は国により異なり、標準化されていない。日本では、中国や韓国で製造していない、精製度が高いモグサの評価は経験に頼って行われているのが現状である。近年、灸治療の世界的な普及やISOの灸用機器の標準化の動きなどにより、灸治療の熱源であるモグサの質の標準化が必要となってきた。そこで、モグサの質の評価法を検討し、簡易な方法を確立するために有識者による委員会を開催した。
臨床的観点からの成果
舌診研究:(並木隆雄:千葉大学)標準化を目的として、一定の条件下での撮影できる舌撮影解析システム(Tongue Image Analyzing System: TIAS)による診断や漢方的診断に影響する因子を検討した。(貝沼茂三郎:九州大学)胃がん検診者を対象に、漢方医学的所見(証)の客観化をはかる目的で舌診と内視鏡所見との関連性について検討した。(藤井泰志:東京女子医科大学)小児の舌診所見と、自覚症状や他の診察所見、検査所見との関連性を疫学的に検討した
ガイドライン等の開発
エビデンスを論文化していくときに問題となるのが、漢方製剤の英語表記である。現在、各研究者が漢方製剤の略号を記載し、混乱が生じている状況である。また、非漢字圏の研究者に、PubMedなどの検索エンジンで容易に検索できる英語表記が求められている。以上のことから、漢方国際化に向けて漢方エキス剤略号表記の試案作成を検討した
その他行政的観点からの成果
国際標準作成作業(ISO会議):漢方生薬・製剤の基盤整備を行われつつある。平成25年度におけるISO/TC249の進捗では、初めて国際規格2014年2月に成立。WG3で扱った中国からの滅菌済み単回使用毫鍼の規格(ISO 17218: 2014)とWG1で扱った中国からのオタネニンジンの種子と種苗に関する提案(ISO 17217-1)である。2013年5月に第4回全体会議でインドからアユルヴェーダをスコープに入れ、TC249が古代中国医学を源流とする医学を扱うことを明確にした。

その他のインパクト
舌診については、新聞に舌の撮影装置の活用に関しての報道がされた(2014年1月)。

発表件数

原著論文(和文)
55件
原著論文(英文等)
22件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
56件
学会発表(国際学会等)
22件
その他成果(特許の出願)
2件
その他成果(特許の取得)
6件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

特許の名称
脈診シミュレータ
詳細情報
分類:
特許番号: 2013-207529
発明者名: 矢久保修嗣
特許の名称
舌表面質感撮影システム
詳細情報
分類:
特許番号: 特許5454791
発明者名: 中口俊哉、山本智史、並木隆雄、津村徳道、三宅洋一
出願年月日: 20100518
取得年月日: 20140117
特許の名称
硬軟試験方法、硬軟試験装置、及び硬軟測定装置
詳細情報
分類:
特許番号: 特許5046207
発明者名: 横田理、長尾光雄
出願年月日: 20070823
取得年月日: 20120727
特許の名称
脈波測定装置
詳細情報
分類:
特許番号: 特許5424380
発明者名: 横田理、長尾光雄
出願年月日: 20081212
取得年月日: 20131206
特許の名称
固着すべり状態評価システム及び固着すべり状態可視化システム
詳細情報
分類:
特許番号: 特許5413905
発明者名: 横田理、長尾光雄
出願年月日: 20100205
取得年月日: 20131122

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
(7) T Oji, T Namiki, T Nakaguchi, K Ueda, et al.
Study of factors involved in tongue color diagnosis by Kampo medical practitioners using the Farnsworth-Munsell 100 Hue test and tongue color images.
Evid Based Complement Alternat Med , 2014  (2014)
Article ID 783102
原著論文2
Yakubo S, Ito M, Ueda U, et al.
Pattern Classification in Kampo Medicine.
Evid Based Complement Alternat Med , 2014  (2014)
Article ID 535146
原著論文3
元雄 良治
国際標準化と漢方: ISO/TC249を中心に. ISO/TC249における伝統医学の国際標準化をめぐって.
漢方と最新治療 , 22 (1) , 9-14  (2013)
原著論文4
新井 一郎
国際標準化と漢方:ISO/TC249を中心に. 漢方・生薬製剤に関わる国際標準化.
漢方と最新治療 , 22 (1) , 21-28  (2013)
原著論文5
川原信夫
23: 10-14. (10) 川原信夫:生薬規格の国際標準化と国際調和の動向(ISO/TC249とFHH)
漢方と最新治療 , 22 (1) , 15-20  (2013)
原著論文6
東郷俊宏
国際標準化と漢方: ISO/TC249を中心に. 鍼灸領域の国際標準化
漢方と最新治療 , 22 (1) , 29-35  (2013)

公開日・更新日

公開日
2015-06-09
更新日
-

収支報告書

文献番号
201325021Z